今、世界を大きく揺るがしている新型コロナウイルス(COVID-19)。2月19日、横浜港に停泊していた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスで、乗客の下船が始まりました。
下船が認められたのは、ウイルス検査で感染が確認されず、症状も出ていなかった乗客443人です。この下船対応については、海外メディアからも疑問の声が上がりました。
私自身も、この対応には引っかかる点があると感じ、これからの状況を案じています。
※この記事は2020年2月、感染が広がり始めたごく初期に書いたものです。当時わかっていた情報と、その場で抱いた疑問をそのまま残しています。その後の経過は当時の想定と異なる部分も多く、いま読み返すと見立てを誤っていた箇所もあります。あくまで当時の記録としてお読みいただければと思います。
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2週間の検疫を終え陰性判定だったので問題ない?
同日付のアメリカ・ニューヨーク・タイムズ紙は「日本はクルーズ船の乗客を解放。これは安全なのか?」と報じました。
当時のYahoo!ニュースに掲載された解説記事(安部かすみ氏「乗客下船も『本当に大丈夫?』と米紙は懐疑的 日本の対応はどのように報道されたか」)によると、陰性判定を受けた乗客の下船について、日本政府の見解はおおむね次のようなものでした。
2週間の検疫を終え、今回下船が許された乗客は最終的な検査で陰性判定が出ているのだから、下船は問題ない。公共交通機関で帰宅してもよい。
一方で、アメリカのメディアはこう指摘していました。
ウイルス検査がいつ行われたかが明らかになっていない。たとえば週末に検査を受けた人の場合、その後さらに数日間、感染にさらされた可能性がある。
これは私のような素人でも、真っ先に気になったところでした。下船にあたって万全を期すなら「感染者が最後に確認されてから14日間、船内の誰も発症せず、かつ検査でも陰性だったら」という条件が理想ではないか——当時はそんなふうに考えていました。
もちろん、船内の感染管理が徹底されていたのなら話は別です。ただ、ここ数日で発症した人と今回下船した人が、物を介してでも接触していなかったと言い切れるのか。船内の様子や、「『清潔ルート』『不潔ルート』をめぐって議論になった船内の写真」を見るかぎり、素人目には不安が残ったというのが正直なところです。
追加の検疫期間を設けてもよかったのでは
14日間、船内で過ごした乗客の心労やストレスは、相当なものだったと思います。長い隔離生活を耐えた方々の負担を思えば、一日も早く解放されてほしいという気持ちは私にもよくわかります。
そのうえで、感染拡大をできるかぎり抑えるという観点からは、慎重すぎるくらいの対応があってもよかったのではないか、と当時の私は感じていました。「先手を打って対策を」と語られていた一方で、実際の下船判断とのあいだにズレを感じたのも正直なところです。
とはいえ「感染者が最後に出てから14日間、誰も発症せず陰性」を厳密に適用すれば、条件を満たすまで多くの人が船内にとどまり、かえって船内での感染が広がってしまう恐れもあったでしょう。簡単な判断ではなかったはずです。だからこそ、少なくとも今回下船した人については、もう一段の検疫期間を設ける選択肢もあったのではないか、と考えていました。実際、アメリカ・オーストラリア・カナダ・韓国は、今回陰性だった自国の乗客に対し、あらためて14日間の待機を求めていました。
この時点では、下船の判断が正しかったのかどうか、私に断じることはできません。ただ、人命はもちろん、暮らしや経済への影響も大きい局面でした。楽観に寄りかからず、最悪の場合も想定した備えであってほしい——当時、そう願いながら書き留めた一本です。