ホームページリニューアルで失敗しないコツ。自己満足のデザインにしない方法

「すぐには帰れませんよ浜辺ですから」と正直に答えるWebデザイナー

「そろそろサイトが古臭いし、思いきってリニューアルしようかな」——そう考えたこと、ありませんか。

気持ちはすごくよくわかります。何年か運営していると、自分のサイトのデザインがどんどん野暮ったく見えてくるんですよね。スマホの普及で見られ方も変わったし、新しいツールも増えた。だから「もっと今っぽく、カッコよく作り直したい」と思うのは、ごく自然なことです。私もWeb制作を25年やってきて、自分のサイトを前にして何度もその誘惑に駆られました。

でも、ここで一つだけ声を大にして言わせてください。ホームページのリニューアルは「キレイにすること」が目的になった瞬間、たいてい失敗します。

「えっ、新しくキレイにするためにリニューアルするんじゃないの?」と思いましたよね。私も昔はそう思っていました。ところが現実は、見た目を一新したのにアクセスが減った、問い合わせがぱったり来なくなった、という残念な話があちこちで起きています。実際、リニューアルは設計を間違えると検索順位やアクセスを大きく落とすリスクがある、と専門のWeb制作会社もこぞって注意を促しているほどです。

かくいう私自身も、過去に派手にやらかした一人です。今回はその恥ずかしい失敗談を正直に打ち明けつつ、リニューアルで誰もが陥りがちな落とし穴と、公開前に必ず確認しておきたいチェックポイントを、実用的にまとめてお伝えします。デザイン・目的設定・SEO・スマホ対応と、ひと通り押さえれば「やってよかった」と思えるリニューアルにぐっと近づくはずです。これから作り直そうと考えている人は、手を動かす前にぜひ最後まで読んでみてください。

カッコよくしたのにアクセスが減った、私の失敗談

もう昔の話になりますが、自分で運営していたサイトをリニューアルしたことがあります。公開から年月がたって古臭くなってきたし、それなりにアクセスもあったので「よし、気合いを入れて作り直そう」と。

WordPressで一から再構築して、jQueryで動きをつけて、画像もたっぷり増やして。「うん、ちょっとは今っぽくなったぞ」と意気揚々で公開しました。

結果は、惨敗でした。

PVは減る、直帰率は上がる。前のサイトよりずっと見やすくなったはずなのに、なぜ……? しばらく原因がわからず頭を抱えていました。

そんなとき、Webに詳しくない友人にサイトを見せたら、ひと言こう言われたんです。

「なんか、ちょっと業者っぽいページになったね」

これにハッとしました。前のサイトは趣味で作っていた頃のデザインで、素人っぽさはあるけれど温かみがあって、とっつきやすかった。一方リニューアル後は、仕事でWebを触るようになってから作った“それっぽい”デザイン。確かに今風にはなったけれど、訪れる人にとっては逆に距離ができてしまっていたわけです。

もちろんデザインだけの問題ではないと思います。でも「自分が良いと思うもの」と「ユーザーが居心地よく感じるもの」は、まったくの別物だと痛感した出来事でした。

関連記事:ブログのデザインをリニューアルした話。読みやすさを優先して見えてきた課題

「自己満足のページ」になっていないかを疑う

リニューアルでいちばん多い失敗が、これだと思っています。作る側の「カッコよくしたい」「機能を増やしたい」という気持ちが先走って、肝心の使う人を置いてけぼりにしてしまうパターンです。

古い例で言えば、トップページ全体が動画やアニメーションで埋まっていて、いきなり音が鳴り出すサイト。ああいうのに当たると、よほど見たい目的がない限り、私はその場でブラウザを閉じます。作った本人は「動きがあって今っぽい」と満足しているのかもしれませんが、訪れた人からするとただの邪魔なんですよね。

機能の盛りすぎも同じです。SNSの大手サービスでも、新機能を足し続けた結果、結局どこに何があるのかわからなくなって離れていったユーザーは少なくありません。「日記はどこから見るんだっけ?」と迷子になった経験、ある人も多いはず。

ここで覚えておいてほしいのが、制作者が思っている以上に、ユーザーは「変化」を嫌うということです。使い慣れた導線が変わるだけでストレスになり、わからなくなった瞬間に見るのをやめてしまう人は本当に多い。良かれと思った変更が、むしろ足を引っ張ることもあるのです。

だからリニューアルの前に、一度立ち止まって自問してみてください。「この変更、誰のためのもの?」と。自分が満足したいだけなら、それは危険信号です。

そもそも「何のためにリニューアルするのか」を決める

意外と抜けがちなのが、目的の言語化です。「なんとなく古いから」で作り直すと、ほぼ間違いなく迷走します。

大事なのは、「デザインを新しくしたい」ではなく「リニューアルで何を変えたいのか」を数字で語れるようにすることです。たとえば「問い合わせを増やしたい」「特定ページの離脱率を下げたい」「スマホからの滞在時間を伸ばしたい」など、ゴールを具体的に決める。そうして初めて、どこをどう直すべきかが見えてきます。

逆に言うと、目的があいまいなまま見た目だけ整えても、成果にはつながりにくい。「デザインが古いから問い合わせが少ないのでは」と感じている場合、本当の課題は古さそのものではなく、導線やコンテンツにあることも珍しくありません。課題を洗い出さず勘だけで進めると失敗しやすい、というのは制作の現場でも繰り返し言われていることです。

そして、決めた目的は必ず計測できる形にしておきましょう。「使いやすくする」のような感覚的な目標は、人によって判断がバラバラになるのでおすすめしません。アクセス解析を入れて、リニューアル前後の数字を比べられるようにしておくと、後で「本当に良くなったのか」を冷静に振り返れます。

