先日、飛行機に乗っていた時にふと「なんで離着陸時に照明を暗くするんだろう?」と疑問に思いました。なんとなく安全のためなんだろうとは思っていましたが、ちゃんとした理由は知りません。
気になってネットで検索してみたところ、JALの「航空豆知識」なるコンテンツを発見。離着陸時の照明の謎の他、飛行機に関する色々な疑問に回答していて面白かったので、その中から抜粋していくつか紹介しようと思います。
※航空豆知識のページはコンテンツ整理のため削除されたそうです。
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飛行機の様々な疑問に回答!航空豆知識
飛行機はなぜ飛ぶのか?
まずは根本的な謎。なぜ飛行機が空を飛べるのか。
飛行機が大空に舞い上がる秘密には2つのものが関係しています。一つは翼にぶら下がっている“ジェットエンジン”です。中のファンブレードが回転することによって空気を吸い込み、猛烈な勢いで後方に吐き出すと、飛行機はその反動で前進して行きます。ジェットエンジンの能力は、この吐き出される空気の重さで表現します。
ボーイング747型機の場合、4台のエンジンで20万ポンド(100トン)の空気が後方へと吐き出されます(そんなとき離陸中の飛行機の後ろにいようものなら、大型トラックでも吹き飛ばされてしまいます)。だから、わずかな時間で時速250キロ近いスピードに達することができるのです。
そして、もう一つ必要なものは“翼”です。飛行機が時速250キロ近いスピードを出すことにより、翼の上にも少なくとも時速250キロの空気(風)が流れることになります。翼の上面と下面の形状の違いから、上面の空気が若干速く流れます。これによって、翼に沿って流れる空気の圧力に差が生じます。この圧力の差の事を揚力と呼び、この力によって飛行機は浮くことができるのです。
う~ん、理屈はわからなくはないのですが…それでもやっぱりあんな大きな鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられませんw(おじいちゃん的発想)
行きと帰りではなぜ飛行時間が違うのか?
行きと帰りで飛行時間が違うことはよくありますが、その理由は…
皆さんは飛行機の時刻表を眺めたときに、同一路線で使用機材(飛行機)が同一機種にもかかわらず、上り便と下り便の飛行時間が異なっていることに気がついたことがあるでしょうか。
例えば、1998年4・5・6月版の「日本航空国際線時刻表」の場合、成田-ニューヨークで、上り便(ニューヨーク→成田)は13時間40分かかるのに対し、下り便(成田→ニューヨーク)は12時間20分と、その差は実に1時間20分にもなります。では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。
「飛行中に時間が消えてしまったのでは?」などと心配する必要はありません。飛行時間の差は、上り便と下り便で若干飛行経路が異なっていることも原因のひとつですが、その大部分は上空に吹く”風”の影響によるものなのです。
天気予報などで、気象衛星から撮影した雲の連続写真を良く見てみるとわかるように、日本の上空には、西から東へ、偏西風(ジェット気流)と呼ばれる強い風が吹いています。この風の速さは、国際線の飛行機が飛行する高度10,000メートルの上空では、最大時速が360キロにもなります。時速約900キロで飛行するボーイング747型機のスピードと比較してみても、この偏西風が、いかに強い風かということがわかると思います。
偏西風は西から東へ吹いているため、向かい風を受ける上り便は、追い風を受ける下り便と同じ対気速度で飛行していても、対地速度が風の速さの分だけ遅くなってしまいます。そのため、上り便と下り便では、1時間20分もの飛行時間の差が生じてしまうのです。
旅客機自体はいつも同じ速度で設定(ボーイング767の場合、巡航速度は「マッハ0.8=時速約864キロ」)されているそうですが、追い風と向かい風では実際の速度が全く異なるそうです。向かい風だと時速700キロ、追い風だとマッハ1を超えることもあるとか。
離発着時に機内の照明を暗くするのはなぜか?
今回、飛行機について調べるキッカケとなった疑問。
ところで、みなさんは、どんなときに客室内の照明を暗くするか、気がついていましたか?
ひとつは、長距離を飛ぶ路線で映画を上映したり、お客様がお休みになるとき、もうひとつは、飛行機が夜間に離陸したり着陸するときです。映画の上映中やお客様がお休みになるときには、照明を暗くするだけでなく、窓に取り付けられているサンバイザーをすべて下ろし、外からの光も遮断します。ところが、夜間の離発着時には、サンバイザーをすべて上げて、外の景色が見えるようにしています。なぜ、そんなことをするのでしょうか?
