
夜中にうなされて目が覚めたこと、きっと誰にでも一度はありますよね。夢の中で追いかけられたり、どこかから落ちたり、大切な人がいなくなってしまったり…。
そんな「悪夢」、なんとなく嫌な気分になるだけだと思っていませんか?
最近の研究で、この悪夢が私たちの健康に深く関わっている可能性があることがわかってきたそうです。
2025年6月、欧州神経学会(EAN 2025)で発表されたある研究によると、週に1回以上悪夢を見る人は、ほとんど悪夢を見ない人と比べて、75歳までに亡くなるリスクがなんと3倍以上も高いというのです。さらに、悪夢を頻繁に見る人ほど細胞レベルで老化が進んでいることまで明らかになっています。
この記事では、この驚くべき研究をもとに、悪夢が健康にどんな影響を与えるのか、どうすれば悪夢を減らせるのかをわかりやすくお伝えします。
自分や大切な人が、これからも健やかに過ごしていけるように。まずは「悪夢」と少しだけ向き合ってみましょう。
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悪夢と寿命の意外な関係って?
欧州神経学会での注目の研究
「悪夢を見ると寿命が縮まるかもしれない」——そんな話、ちょっと信じがたいですよね?
でも実際に、2025年に開催された欧州神経学会(EAN 2025)では、そんな研究結果が多くの注目を集めました。
イギリス認知症研究所とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが実施したのは、26歳〜74歳の大人4,196人を対象にした大規模な追跡調査。なんと最長18年にわたって追い続けた結果、「毎週悪夢を見る」と答えた人たちは、そうでない人に比べて75歳未満で亡くなるリスクが3倍以上も高いことがわかったのです。
LINK:Why frequent nightmares may shorten your life by years
悪夢が生物学的な老化を加速する?
この研究の面白いところは、「なぜ悪夢をよく見る人は早く亡くなってしまうのか?」という点まで深掘りされていることです。
その答えのひとつが「生物学的な老化の加速」。悪夢を見る頻度が高い人ほど、細胞の老化が早く進んでいるというのです。これは、染色体の末端部分にあるテロメアの短縮や、DNAのエピジェネティックな変化などから判断されたそうです。
詳しいことは私の頭ではよくわからないのですが(汗)、実際この老化のスピードが、悪夢と早期死亡の関係の約39%を説明できるというのですから、あなどれません。
悪夢が体に与える具体的なダメージ
ストレスホルモンが出続ける状態に
悪夢で目が覚めたとき、心臓がドキドキしていたり、体が冷や汗をかいていたりした経験、ありませんか?これは体がストレスに反応している証拠だそうです。
怖い夢を見ることで「闘争・逃走反応」と呼ばれる緊張モードに入り、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが分泌されます。これが頻繁に起こると、体は常に“緊張状態”を抱え込むことになり、免疫機能が落ちたり、疲れやすくなったりしてしまうそう。
睡眠の質が下がると何が起こるの?
悪夢で何度も目を覚ましてしまうと、ぐっすり眠れなくなりますよね。とくに夢を見る「レム睡眠」の質が下がると、脳や体の修復機能が十分に働かなくなります。
その結果、疲れが抜けにくくなったり、集中力が落ちたりするだけでなく、糖尿病や高血圧、うつ病といった病気のリスクも高まると言われています。眠りの質が悪い日が続くと、じわじわと体調にも影響が出てきてしまうんですね。
神経の病気との関係も見逃せない
最近の研究では、悪夢がパーキンソン病やレビー小体型認知症といった神経の病気の初期サインになっている可能性もあるといわれています。
「最近、悪夢が増えたな」「以前より内容が妙にリアルで怖い」——そんな変化に気づいたら、ただのストレスのせいと片づけず、一度専門機関で相談してみるのも良いかもしれません。
悪夢を減らすために今日からできること
では、実際に悪夢を見ないようにするにはどうすればいいのか。そこが気になりますよね。
ストレスをケアする暮らしの工夫
悪夢を防ぐには、まず日常生活の中でストレスをため込まない、リラックスすることが大切だそうです。
- 寝る前にスマホやパソコンを見るのは控えめに
- やさしい音楽やアロマで気持ちを落ち着ける
- 軽いストレッチや深呼吸を取り入れる
- 日中はできるだけ体を動かす(散歩でもOK)
こういったことを意識するだけでも、眠りの質がグッと上がって、悪夢も減ってくるかもしれません。
私の場合、(怖がりのくせに)ちょっと怖い映画やドキドキするサスペンスドラマが好きなのですが、夜に鑑賞するとそこそこの頻度で悪夢を見てしまったりしますw
サスペンス物は好きで見ているのでやめるのはなかなか難しいのですが、この研究結果を知ってできるだけ夜には見ないようにしようと思いました。
「夢の書き換え」で脳に安心を与える方法
「イメージ・リハーサル療法(IRT)」というちょっとユニークな方法もあります。これは、悪夢のストーリーを自分で書き換えて、それを繰り返し頭の中で再生するというもの。
- よく見る悪夢の内容を紙に書いてみる
- 怖い場面を優しい展開に変えてみる
- 毎晩寝る前に、その新しいストーリーを頭の中でイメージ
実はこの方法、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療でも使われていて、効果があるとされているそうです。脳って想像と現実をわりと曖昧に捉えるので、安心できる夢を思い描くことで、実際の夢にも影響があるんですね。
症状が強いときは専門家に相談を
「毎晩のように悪夢を見てつらい…」「眠るのが怖くなってきた…」あまりにも症状がつらい場合は、無理せず専門の医療機関に相談した方がいいかもしれません。
- 精神科や心療内科、睡眠外来などが相談先に
- 必要に応じて、睡眠改善の薬が使われることも
- うつや不安障害が隠れているケースもあるので、丁寧な診断が大切
不安をひとりで抱え込まず、話すだけでも気持ちは軽くなるので、親しい友人や家族に話すのもいいと思います。
悪夢と健康の最新研究まとめ
週に1回以上悪夢を見る人は、そうでない人よりも75歳までに亡くなる可能性が3倍も高い——ちょっと信じられないような話ですが、実際に報告されているので可能性は否定できません。
とは言え、必要以上に不安になる必要はありません。
悪夢は、体や心が出している小さなサインのようなものです。ストレスが溜まっていたり、疲れがたまっていたり、あるいは知らず知らずのうちに抱えている不安が夢になって表れているのかもしれません。
だからこそ、無理に押し込めたり我慢したりせず、「今の自分はどう感じているんだろう?」とちょっと立ち止まってみるキッカケにしてみてはいかがでしょうか。