参考: 多くの企業はサイトリニューアルに失敗する? 成功するための手順(Kaizen Platform)

見落とすとアクセスが激減する、SEOの落とし穴

デザインの話だけでなく、技術面でもリニューアルには大きな落とし穴があります。それが検索エンジン対策、いわゆるSEOです。ここを軽く見ると、せっかく積み上げてきたアクセスが一気に吹き飛びます。

リニューアル後にアクセスが落ちる原因として、特に多いのが次のパターンです。

  • URLを変えたのにリダイレクトを設定していない……検索エンジンが旧ページを見失い、これまでの評価や被リンクが引き継がれません
  • 古い全ページを新トップページにまとめてリダイレクトしている……関連性が無視され、評価が正しく移りません
  • 301(恒久的な転送)ではなく302(一時的な転送)で設定している……評価が引き継がれにくくなります
  • テスト中の「検索結果に出さない設定(noindex)」を本番でも外し忘れている……これだけで丸ごと圏外もあり得ます
  • アクセスの多かった人気ページを、整理のつもりで安易に削除してしまう

ポイントを一言でまとめると、「URLとページはむやみに変えない・減らさない」、変えるなら旧ページと関連の深い新ページへ301でつなぐ、これに尽きます。タイトルタグや見出しに必要なキーワードが入っているかの確認も忘れずに。

なお、リニューアル直後は検索エンジンが新しい構造を読み直すため、一時的に順位やアクセスが下がることはよくあります。きちんと対策できていれば多くは時間とともに回復するので、慌てて元に戻したりしないことも大切です。

参考: サイトリニューアルのSEOで注意すべきこと(Web幹事)Website Redesign and SEO Mistakes(Siteimprove・英語)

関連記事:【WordPress】301リダイレクトを.htaccessで行う方法と注意点

今のリニューアルで外せない、スマホと表示速度

昔と今で決定的に変わったのが、見られる「画面」です。今やアクセスの多くはスマホ経由。Googleもスマホ版のページを基準に評価する「モバイルファースト」になっているので、スマホで使いにくいサイトはそれだけで不利になります。

パソコンの大きな画面でだけ確認して満足していると、スマホで見たら文字が小さい、ボタンが押しにくい、画像がはみ出している……なんてことが普通に起こります。リニューアルするなら、画面サイズに応じて自動で整うレスポンシブデザインは前提と考えていいでしょう。チェックも必ずスマホ実機で行ってください。

もう一つ、忘れがちなのが表示速度です。「今っぽく」しようと高画質な画像や動きを盛り込んだ結果、ページが重くなって表示に時間がかかる——これは私がまさにやらかしたパターンでもあります。表示が遅いと、開く前に離脱されてしまう。見た目のリッチさと軽さのバランスは、いつも意識しておきたいところです。

関連記事:Googleモバイルファーストインデックスの影響と対応策

公開前のチェックリスト

最後に、私が「これだけは公開前に確認してほしい」と思うポイントをリストにまとめました。手を動かす前のお守りとして使ってください。

  • リニューアルの目的を一文で言えるか(しかも数字で測れる形か)
  • 変更は「自分の満足」ではなく「使う人の便利」につながっているか
  • 使い慣れた導線をいきなり大きく変えていないか
  • 旧URLから新URLへ、301リダイレクトを設定したか
  • 人気ページを不用意に消していないか
  • テスト用のnoindex設定を本番で外し忘れていないか
  • スマホの実機で、文字・ボタン・画像を確認したか
  • ページの表示が重くなっていないか
  • アクセス解析を入れ、前後で比較できる準備をしたか
  • 公開前に、一人でもいいので第三者に見てもらったか

特に最後の「第三者に見てもらう」は、地味ですが効果絶大です。作った本人は近すぎて気づけないことが、他人の目には一瞬で見えたりします。私の「業者っぽいね」のひと言が、まさにそれでした。

まとめ:リニューアルは「自分のため」じゃなく「相手のため」に

ホームページのリニューアルって、つい「カッコよくするぞ!」と気合いが入りますよね。その気持ちはとても大切です。でも、その気合いの矛先が自分の満足に向いてしまうと、たいてい空回りします。

リニューアルで本当に向き合うべき相手は、画面の向こうにいる訪問者です。新しくして喜ぶべきなのは、作り手の自分ではなく、サイトを使ってくれる人のほう。ここを取り違えると、どれだけ手間とお金をかけても「自分だけが満足するページ」が出来上がってしまいます。私が「業者っぽくなったね」と言われてアクセスを落としたのも、結局はそこを見失っていたからでした。

今回お話ししたことを、もう一度ぎゅっとまとめておきます。目的を数字で語れる形に決めて、URLや人気ページはむやみに変えず守って、スマホと表示速度に気を配って、そして最後は必ず第三者の目でチェックする。どれも派手さはありませんが、この地味な積み重ねこそが「やってよかったリニューアル」と「やらなきゃよかったリニューアル」を分ける分岐点です。逆に言えば、ここさえ押さえれば大きな失敗はそうそう起きません。

もしこれから作り直すなら、デザインソフトを開く前に、まずは紙とペンで「誰のために、何を良くしたいのか」を書き出してみてください。その軸さえブレなければ、進む方向を大きく間違えることはありません。せっかく時間をかけて作り直すのですから、自己満足で終わらせるのはもったいない。ちゃんと前より良くなったと胸を張れる、訪れた人に喜ばれるサイトにしていきましょう。あなたのリニューアル、心から応援しています!