S&P500の今後20年を予測!リターン見通しと分散投資の考え方も徹底解説

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「S&P500に投資して本当に大丈夫?」「今から積立を始めて、20年後にはどのくらい増えているの?」

最近、こんな声をよく聞きます。特に「つみたてNISA」や「新NISA」の登場で、S&P500に毎月コツコツと積立を始めた方も増えてきました。一方で、ニュースでは米中対立、インフレ、金利上昇など、不安要素も少なくありません。

「S&P500一本でいいの?」「分散投資ってやっぱり必要?」と迷う方も多いのではないでしょうか。さらに、投資初心者にとっては「途中で暴落がきたらどうしよう」「元本割れしないの?」という不安も尽きないものです。

この記事では、S&P500の今後20年のリターン予測を中心に、複利効果の重要性や、分散投資の考え方、積立中の暴落リスクについてわかりやすく解説します。

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S&P500の今後20年を予測する

過去の実績を確認しよう

「本当にS&P500は将来も成長していくのか?」

これは、これから積立を始める方、すでに積立中の方にとって共通する大きな関心事です。
まずは、その「これまでの実績」を冷静に確認してみましょう。

S&P500は、米国を代表する500銘柄で構成された株価指数で、現在は主に以下のような企業が含まれています。

  • Apple
  • Microsoft
  • Amazon
  • Meta(旧Facebook)
  • Alphabet(Google)
  • NVIDIA など

これらは「GAFAM+N(NVIDIA)」とも呼ばれ、AI・IT分野を中心に世界の株式市場を牽引しています。では、これまでのS&P500の成績を見てみましょう。

期間 年率平均リターン(名目)
1926年~2024年 約 +10%(インフレ調整前、配当再投資込み)
2000年~2020年 約 +6~7%(ITバブル崩壊・リーマンショック含む)
2010年~2024年 約 +12%(コロナ後の成長期含む)

これらの数字からわかるのは、短期では波があっても、20年以上の長期で見れば着実に右肩上がりの成長を遂げてきたという事実です。ちなみに、仮に1926年に1,000ドルをS&P500に投資していたとすると、2024年には約1,400万ドルを超えていたという試算もあります(名目・配当再投資込み)。このような「時間をかけて資産を大きく育てる力」こそが、S&P500が「長期積立に向いている」とされる最大の理由です。

とはいえ、過去の好成績がそのまま未来を保証するものではありません。むしろ、これからの時代はより不確実性が高まる可能性もあります。では、この先20年はどうなるのでしょうか?

成長への期待と、不安材料の両面を冷静に見ながら、現実的なシナリオを考えてみましょう。

今後20年の成長シナリオ

未来は誰にも正確には予測できません。でも、現在の世界情勢や経済の動きを見れば、ある程度の想定シナリオは描けます。2025年時点で、S&P500の成長に影響を与える要素は主に以下の通りです。

  • AI・クラウドといった技術革新
  • 米国企業の競争力とイノベーション
  • 地政学リスク(米中対立、中東情勢など)
  • 米国財政赤字の拡大と金利動向

AI革命は今後10~20年の成長ドライバーになると言われています。一方で、米中対立や金利上昇はリスク要因。 こうしたプラス・マイナスの要素を総合すると、次のような成長シナリオが考えられます。

シナリオ 年率リターン 20年後の成長イメージ
強気 +8~9% 約4~5倍
中立 +5~6% 約2.7~3.2倍
弱気 +2~3% 約1.8~2倍

現状では「中立シナリオ(+5~6%)」がもっとも現実的ではないかと思っています。 仮にこのペースでも、20年後には資産が約3倍近くになる計算です。

複利効果が資産形成の鍵

複利とは?

投資の世界で「複利は最強の武器」とよく言われます。 複利とは「利益が利益を生む」仕組みです。

たとえば、100万円を年率5%で運用した場合、1年後は105万円になります。 次の年は105万円が元本になるため、その5%=約110.25万円になる……という具合に、利益が元本に組み込まれていくのです。

時間が経つほど成長が加速するのが特徴で、これが長期投資において非常に大きな力を発揮します。

具体例:S&P500に毎月積立した場合

仮にS&P500に月33,333円(年間約40万円)を20年間積立すると、年率+7%の場合、

  • 元本:約800万円
  • 20年後:約1,720万円

となります。この差は、複利による効果が大きく関わっています。途中でやめず、コツコツと積み上げることが成功の鍵になるのです。

積立途中で暴落が来たらどうなる?

積立を始めたばかりの方がもっとも心配するのが「暴落リスク」ではないでしょうか。

「もしリーマンショックみたいな暴落がきたら…」 「資産が一気に減ってしまったらどうしよう…」こうした不安は当然です。しかし、積立投資においては、暴落はむしろチャンスになるケースが多いのです。

なぜ暴落時はチャンスなのか?

積立投資は「ドルコスト平均法」といって、株価が下がった時ほどたくさんの口数が買えます。つまり、暴落時に「たっぷり仕込んで」、回復局面で大きな利益が得られるのです。

事実、リーマンショック直後(2009年)からS&P500に積立を続けた場合、なんと年率+8~9%という好成績になりました。暴落時に怖くなってやめてしまった人と、コツコツ続けた人では、その後の資産形成に大きな差がついたのです。

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15年積立時の元本割れリスクは?

