Excelの資料を印刷しようとして、「ブック全体を両面で印刷したいだけなのに、なぜかうまくいかない」と頭を抱えた経験はないでしょうか。複数のシートをまとめて両面印刷したはずが、シートの切れ目で急に片面に戻ってしまったり、奇数ページのところで新しい用紙に変わってしまったり。地味ですが、けっこうイライラするトラブルです。
私もWeb制作の現場で見積書や仕様書をExcelでまとめることが多く、お客様に渡す前に紙でチェックする際、この「途中から片面になる」現象に何度も悩まされてきました。原因がわからないうちは、印刷ボタンを押すたびに祈るような気持ちだったものです。何枚も刷り直すうちに、用紙の山だけが増えていくのは精神的にもつらいものでした。
この記事では、Excelでブック全体を両面印刷する正しい手順と、シートの切れ目で両面が途切れてしまう原因、そして確実に両面で出力するための対処法を、現行のMicrosoft 365やExcel 2021に合わせて整理します。
WordやPDFと違って、Excelの印刷には独特のクセがあります。複数のシートを1つの書類として扱ってくれない場面があるため、「ブック全体」を選んだだけでは思いどおりに両面化されないことがあるのです。とはいえ、仕組みを一度理解してしまえば対処はそれほど難しくありません。手順だけを丸暗記するのではなく、なぜ途切れるのかという原因まで知っておくと、機種や環境が変わっても応用が利きます。原因と解決の両方を押さえて、紙とインクの無駄をなくしていきましょう。
まずは基本:ブック全体を両面印刷する手順
細かい話に入る前に、まずは標準的な手順を確認しておきます。1枚のシートだけでなく、ブックに含まれる全シートをまとめて印刷したいときの基本操作です。
- 「ファイル」タブをクリックします。
- 左側のメニューから「印刷」を選びます。
- 設定欄の一番上にあるプルダウン(初期状態は「作業中のシートを印刷」)をクリックし、「ブック全体を印刷」に変更します。
- その下の「片面印刷」と書かれたプルダウンを開き、「両面印刷(長辺を綴じる)」または「両面印刷(短辺を綴じる)」を選びます。
- 右側のプレビューでページ全体を確認し、問題なければ「印刷」をクリックします。
綴じ方の「長辺」「短辺」は、用紙をどちら側でめくるかの違いです。一般的な縦置きの書類なら「長辺を綴じる」、上下にめくる縦長のレポートなら「短辺を綴じる」を選ぶと、めくったときに文字の向きが揃います。
ここまでが教科書どおりの流れです。多くのケースではこれで両面印刷ができますが、シートの構成によっては次に説明する「途切れる」現象が起きます。
参考:ワークシートやブックを印刷する(Microsoft サポート)
なぜシートの切れ目で両面印刷が途切れるのか
「ブック全体を印刷」を選んでいるのに、シートが切り替わるタイミングで紙が片面に戻ってしまう。あるいは、本来なら裏面に印刷されるべき内容が、次の用紙の表側に印刷されてしまう。この現象には、Excel特有のはっきりした理由があります。
Excelは印刷設定をシートごとに別々に管理しているため、シート間で設定が食い違っていると、プリンターへ送られる印刷データが複数のジョブに分割されてしまうのです。
印刷ジョブが分かれると、プリンターはそれぞれを独立した書類として処理します。両面印刷は1つのジョブ内でしか連続しないので、ジョブの区切りで必ず新しい用紙の表面から印刷が始まります。これが「奇数ページで紙が変わる」「途中から片面になる」の正体です。
ジョブが分かれる主な原因
シートごとに次のような設定がバラバラになっていると、ジョブが分割されやすくなります。
- 用紙サイズが違う(A4とB5が混在しているなど)
- 印刷の向きが違う(縦向きと横向きが混在している)
- カラー/モノクロの指定が違う
- 印刷品質(解像度)の設定が違う
- そもそもシートごとに両面・片面の指定が異なる
このうち、特に見落としがちなのが用紙の向きの混在です。縦向きと横向きが混ざっていると、両面印刷そのものが成立しないことがあります。複数人で作ったブックや、テンプレートを寄せ集めて作った資料ほど、こうした不一致が起こりやすい印象です。
関連記事:エクセルの印刷時に図形の位置がずれる場合の解決方法
対処法1:印刷設定をリセットして一括で両面にする
シートごとの設定が原因なら、いったん設定を揃え直してから印刷すれば解決します。手っ取り早いのが、プリンターを選び直して設定をリセットする方法です。
- 「ファイル」→「印刷」を開きます。
- プリンター選択欄で、いったん別のプリンター(PDF出力用の仮想プリンターでも構いません)を選びます。
- もう一度、本来使いたいプリンターを選び直します。これでシートごとに分かれていた設定がリセットされます。
- あらためて「ブック全体を印刷」と「両面印刷」を指定します。
