Photoshopは、その強力な画像編集機能で知られていますが、それに伴いメモリ使用量が多くなることでも有名です。長時間作業していると、動作が重くなりイライラすることもあるでしょう。
そんな時に、Photoshopのパフォーマンス設定を見直すことで、作業を快適に進めることができます。この記事では、Photoshopの動作を高速化するための具体的なパフォーマンス設定について詳しく解説します。
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1. メモリの使用量の調整
Photoshopが利用するメモリの割合を調整することは、動作速度に大きな影響を与えます。Photoshopのメモリ使用量を調整するには、以下の手順に従います。
- [編集] – [環境設定] – [パフォーマンス] を開きます。
- 「メモリの使用状況」でPhotoshopに割り当てるメモリの割合を設定します。
デフォルト設定は「60%」ですが、Photoshopを中心に作業する場合は「70~80%」に設定すると良いでしょう。一方、他のアプリケーションと併用する場合は「50%~55%」程度に調整するのが望ましいです。これは、Photoshopが必要なメモリを確保しつつ、他のアプリケーションが動作するためのメモリを確保するためです。
私は「70%」に設定していますが、この設定は作業内容やシステムの総メモリ容量によって調整する必要があります。
2. ヒストリー数の調整
Photoshopのヒストリー機能は、作業中の履歴を保持し、アンドゥ操作を可能にする便利な機能です。しかし、ヒストリーを多く保持するほどメモリを消費し、Photoshopの動作が重くなる可能性があります。
- [編集] – [環境設定] – [パフォーマンス] を開きます。
- 「ヒストリー&キャッシュ」セクションで「ヒストリー」の数を設定します。
デフォルトのヒストリー数は「20」ですが、履歴を頻繁に利用しない場合は、この数を減らすことを検討しましょう。ヒストリー数を多く設定することは可能ですが、強く推奨されるのは「50」以下です。これは、ヒストリー数を増やすとメモリ消費が増加し、動作が遅くなる可能性があるためです。
自分の作業スタイルに応じて、最適なヒストリー数を設定することが重要です。
3. キャッシュレベルの調整
キャッシュレベルは、Photoshopが画像データを処理する際の一時的な保存場所としての役割を果たします。キャッシュレベルの設定は、作業速度やファイルを開く速度に直接影響を与えます。
- [編集] – [環境設定] – [パフォーマンス] を開きます。
- 「ヒストリー&キャッシュ」セクションで「キャッシュレベル」を設定します。
キャッシュレベルは「1」から「8」まで設定可能です。キャッシュレベルを高く設定すると、ファイルを開く際に時間がかかるものの、作業中の応答速度は向上します。一方、キャッシュレベルを低く設定すると、ファイルの読み込みが速くなりますが、作業中の応答速度は遅くなります。
適切なキャッシュレベルは、PC環境や作業内容によって異なります。例えば、レイヤー数が少なく、大きなドキュメントを扱うことが多い場合は、キャッシュレベルを上げると良いでしょう。逆に、大量のレイヤーを扱う場合は、キャッシュレベルを下げる方が効果的です。
私は「2」で設定しています。
4. 仮想記憶ディスクの調整
Photoshopは、大量のデータを処理する際に、物理メモリが不足すると仮想記憶ディスク(スワップ領域)を利用します。仮想記憶ディスクの設定は、Photoshopのパフォーマンスに大きな影響を与える重要なポイントです。
- [編集] – [環境設定] – [パフォーマンス] を開きます。
- 「仮想記憶ディスク」セクションで、使用するドライブを設定します。
デフォルトでは、「Cドライブ」が設定されていますが、これはOSがインストールされているプライマリドライブです。OSの動作に影響を与えないためにも、専用のドライブを指定することを推奨します。専用ドライブを仮想記憶ディスクとして使用することで、Photoshopの動作がより高速になります。
可能であれば、SSDを仮想記憶ディスクとして使用することで、さらに高速なパフォーマンスを実現できます。
5. キャッシュタイルサイズの調整
キャッシュタイルサイズは、Photoshopが一度に処理するデータ量を設定する項目です。これにより、画像の処理速度や応答速度を調整できます。
- [編集] – [環境設定] – [パフォーマンス] を開きます。
- 「キャッシュタイルサイズ」セクションで、処理するデータのサイズを設定します。
キャッシュタイルサイズは、128K、132K、1024K、1028Kの4つから選択できます。大きなタイルサイズを選択すると、大きな画像の処理が高速になり、小さなタイルサイズを選択すると、レスポンスが向上します。
Intel「Core」プロセッサを使用している場合は「128K」か「1024K」、「Intel Pentium 4」または「AMD」の場合は「132K」か「1032K」を選択することで、効率が向上します。
私のPCは「インテル Corei7」を搭載しているため、「128K」に設定しています。
Photoshopのパフォーマンスを最適化するための追加のヒント
Photoshopの設定だけでなく、他にもパフォーマンスを向上させる方法があります。
例えば、Photoshopにインストールされているプラグインやブラシ、パターンの見直しです。ネット上で無料のブラシやパターンをダウンロードできるため、ついつい多くのリソースを追加しがちですが、実際には使用しない素材がほとんどです。
これらの不要なリソースを整理することで、描写にかかる時間を短縮できます。
また、Photoshopを最新バージョンにアップデートすることも重要です。Adobeは定期的にパフォーマンス向上のためのアップデートをリリースしており、最新バージョンにすることでバグの修正や新しい機能が追加されることがあります。
まとめ
Photoshopのパフォーマンスを向上させるためには、メモリの使用量、ヒストリー数、キャッシュレベル、仮想記憶ディスク、キャッシュタイルサイズの設定を適切に調整することが重要です。これらの設定を見直すことで、Photoshopの動作がよりスムーズになり、作業効率が向上します。また、不要なリソースの整理やPhotoshopのアップデートも、動作を高速化するための有効な手段です。