積立初心者にとって、もう一つ気になるのが「元本割れリスク」です。

しかし過去のデータに基づけば、15年以上の積立期間がある場合、S&P500や全世界株のような国際分散型の株式インデックスにおいて、元本割れが起きたケースは非常に少ないという傾向が見られます。

投資対象 過去の元本割れ事例(15年積立)
S&P500 ほぼ見られず(1%未満の想定)
オルカン(全世界株) ごくわずか(想定1~2%程度)

たとえば2000年代初頭のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックといった大規模な下落を含めても、15年間にわたりコツコツと積立を続けていた場合、多くのケースで最終的にはプラスになっています。

もちろんこれは「過去の実績に基づく傾向」であり、未来を保証するものではありません。あくまで一つの参考値としてご覧ください。元本割れリスクを限りなく低くするためには

  • 投資期間を長くとる
  • 積立を止めずに続ける
  • 世界分散・米国分散などリスク分散を図る

この3つを意識することで、精神的にも安定した長期投資が実現しやすくなります。

分散投資の本当の意味とは

「分散投資が大切」とはよく言われますが、単に「いろいろな商品に分ければいい」という話ではありません。

未来は誰にも読めない

現在の米国経済は強い企業群と技術革新によって世界を牽引していますが、10年後、20年後もその状況が続く保証はどこにもありません。新興国の成長、地政学的リスク、為替変動、米国独自の政策リスク――未来にはさまざまな不確実性が潜んでいます。

この「予測できない未来」に備える手段として重要なのが、分散投資です。

たとえば、S&P500(米国株500銘柄)に加えて、オールカントリー(全世界株式インデックス=MSCI ACWI)を組み合わせることで、以下のような分散効果が期待できます。

  • 米国以外の成長国(欧州、日本、新興国など)を取り込める
  • 米国株の調整時にも一部の地域が補完できる可能性がある
  • 通貨・地域リスクを分散できる(為替・政治・制度など)

このように、単一国への依存度を下げ、「攻め」と「守り」のバランスを取ることができるため、精神的にも比較的安定して長期投資を続けやすくなります。

ただし、オルカン(MSCI ACWI)は「全世界株式インデックス」と呼ばれてはいるものの、その構成比率のうち約60~65%は米国株が占めています(※時価総額加重平均のため)。つまり、S&P500とオルカンを組み合わせたとしても、分散効果はあるが限定的で、実質的には米国依存が続く構成になることに注意が必要です。

もし本質的に「資産の値動きをより分けて分散したい」と考えるのであれば、以下のような他の資産クラスを加えることがより有効です。

  • 先進国・新興国の株式(個別に配分)
  • 債券(米国債、日本国債、グローバル債券など)
  • 金やコモディティ(インフレヘッジ)
  • REITなどの不動産関連資産

異なる資産クラスは、株式と異なる値動きを示すことが多く、真の意味での分散(リスク相関を減らす)が可能になります。したがって「オルカンを組み合わせたから安心」と思い込まず、投資全体のバランスと目的を考慮したうえで、より広い視野で分散戦略を設計することが重要です。

S&P500+オルカン併用シミュレーション例

実際に、S&P500とオルカンを組み合わせた場合のリターンはどのくらいになるのでしょうか?以下の表は、S&P500とオルカンの併用シミュレーション例です(年率リターンは現実的な想定)。

比率 20年後の資産額(予測)
S&P500 100% 約1,720万円
S&P500 70%+オルカン 30% 約1,666万円
S&P500 50%+オルカン 50% 約1,630万円
S&P500 30%+オルカン 70% 約1,594万円
オルカン 100% 約1,540万円

見ていただくとわかる通り、リターン差は思ったほど大きくありません。むしろ「リスクの抑制」という観点ではオルカンを組み入れるメリットは十分にあります。 特に初心者や暴落が心配な方にはおすすめできるバランスです。例えば、

  • 成長重視 → S&P500 70%+オルカン 30%
  • 安定重視 → S&P500 50%+オルカン 50%
  • より守り重視 → S&P500 30%+オルカン 70%

このように、自分のリスク許容度に応じた配分を考えてみるとよいでしょう。

まとめ

今回は、S&P500の今後20年のリターン予測を中心に、複利効果、分散投資、積立中の暴落リスクについて解説してきました。

この記事のポイント

  • 中立シナリオでは、S&P500は年率+5~6%の成長が期待でき、20年で資産が約3倍に
  • 複利効果は長期投資の最大の味方。途中でやめずに続けることが重要
  • 積立中の暴落はむしろチャンス。ドルコスト平均法の恩恵が受けられる
  • 15年積立で元本割れリスクはほぼゼロに近い
  • 分散投資は「予測できない未来」に備えるためのリスク管理
  • S&P500とオルカンの併用でリスクとリターンのバランスが取れる

投資はマラソンのようなものです。途中で焦ってやめてしまうのが一番の失敗パターン。 正しい知識を持ち、自分に合ったスタイルでコツコツと続けていくことが成功への近道です。

投資には「これが正解」という万能な答えはありません。あなた自身のリスク許容度やライフプランに応じて、最適な選択を見つけていきましょう。

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