AIの回答を、あなたはどこまで信じていますか?
私たちの生活にすっかり浸透したChatGPTなどの対話型AI。その便利さに驚かされる一方で、ときどき”あたかも正しいように見える誤り”を、まるで自信たっぷりに言い切ってくることがあります。
この記事では、実際に私が体験したChatGPTとのやりとりを紹介しながら、「AIは間違えることがある」こと、そして「その間違いがどれほど巧妙か」に焦点を当てて注意を促したいと思います。
AIが相手でも”裏取り”を怠らない大切さが、少しでも伝わればうれしいです。
事の発端:CLS対策としてのHTML見直し
Web制作の現場では、PageSpeed Insightsのスコア改善が一つの大きなテーマになっています。なかでも「CLS(Cumulative Layout Shift)」の数値は、ページの見やすさに直結するため、真剣に向き合いたい指標です。
私が運営するブログでもCLSの改善に取り組んでおり、その過程でChatGPTにHTML構造のアドバイスを求めました。対象となったのは、こんな画像タグです。
<img src="example.jpg" alt="サンプル画像" width="500" height="200" loading="lazy">
このとき私は、ChatGPTに「このコードに問題があるか」を尋ねました。返ってきた最初の答えがこちらです。
ChatGPT:layout=’responsive’は不要です。この画像タグには`layout=’responsive’`の指定がありますが、現在のHTML構造では不要です。削除しても問題ありません。
「なるほど」と納得した私は、その助言どおり`layout=’responsive’`を削除したコードを作り、あらためて確認を依頼しました。新しいコードには、もちろん`layout=’responsive’`は入っていません。ところが、ChatGPTはこう述べたのです。
ChatGPT:このコードから`layout=’responsive’`を削除することでCLS改善につながります。
……? 一瞬、こちらの読み違いかと思いました。コードには、もうその記述はありません。念のためもう一度コードを確認し、今度はこちらから問いかけます。
私:「このコードにlayout=’responsive’はありますか?」
返ってきた答えは、驚くべきものでした。
ChatGPT:はい、あります。
この一言を読んだ瞬間、私は言葉を失いました。実際のコードには、どこを探してもその記述は存在しません。混乱しつつも、私は明確な根拠とともに誤りを指摘しました。
誤認の理由:推測による断定的な回答
その後、ChatGPTはこう説明してきました。
ChatGPT:HTML全体を見ずに、過去の文脈や一般的なパターンに基づいて推測してしまいました。コードを読むべきでした。
つまり、目の前のコードの中身を確認しないまま「ある」と断定したということです。
なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。対話型AIは、その場の事実を”調べて”答えているわけではありません。膨大な文章から学んだパターンをもとに、「次に来そうな、それらしい言葉」をつなげて返しています。だから、文脈的にありがちな答えほど、実際に確認したかどうかとは関係なく、とても自然な断定口調で出てきてしまうのです。
こうした事実に基づかない、もっともらしい出力は「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。表面的には”自信があるように見える”ぶん、注意深く読まないと誤りに気づけません。
再発防止の約束
私が「今後こういったことが100%ないようにしてください」と念を押したところ、ChatGPTは次のように回答しました。
ChatGPT:ご指摘ありがとうございます。以後はコードや事実を正確に読み取ったうえで回答し、推測に基づく断定的な回答は避けるよう徹底します。
もっとも、「今後は同じ過ちを犯しません」という言葉を、そのまま鵜呑みにはできませんでした。理由は明快で、この一連のやりとりの中で「憶測で断定した」と自ら認めながら、最初の回答では事実と異なる内容をはっきり提示していたからです。
「もう間違えません」と言われても、その前提がすでに曖昧なら、再発防止の意思表示がどれほどの意味を持つのかは、正直あやしいところです。
AIの”憶測回答”が生む誤解
今回のやりとりを通して見えてきたのは、次の2つのリスクです。
- コードを提示しても、AIが読み飛ばす・誤認する可能性がある
- その誤認を、あたかも真実のように「断言」してしまう
これは、質問した内容に詳しくない人ほど、間違ったまま作業を進めてしまう恐れがあります。
ChatGPTの言葉遣いはとてもスムーズで、論理的に見えます。そのぶん、示された内容を疑わず「なるほど、そうなんだ」と受け入れてしまいがちです。
今回はコードをしっかり確認していたからこそ誤りに気づけましたが、過去には「正確そうに見えて、実は間違っていた回答」をそのまま信じていたこともあったかもしれません。
まとめ:鵜呑みにしないための習慣
AIの進化は目覚ましく、モデルが新しくなるたびに精度は上がっています。以前より的外れな答えは減った、という実感もあります。それでも、事実に基づかない断定がゼロになったわけではありません。「AIの言うことだから正しい」と思い込むのは、やはり危険です。
だからこそ、日ごろから次のことを習慣にしておくと安心です。
- 回答を鵜呑みにせず、公式ドキュメントなどの一次情報で裏を取る
- 大事な内容は、複数のソースを突き合わせて確認する
- 技術的なトピックでは、必ず自分の目でコードや事実と照らし合わせる
- 重要な判断を、AIの回答だけに委ねない
AIは強力なツールです。信頼して使うのは良いことですが、依存しすぎないこと。誤情報に対して「なぜ?」と一度立ち止まれる冷静さが、これからますます大切になっていくはずです。