パソコンで作業していると、ふと気がゆるんで気になるニュースサイトやお気に入りのブログを覗きたくなること、ありますよね。「仕事中なのにサボってしまった…」と、ちょっぴり後ろめたい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
でも、ここでひとつ朗報です。じつは「ちょっとした息抜き」は、サボりどころか集中力を保つうえで理にかなった行動だということが、研究でも示されているんです。
この記事はもともと、2011年に「仕事の合間にネットサーフィンをすると効率が上がるらしい」という海外の研究を紹介したものでした。ただ、当時の書きぶりだと「ネットを見ても許される!」という部分だけが強調されすぎていた感もあり、今回あらためて、信頼できる研究をもとに内容を整理し直すことにしました。
仕事柄、パソコンの前にどっぷり座りっぱなしの私としても、この「休憩と集中」の話はかなり身につまされるテーマです。一日じゅう画面とにらめっこしていると、午後にはどうしても頭がぼんやりしてきて、同じ作業の効率がガクッと落ちるのを実感しますからね。
そこでこの記事では、なぜ適度な休憩が集中力に役立つのか、その理由を初心者の方にもわかるようにかみくだいて解説します。手がかりにするのは、シンガポール国立大学の実験と、2022年に学術誌『PLOS ONE』で公開された分析の2つ。どちらも「短い休憩」の効果を裏づけたものです。あわせて、罪悪感なく上手に息抜きを取り入れるコツも紹介します。難しい話は抜きにして、今日からすぐ試せる内容ばかりです。
「仕事の合間のネットは効率アップ」って本当だったの?
まず、この記事のもとになった研究を整理しておきます。
もとの記事で紹介していたのは、シンガポール国立大学の研究チームによる「仕事の合間にインターネットで息抜きをしたグループは、その後の作業の成績が良かった」という内容でした。学生たちに地味な作業をしてもらい、途中の休憩時間に「ネットを見たグループ」「ネット以外で自由に休んだグループ」「別の作業を続けたグループ」に分けて、その後のパフォーマンスを比べた、という実験です。
結果としては、ネットで気分転換をしたグループのほうが、その後の作業で疲れや退屈を感じにくく、集中して取り組めた、と報告されています。海外メディアでも「ネットサーフィンは仕事の生産性を高めうる」と紹介され、当時はちょっとした話題になりました。私も、この見出しに思わず飛びついてしまったのを覚えています。
ただ、改めて読み返してみると、この実験はあくまで学生さんを対象にした短時間のテストで、実際の職場の長い一日とそっくり同じ条件というわけではありません。「だからネットを見放題でOK」と単純に言い切れるものではありません。
ただし、ここで大事なのは「ネットだから良い」という話ではなく、「楽しいと感じる短い息抜きが、頭を回復させてくれる」という点なんです。
実際、研究を伝える記事を読んでみても、ポイントは「気分がリフレッシュする休憩をはさむこと」にありました。ネットサーフィンはあくまで、その手軽な手段のひとつにすぎません。ですから「この記事を上司に見せれば堂々とネットができる!」とまで言ってしまうのは、さすがに勇み足。あくまで「上手な休憩は仕事の味方になる」と受け取るのが正解です。
なぜ「適度な休憩」が集中力を取り戻してくれるのか
では、どうして少し休むと、その後の集中力が戻ってくるのか。難しい言葉を使わずに説明します。
人間の集中力は、スマホのバッテリーのようなものだとイメージするとわかりやすいです。使い続ければ少しずつ減っていき、ずっと同じ作業に向き合っていると、脳はだんだん疲れて反応が鈍くなります。これが、午後になると「同じ作業なのに前よりはかどらない」と感じる正体です。
このとき、短い休憩をはさんで頭をいったん作業から離すと、減りかけた「集中の電池」がいくらか充電される、と考えられています。先ほどのシンガポール国立大学の実験でも、休憩をはさんだグループのほうが疲労感や退屈さが少なく、やる気を保てていた、という結果でした。
近年では、こうした「短い休憩」の効果をまとめて検証した研究も発表されており、こまめな息抜きには一定の意味があることがわかってきています。
2022年に学術誌『PLOS ONE』で公開された分析では、過去に発表された22件の研究をまとめて見直したところ、「10分以内の短い休憩(マイクロブレイク)」には、活力(バイタリティ)を高め、疲労をやわらげる効果がある、と報告されました。一方で、頭をしっかり使う重い作業からの回復には、10分の休憩だけでは足りない場合もある、ともされています。つまり、作業の重さに応じて休み方を変えるのが大切、ということですね。
