Firefoxを更新したら、いつも使っているアドオンが急に動かなくなった。表示が崩れるようになった。なんだか動作が重い気がする。そんな経験、Firefoxユーザーなら一度はあるのではないでしょうか。
そういうときに頭をよぎるのが「前のバージョンに戻したい」という気持ちです。私もWeb制作の仕事でブラウザの動作確認をしていると、特定のバージョンをわざわざ手元に用意したくなる場面がちょくちょくあります。
この記事では、Mozilla公式の保管庫(アーカイブ)から旧バージョンのFirefoxを入手してダウングレードする手順と、戻すときに必ず知っておきたい注意点をまとめて解説します。
具体的には、公式アーカイブからのダウンロード方法、インストール後に自動更新を止める設定、ダウングレード時に出る「プロファイルが壊れるかも」という警告の正体とその対処、そして見落としがちなセキュリティ上のリスクまで一通り押さえます。手順だけでなく「戻す前に確認しておくべきこと」も合わせて整理するので、初めての方でも迷わず作業できるはずです。
そもそもFirefoxは新しい機能や修正を取り込むため、こまめにバージョンアップを重ねています。便利になる一方で、お気に入りの拡張機能が対応しきれなかったり、これまで通りの操作感が変わったりして、戸惑う人がいるのも事実です。ダウングレードはその不満への対処法のひとつではあるものの、実は万能の解決策ではありません。
ひとつだけ先に言っておきたいことがあります。旧バージョンへのダウングレードは、あくまで一時的な切り分けや検証のための手段だと考えてください。理由は記事の後半でしっかり説明しますが、古いFirefoxを使い続けるのはおすすめできません。そのうえで、必要な人がきちんと安全に作業できるように手順を整理していきます。
その不具合、本当にダウングレードで直りますか?
手順の前に、ひとつ確認させてください。Firefoxを更新してから調子が悪くなった場合、実はバージョンそのものが原因ではないケースがかなり多いんです。Mozillaも公式に「更新時の問題の多くは、新しいバージョン自体ではなく更新の過程で起きている」という趣旨の説明をしています。
つまり、旧バージョンに戻しても問題が解決しないどころか、わざわざ脆弱性を抱えた状態に逆戻りするだけ、ということが起こり得ます。ダウングレードに進む前に、次の切り分けを試す価値は十分あります。
まず試したい3つの切り分け
- 拡張機能(アドオン)を疑う:メニューから「ヘルプ」→「トラブルシューティングモード」を選ぶと、拡張機能を一時的に無効にした状態でFirefoxが起動します。これで症状が消えるなら、原因はFirefox本体ではなく拡張機能です。
- プロファイルを切り分ける:アドレスバーに
about:profilesと入力すると、プロファイルの管理画面が開きます。新しいプロファイルを作って起動し、症状が出なければ既存プロファイルの設定が壊れている可能性が高いです。 - 更新の影響を一時回避する:どうしても古い挙動が必要なら、後述するESR版という選択肢があります。
これらで直るなら、ダウングレードという回り道をせずに済みます。それでも旧バージョンが必要だ、という人だけ次に進んでください。
関連記事:Firefox更新でアドオンが消える・使えない時の原因と対処法【初心者向け】
Firefoxを旧バージョンに戻す手順(公式アーカイブから入手)
旧バージョンのインストーラーは、Mozillaが公式に運営している保管庫(リリースアーカイブ)から入手できます。怪しい配布サイトを使う必要はまったくありません。むしろ非公式サイトの古いインストーラーはマルウェアが仕込まれている危険があるので、必ず公式アーカイブを使ってください。
ダウンロードからインストールまで
- Mozillaの公式アーカイブ(
releases)にアクセスします。後述の参考リンクから開けます。 - 戻したいバージョンの番号をクリックします。バージョンは番号順に並んでいるので、目当てのものを選びます。
- OSとビット数に合ったフォルダを選びます。64bit版Windowsなら
win64、32bit版Windowsならwin32、Macならmac、Linuxならlinux-x86_64といった具合です。 - 言語フォルダから
jaを選びます(Macの場合はja-JP-macになっていることがあります)。 - 「Firefox Setup ○○.exe」のようなインストーラーをダウンロードします。
- 起動中のFirefoxはいったん完全に終了させてから、ダウンロードしたファイルを実行してインストールします。
インストーラーは既存のFirefoxに上書きする形で入るので、わざわざアンインストールする必要はありません。
インストール後すぐに自動更新を止める
ここが最大の落とし穴です。Firefoxは初期設定で自動更新が有効になっているため、せっかく旧バージョンを入れても、放っておくとすぐに最新版へ更新されて元通りになってしまいます。私も最初これに気づかず「あれ、戻ってる?」と首をかしげたことがあります。
旧バージョンを維持したいなら、インストール直後に自動更新を止めましょう。