人間の目には、眼球に入る光の量を調節するための瞳孔がついています。瞳孔の仕組みは、カメラの「絞り」に似ていて、光の量の多いところでは瞳の黒い部分が小さくなり、少ないところでは大きくなります。明るいところから、突然暗いところへ移動すると、しばらくの間、何も見えないことがあります。たとえば、昼間ドライブをしていて、急にトンネルに入ったときなどに、初めのうちは周囲が見えにくいという経験をした方は多いと思います。そんなときでも、しばらくすると瞳孔が広がってきて、周囲が見えるようになります。
実は、飛行機が夜間の離発着時に照明を暗くするのも、この人間の目の仕組みに関係があります。万が一、お客様が緊急脱出をしなくてはならないような場合、急に暗い機外に出ると、周囲の暗さに慣れるまでに時間のかかる可能性があります。しかし、初めから暗くしておくことで、目が早く慣れることができます。
日本航空では、夜間の離着陸の際、お客様の目が少しでも早く暗さに慣れるよう配慮しています。
照明を暗くする理由は、飛行機事故がもっとも起きやすい離着陸時に目を暗い場所に慣れさせるためのようです。そう考えると、これから照明が消える時に緊張しちゃいますね…
離発着時に電子機器のスイッチを切るのはなぜか?
ご存知の方も多いと思いますが、JAL公式では以下のように説明されています。
パソコンや携帯電話などの電子機器は私たちの生活をとても便利にしてくれますが、実は飛行機とはとても相性が悪いことをご存知でしたか?
その原因の1つに、飛行機のアンテナがあります。飛行機には、パイロットが地上と連絡をとるための無線のアンテナや飛行機自身が自分の位置を知るためのアンテナなどが、機体の一番前から垂直尾翼(JALのマークのある翼)のてっぺんまで各所に取り付けられていて、全体が常に大きなアンテナになっているのです。
もう一つ、飛行機に機体やエンジンの状態をモニターするためのたくさんの電気配線があることも関係しています。
ここで、理科の授業を思い出してください。電気が流れるところには必ず磁気が発生していて、この範囲のことを磁界といいます。磁界は電気の流れ(電流)の変化に応じて増減しますが、この逆で、磁界の変化するところに電流が発生することも知られています。
さて、飛行機が離陸するときや、着陸態勢に入って着陸するまでというのは、飛行機の機体にとっても、大変緊張を強いられる時間です。飛行機は自分の身体中を縦横無尽に走っている神経(電気配線)を張り詰めさせ、何か異常が起こったときにすぐにパイロットに知らせなくてはと頑張っています。パイロットもまた、異常を知らされたらすぐに対処できるように操縦に集中しています。
そんなときに、皆さんの携帯電話へ電波が飛び込んできたり、パソコンなどの電子機器のスイッチがONになると、電話の電波やパソコンから発生した磁気が、飛行機の電気系統の磁界に変化を与え、それが電気信号となって、搭載されているコンピュータに誤信号を送り出してしまう恐れがあります。
このような現象を私たちはEMI(エミ/Electro Magnetic Interferenceの略で電磁干渉現象の意味)と呼んでいます。これによってコックピットに故障を知らせるメッセージが出され、離着陸を中断したり、やり直したりする事態に発展することもあるのです。
「なんだかんだ携帯をつけたままにしても大丈夫でしょ?」と思っている人もいるかもしれませんが、絶対にやめましょう!万が一、事故の原因になったら後悔してもしきれませんよ。
飛行機が高度一万メートルの上空を飛ぶのはなぜか?
飛行機が高度一万メートルを飛ぶ理由。これはかなり「へぇ~」と思いました。
飛行機がどのくらいの高さを飛んでいるかをご存じでしょうか?飛行機は、通常、地上から約33000フィート、メートルに直すと約1万mの上空を飛行しています。では、なぜ1万mかというと、けっして数字のキリがいいからというわけではなく、これには深い理由があるのです。
皆さんは、コップの水にインクを混ぜてしばらく放っておくと、やがてコップの底のほうにインクがたまることをご存じだと思います。これは、水の重量よりもインクの方が重いからです。
空気についても同様で、その濃度は、地上から離れれば離れるほど薄くなります。登山家の方たちがチョモランマに登るとき、よく酸素ボンベを持っていきますが、約8000mの高地では、空気は地上に比べとても薄いのです。逆に、飛行機にとっては、高く飛べば飛ぶほど周囲の空気が薄くなるので、機体にかかる空気抵抗が少なくなって、前に進みやすくなります。これは、ちょうど、沼でボートをこぐよりも、澄んだ水の湖のボートのほうが、前に進みやすいのに似ています。
それでは、1万mよりももっと高いところを飛べば、もっと空気が薄くなって、さらに飛びやすくなる、と思う方もいるかもしれません。でも、それは違います。
というのも、飛行機は、吸い込んだ空気をエンジンの中で圧縮・燃焼・爆発させることによって、推進力を生み出し、前に進んでいるからです。つまり、1万m以上の高度では、空気の濃度が薄すぎて、圧縮しても、燃焼しにくくなり、1万mを超えて高度が上がれば上がるほど、今度は、飛行機はだんだんと前に進まなくなってしまうのです!
このように、機体への空気抵抗とエンジンの推進力の兼ね合いを考えたとき、両方の効率がもっともよくなる高度であること--それが、1万mの秘密です。
なんとな~く知っていた知識もあると思いますが、きちんと理由がわかると気持ちがいいですね!JALの公式サイトなので、ソースの信頼性は間違いありません。お盆の時期は飛行機に乗る機会も多いと思いますので、待ち時間の小話にでもいかがでしょうか。