ここで覚えておきたいのは、「休む=サボり」ではないということ。適度な休憩は、むしろその後の時間をしっかり使うための準備運動のようなものなんです。やみくもに走り続けるより、ペース配分を考えて走るランナーのほうが、長い距離を速く走れるのと同じですね。
もうひとつ知っておくと安心なのが、休憩の取り方にも向き不向きがある、という点です。先ほどの分析でも、軽めの単純作業なら短い休憩でしっかり回復できる一方、頭をフル回転させるような重い作業のあとは、少し長めに休んだほうが効果的、という傾向が示されていました。「集中が切れてきたな」と感じる頻度や、作業の重さに合わせて、休む長さをちょこちょこ調整していくのがコツです。
逆に言えば、限界までがんばってヘトヘトになってから倒れこむように休むより、まだ少し余裕があるうちに小さく息を抜いておくほうが、回復もスムーズです。電池が完全にゼロになる前にこまめに充電しておくイメージを持つと、ちょうどいい休憩のリズムがつかみやすくなりますよ。
参考: 出典(PLOS ONE) / 出典(ScienceDaily)
罪悪感なく上手に息抜きを取り入れるコツ
「休憩が大事なのはわかったけれど、ダラダラして逆に戻れなくなりそう…」という不安、よくわかります。そこで、私が日々実践している、上手な息抜きのコツをいくつか紹介します。
ひとつめは、「時間を区切ってから休む」こと。だらだらと休むのではなく、「5分だけ」と決めてから息抜きするのがコツです。先ほどの研究でも、効果が確認されていたのは10分以内の短い休憩でした。区切りがあるからこそ、安心して頭を休められます。
ふたつめは、画面から目と体を離すこと。せっかくの休憩にずっとスマホを見ていては、目も脳も休まりません。立ち上がって少し歩く、窓の外をぼんやり眺める、お茶を一杯いれる。たったこれだけでも、頭はずいぶんスッキリします。私は、煮詰まったら必ず一度イスから立つようにしています。
みっつめは、休憩を「ごほうび」として使うこと。「この作業がひと区切りついたら少し休もう」と決めておくと、目の前の仕事にも集中しやすくなります。休憩が、次のがんばりへの燃料になってくれるわけですね。ゴールが見えていると、人はぐっとふんばりやすくなるものです。
よっつめは、休憩中はできるだけ「気分が切り替わること」を選ぶこと。シンガポール国立大学の実験でポイントになっていたのも、ただ手を止めるだけでなく、本人が楽しい・心地よいと感じる息抜きでした。仕事のメールをチェックするような「半分仕事」の休憩だと、かえって気が休まらないこともあります。好きな音楽を一曲聴く、軽くストレッチするなど、自分がホッとできることを選んでみてください。
そして、もし「仕事中についネットを見すぎてしまう」のが悩みなら、いっそ仕組みで防いでしまうのも手です。ブラウザの拡張機能やスマホの設定には、特定のサイトを一定時間ひらけないようにしたり、使いすぎを知らせてくれたりするものがあります。意志の力だけに頼らず、こうした道具にそっと手伝ってもらうのも、立派な工夫ですよ。

大事なのは、休憩そのものを敵にしないこと。「サボってしまった」と落ち込むより、「うまく充電できた」と前向きにとらえるほうが、結果的に一日をうまく回せます。
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まとめ:休憩は「サボり」ではなく集中力の味方
仕事や作業の合間の息抜きについて、研究の話もまじえながら見てきました。最後に、今日のポイントをおさらいしておきましょう。
結論はとてもシンプルで、適度な休憩は決してサボりではなく、その後の集中力を取り戻すための、れっきとした「味方」だということです。
もとになったシンガポール国立大学の研究では、合間に楽しい息抜きをはさんだグループのほうが、その後の作業で疲れにくく、集中を保てていました。さらに2022年の『PLOS ONE』の分析でも、10分以内の短い休憩には活力を高め疲れをやわらげる効果があると報告されています。ネットサーフィンが特別なのではなく、「気分が切り替わる短い休憩」そのものに意味がありました。
上手に休むコツは、「時間を区切る」「画面から目と体を離す」「ごほうびとして使う」の3つ。そして、ついネットを見すぎてしまう人は、拡張機能などの仕組みに頼って使いすぎを防ぐのもおすすめです。意志の力で我慢するより、ずっとラクで長続きします。
人一倍パソコンに張りついている私だからこそ言えるのですが、一日中ぶっ通しで作業した日より、こまめに小休止をはさんだ日のほうが、結局たくさん前に進めている実感があります。これは本当に、毎日のように感じることです。
「ちょっと疲れたな」と思ったら、罪悪感を抱えこまずに一息つきましょう。その数分が、午後の集中力を支えてくれます。