- 右上のメニューボタン(横三本線)から「設定」を開きます。
- 「一般」パネルを下にスクロールし、「Firefoxの更新」のセクションを探します。
- 「更新の確認は行うが、インストールするかをあなたが選択する」を選びます。これで勝手に更新されなくなります。
ただし、これはあくまで一時的な措置という前提を忘れないでください。自動更新を止めるということは、セキュリティ修正も止まるということです。
「プロファイルが壊れるかも」という警告が出たら
新しいバージョンで一度でも使ったプロファイルを、古いFirefoxで開こうとすると、ダウングレード防止機能(downgrade protection)が働いて警告が表示されることがあります。Mozillaが「ユーザープロファイルデータの破損を防ぐため」に入れた仕組みで、ブックマークや履歴などのデータが壊れる恐れがあるための注意喚起です。
このとき、Firefoxは新しいプロファイルの作成を促してきます。もっとも安全なのは、案内に従って新規プロファイルを作ることです。既存のデータを古いバージョンで触らせない、という考え方ですね。新規プロファイルは前述の about:profiles からも管理できます。
どうしても既存のプロファイルをそのまま使いたい場合は、コマンドラインからの起動オプションでダウングレード防止を上書きする方法があります。Windowsなら、たとえば次のように起動します。
firefox.exe --allow-downgrade
このほか、プロファイルフォルダ内の compatibility.ini を削除(またはリネーム)して回避する方法も知られています。ただしどちらもMozillaの初心者向けページで正式に案内されている手順ではなく、データ破損のリスクを承知のうえで使う上級者向けの裏技です。大事なブックマークや履歴は、作業前に必ずバックアップを取っておきましょう。
関連記事:アドオン必要なし!消えたFirefoxのブックマークを復元する方法
【重要】旧バージョンの常用は危険です
ここはこの記事で一番伝えたいところです。古いバージョンのFirefoxには、すでに見つかっているセキュリティ上の脆弱性がそのまま残っており、使い続けると個人情報やパソコンを危険にさらします。
Firefoxは新しいバージョンで脆弱性を次々と塞いでいます。旧バージョンに戻すというのは、その修正をわざわざ巻き戻す行為です。Mozillaも公式に「古いリリースはセキュリティ更新を受け取らない」「既知のバグや脆弱性によってデータが危険にさらされ得る」「多くのサイトが古いブラウザでは正しく動作しない」と明言しています。
ですので、ダウングレードは「不具合の原因を切り分けるための一時的な手段」と位置づけてください。原因が分かったら、なるべく早く最新版に戻すのが安全です。
更新サイクルが負担なら「ESR版」という選択肢
「頻繁な更新で毎回トラブルになるのが嫌だ」という理由でダウングレードを考えているなら、ESR版(Extended Support Release=延長サポート版)の検討をおすすめします。ESR版は機能の変更を抑えつつ、セキュリティ修正はきちんと提供され続けるバージョンです。安定性を保ちながら安全も確保できるので、企業や「あまり仕様を変えたくない」個人にとって、危険な旧バージョン常用よりずっと現実的な落としどころになります。
参考:以前のバージョンの Firefox をインストールするには(Mozilla サポート) / Firefox インストールごとの専用プロファイル(Mozilla サポート)
まとめ
Firefoxを旧バージョンに戻す方法を、入手から自動更新の停止、プロファイル警告への対処、そしてリスクまで一通り見てきました。手順自体はそれほど難しくありません。Mozilla公式のアーカイブから戻したいバージョンを選び、OSと言語に合ったインストーラーを入れ、自動更新を止める。プロファイルの警告が出たら、安全をとるなら新規プロファイルで開く。流れはこれだけです。
ただ、改めて強調しておきたいことがあります。旧バージョンのFirefoxはセキュリティ更新が止まっているため、常用は避け、不具合の切り分けなど一時的な用途にとどめてください。更新後の不調は、多くの場合バージョンそのものではなく拡張機能やプロファイルが原因です。まずはトラブルシューティングモードや新規プロファイルでの切り分けを試し、それでも古い挙動が必要なら、危険な旧版常用ではなくESR版を選ぶ。これが安全と利便性のバランスを取ったいちばん無難なやり方だと思います。
私自身、仕事柄いろいろなバージョンのブラウザを触りますが、検証で一時的に古い環境を用意することはあっても、ふだん使いの環境を古いまま放置することはありません。脆弱性を抱えたブラウザでネットを見て回るのは、鍵の壊れた玄関で生活するようなもので、便利さと引き換えにするには代償が大きすぎるからです。旧バージョンに頼りたくなる気持ちはよく分かりますが、その不便さの裏で安全が削られていることは頭の片隅に置いておいてください。
原因が分かったら、できるだけ早く最新版に戻して、安全に快適なブラウジングを続けてくださいね。