- プレビューでページが連番で続いているか確認し、「印刷」をクリックします。
プリンターを選び直すと内部的に印刷設定が初期化されるため、全シートが同じ条件で扱われ、1つのジョブとしてまとめて送られます。これで両面印刷がシートをまたいで連続するようになります。
ただし、この方法でもうまくいかない場合は、用紙サイズや向きそのものがシート間で違っている可能性が高いです。その場合は、各シートの「ページレイアウト」タブで用紙サイズと向きを統一してから、もう一度試してみてください。
参考:シートの分かれたMicrosoft Excelファイルを両面印刷できない場合について(リコー サポート)
対処法2:PDFに変換してから両面印刷する(いちばん確実)
シート数が多かったり、設定を揃えるのが面倒だったりするときに、いちばん確実なのがこの方法です。ブック全体を1つのPDFに書き出してしまえば、ファイルとしては「ひと続きの書類」になるため、シートの切れ目を気にせず両面印刷できます。
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」を選び、保存先を指定します。
- ファイルの種類で「PDF」を選びます。
- 保存ダイアログの「オプション」ボタンを押し、印刷対象で「ブック全体」を選んで「OK」をクリックします。
- 「保存」を押してPDFを書き出します。
- できあがったPDFを開き、いつもどおり「両面印刷」を指定して印刷します。
PDF化してしまえば、印刷の主導権はExcelからPDFビューアー(Adobe AcrobatやEdge、ブラウザなど)に移ります。Excelの「シートごとに設定が違う」問題から解放されるので、奇数ページで紙が変わる心配がありません。私自身、シート数の多い資料はもう最初からPDF経由で印刷するようにしています。手戻りがなくなって結果的にいちばん早いです。
なお、PDF化の際にオプションで「ブック全体」を選び忘れると、表示中のシートだけが書き出されてしまいます。ここだけは忘れずにチェックしてください。
関連記事:CSV・XLS・XLSXの違いとは?Excelで開けるファイル形式の選び方を解説
プリンタードライバー側の設定も確認しておく
Excel側で両面を指定していても、そもそもプリンターが両面印刷に対応していなかったり、ドライバー側で片面に固定されていたりすると、当然ながら両面では出力されません。うまくいかないときは、プリンタードライバーの設定もあわせて確認しましょう。
- 印刷画面でプリンターを選び、「プリンターのプロパティ」をクリックします。
- 「仕上げ」や「レイアウト」などのタブを開きます(名称はメーカーによって異なります)。
- 「両面印刷」「2-sided」「Print on Both Sides」といった項目にチェックを入れます。
- 設定を保存して印刷します。
家庭用のインクジェットプリンターの中には、自動両面印刷に対応していない機種もあります。その場合は、奇数ページだけ先に印刷し、用紙を裏返してセットし直してから偶数ページを印刷する「手動両面印刷」になります。少し手間はかかりますが、PDF化したうえで手動両面を使えば、シート数が多くても順番を崩さずに両面化できます。
まとめ
Excelのブック全体を両面印刷するときのポイントを振り返ります。基本は「ファイル」→「印刷」で「ブック全体を印刷」と「両面印刷」を選ぶだけですが、シートごとに用紙サイズや向き、カラー設定が違うと印刷ジョブが分割され、シートの切れ目で両面が途切れてしまいます。
対処の方向性は二つです。一つは、プリンターを選び直して設定をリセットし、用紙サイズと向きを全シートで揃えてから一括印刷する方法。もう一つは、ブック全体をPDFに書き出してから両面印刷する方法です。シート数が多い資料や、設定がそろっているか不安なときは、PDFに変換してから印刷するのがいちばん確実で失敗が少ない方法です。
どちらの方法を選ぶ場合でも、共通して効くコツが一つあります。それは、印刷ボタンを押す前に必ずプレビューでページが連番で続いているかを確認することです。ジョブが分割されているときは、プレビュー右下のページ送りを進めていくと途中でページ番号が「1」に戻る、あるいはシートの境目で不自然な余白が入る、といったサインが現れます。ここで気づければ、紙を無駄にせず設定をやり直せます。
「1枚目だけ両面で、あとは片面だった」というやり直しは、紙もインクも時間もまとめて無駄にしてしまいます。原因はExcelのシート単位の設定にある、とわかっていれば、焦らず落ち着いて対処できるはずです。シート数が少なければ設定を揃えるだけで十分ですし、多ければPDF経由が無難、という使い分けも頭に入れておくと安心です。次に資料を印刷するときは、まずプレビューでページの流れを確かめてから印刷ボタンを押す。この一手間だけで、両面印刷の失敗はぐっと減らせます。