「体にいい」と思って続けている習慣が、実はそうとも言い切れない――そんな話を見聞きすることがあります。とはいえ、ネット上には根拠のあいまいな健康情報も多いもの。そこで今回は、よく耳にする5つの生活習慣について、公的機関や専門家が示している情報をもとに「実際のところどうなのか」を整理してみました。
結論を先に言えば、多くは「白か黒か」ではなく「人による・程度による」という話です。自分の習慣を見直すきっかけとして読んでいただければと思います。
1. 「8時間睡眠が一番いい」とは限らない
「健康のために8時間眠るべき」とよく言われますが、これは誰にでも当てはまる目標ではありません。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の適正な睡眠時間は6〜8時間程度とされ、少なくとも6時間以上が目安とされています。
一方で、必要な睡眠時間には大きな個人差があり、6時間未満で十分な人もいれば8時間以上必要な人もいるため、日中の眠気や「ぐっすり休めた」という感覚をもとに、自分に合う時間を探ることが勧められています。
つまり「8時間がダメ」なのではなく、「8時間が全員の正解ではない」というのが正確なところです。大切なのは時間の長さよりも、目覚めの良さと日中の調子と言えそうです。
LINK:「8時間睡眠が最適とは限らない」厚生労働省「睡眠対策(健康づくりのための睡眠ガイド2023)」
2. 毎日の入浴は「洗いすぎ」に注意
毎日体を洗うこと自体が悪いわけではありませんが、皮膚科の専門家の中には、強くこすって洗いすぎると皮脂を落としすぎ、乾燥や肌トラブルの原因になり得ると指摘する声があります。熱すぎるお湯やゴシゴシ洗いを避け、ぬるめのお湯でやさしく洗うのがよいとされます。
なお、「シャンプーをしすぎると薄毛になる」という話は俗説で、医学的な根拠は確認されていません。むしろ頭皮を清潔に保つことは大切です。気になる症状がある場合は、自己判断せず皮膚科に相談しましょう。
3. 掃除用品は使いすぎ・換気不足に注意
掃除そのものは健康的な習慣ですが、塩素系などの掃除用洗剤を換気の悪い環境で使い続けると、呼吸器への刺激が懸念されるという指摘があります。
製品の注意書きに従って換気をしっかり行い、必要に応じて手袋を使うなど、正しい使い方を守ることが大切です。気になる場合は、重曹やクエン酸など刺激の少ない方法を取り入れるのも一案です。
LINK:「掃除用品の使い方」消費者庁「住宅用又は家具用の洗浄剤」
4. 食べてすぐ横になるより、少し体を動かす
「食べてすぐ寝ると牛になる」という言い伝えがありますが、食後すぐに横になると胃の不快感や逆流を感じる人もいます。
食後に軽く体を動かす(短い散歩をする程度)のは、消化や血糖の面でよいとされることがあります。ただし激しい運動は逆効果なので、あくまで「ゆるやかに動く」程度が目安です。
LINK:「食後の過ごし方」厚生労働省 e-ヘルスネット(身体活動・運動の情報)
5. 歯磨きのあとは「すすぎすぎない」
これは専門機関も推奨している、根拠のある習慣です。歯磨き粉に含まれるフッ素はむし歯予防に有効ですが、磨いたあとに何度も口をすすぐと、せっかくのフッ素が洗い流されてしまいます。
歯科の情報では、歯磨き後は少量の水で1回だけ軽くすすぐのがよいとされ、すすぎすぎを避けることでフッ素が口の中に長く留まります。
また、歯磨き粉をつける前に歯ブラシを濡らすと泡立ちすぎて「磨いた気」になりやすい、という指摘もあります。
LINK:「歯磨き後はすすぎすぎない」厚生労働省 e-ヘルスネット「フッ化物」
大切なのは「自分に合うかどうか」
以上、よく聞く5つの生活習慣を、できるだけ正確な情報に照らして見直してみました。ここで挙げた話も、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。今の習慣で体調がよいなら無理に変える必要はありませんし、逆に「健康にいいと言われて続けていたけれど実感がない」ものがあれば、一度見直してみる価値はあるかもしれません。
結局のところ、自分の体調や感覚を観察しながら、自分に合う習慣を見つけることが一番の健康法だと感じます。
※この記事は一般的な情報を分かりやすくまとめたもので、医学的な診断・治療を目的としたものではありません。健康に関する不安や具体的な症状がある場合は、自己判断せず医師など専門家にご相談ください。