フリーソフトのインストールで「推奨・おすすめ」設定が危険な理由と安全な入れ方

PCモニターを見て頭を抱えるOL

新しいフリーソフトを入れようとして、インストーラーの画面を「次へ、次へ」と押すだけで進めていませんか。深く考えず「推奨設定」や「おすすめ」を選んでしまう人は、本当に多いです。

先日、父が新しいPCを買ったので設定を手伝っていたら、メーカーソフトの通知を私が無効にしているのを見て「おい、推奨設定じゃなくていいのか!?」と聞かれました。そのとき「なるほど、普通はそう思うものなんだな」と改めて気づいたんです。多くの人にとって「推奨」「おすすめ」は、メーカーが用意してくれた安全な道だと感じられるのでしょう。

ところが、フリーソフトのインストールに限っては、その感覚が逆に落とし穴になります。インストーラーの「推奨・おすすめ設定」のまま進めると、目的のソフトとは別に、不要な抱き合わせソフト(PUP)やアドウェア、勝手なブラウザ設定の変更まで一緒に入ってしまう危険があるのです。

とくにフリーソフトは、無料で配られている分、別のソフトを相乗りさせて紹介料を得る作りになっているものが少なくありません。その相乗りが、ちょうど「推奨」「おすすめ」の選択肢の裏に隠れているのです。だから「親切でおすすめしてくれているんだろう」と素直に受け取ると、まんまと余計なものを抱え込むことになります。

この記事では、なぜ「推奨設定」が危ないのかを実際のインストール画面を例に示しながら、抱き合わせを避けて安全にソフトを入れる具体的なコツを、2026年のいまの環境に合わせてまとめます。難しい知識は一切要りません。インストール画面で「あと一手間」かけるだけで、余計なものをグッと減らせます。Web制作の仕事でたくさんのPCを触ってきた私の経験からも、効果はお墨付きです。

「推奨・おすすめ」設定で何が起きるのか

無料で使えるソフトの多くは、開発元が広告収入などで運営しています。その仕組みのひとつが、インストーラーへの「抱き合わせソフト」の同梱です。本来入れたいソフトに、別の会社のツールバーや検索アプリなどを相乗りさせ、入れてもらうことで紹介料を得るわけです。

こうして入り込む不要なプログラムは、セキュリティの世界でPUP(Potentially Unwanted Program=望ましくない可能性のあるプログラム)と呼ばれます。ウイルスのように即座に害を出すわけではないものの、広告を勝手に表示するアドウェアになったり、動作を重くしたり、個人情報を外部へ送ったりと、放っておくと厄介な存在です。

セキュリティ企業のMalwarebytesも、こうした抱き合わせインストーラーを「ユーザーが気づかないうちに余計なソフトを入れさせるもの」として警告しています。そして多くの場合、それらは「推奨(recommended)」「クイック/簡単インストール」の裏に隠されている、と指摘しています。

つまり「推奨」「おすすめ」というラベルは、必ずしもあなたにとっての最善ではなく、同梱したい側にとって都合のよい初期設定であることが多い、ということです。だからこそ、フリーソフトでは「推奨のまま進める」が一番危ないのです。

出典:Malwarebytes「PUP.Optional.BundleInstaller」ネットセキュリティブログ「アドウェアの同時インストールを防止する方法」

実例:あるソフトのインストール画面を見てみる

言葉だけだとピンと来ないので、以前わかりやすかったインストーラーの画面を例に説明します。昔、友人にインストールの相談をされた動画変換ソフトのケースです。

電話で「インストールのとき余計なものを入れられるかもしれないから、ちょっと待ってね」と言いかけたら、友人から「もう全部『はい』にしちゃったよ」と返ってきて、思わず「おぉい!」となりました(笑)。これがまさに、多くの人がやってしまう典型です。

まずインストーラーを起動すると、こんな画面が出ます。

フリーソフトのインストール画面でデフォルトのチェックが入っている例

「使用状況データや障害レポートを自動送信して機能向上に役立てる」といった項目です。最初からチェックが入っていますが、何を送っているのか分からないなら、外しておく方が無難です。「役立つなら協力したい」と思うなら、そこは自分で判断してそのままでも構いません。大事なのは、内容を読んだうえで自分で選ぶことです。

インストーラーに別の検索ソフトが「おすすめ」として同梱されている例

そして次の画面。本来の動画ソフトとは無関係の、別会社の検索サイト(スタートページ系のツール)が「おすすめ」として登場します。もちろんチェックは最初から「入れる側」に入っています。

ここに「お勧め」「すごいウェブサイトにすばやくアクセス」などと書いてあるのがポイントです。何も知らずに進めると、ブラウザのスタートページや検索エンジンが勝手に書き換えられてしまいます。パソコンに詳しくない人だと、それを元に戻す方法が分からず、ずっとそのまま使い続けてしまうことも珍しくありません。

フルインストールでブラウザに余計なプラグインが追加される例

さらにそのまま「すべて入れる(フルインストール)」を選ぶと、ブラウザに余計な拡張機能まで追加されます。一度入ってしまうと、どれが余計なものか見分けて消すのは、入れるときに外すより何倍も大変です。だから「入る前に止める」のが鉄則なのです。

関連記事:動画変換ソフト「Freemake Video Converter」のインストール方法と使い方

抱き合わせを防ぐ最大のコツは「カスタム/詳細インストール」

では、どうすれば余計なものを避けられるのか。一番効くのは、インストール時に「カスタムインストール」「詳細設定」「Advanced/Custom」を選ぶことです。

多くのインストーラーには「おすすめ(推奨/簡単)」と「カスタム(詳細)」の2つの進め方が用意されています。簡単な方を選ぶと、抱き合わせソフトのチェックは見えないまま素通りしがちです。一方でカスタムを選ぶと、同梱されようとしているソフトの一覧が表示され、チェックを外せるようになります。

海外のセキュリティ企業Panda Securityも、フリーソフトを入れる際は「カスタム/詳細インストールを選べば、一緒に入れられようとしている不要なアプリが一覧で見える」と案内しています。手順をまとめると、次のとおりです。

・インストーラーで「簡単/推奨」ではなく「カスタム/詳細」を選ぶ
・各画面を飛ばさず最後まで読む(「次へ」を連打しない)
・最初からチェックの入っている項目を疑い、見覚えのない名前はその場で検索する
・目的のソフト以外のチェックは外してから次へ進む

とくに、聞いたことのないツールバー名・検索アプリ名・「○○を既定のブラウザにする」「スタートページを変更する」といった文言が出たら要注意です。「初期状態でチェックが入っているもの=あなたが望んだもの、ではない」と覚えておくと、ほとんどの抱き合わせは防げます。

出典:Panda Security「PUPs: Potentially Unwanted Programs」Malwarebytes「PUP.Optional.BundleInstaller」

そもそも「どこから入れるか」が安全性を分ける

インストール画面での注意も大切ですが、それ以前に「どこからダウンロードするか」で安全性は大きく変わります。配布元を間違えると、いくら丁寧にチェックを外しても、改造されたインストーラーをつかまされる恐れがあるからです。

日本の情報処理推進機構(IPA)も、ソフトウェアは「公式サイトや信頼できる公式マーケットなど、信頼できる入手先から手に入れること」を呼びかけています。実際に、検索結果から正規ソフトを落としたつもりが、同じ名前の偽ソフトを入れてしまい、偽の警告画面が出る、といった相談が報告されています。

安全に入れるための入手先の考え方は、こうです。

・まずはソフトの公式サイトから落とす(検索結果の上位=公式とは限らないので、URLとサイト名を確認する)
・「無料ダウンロード」とうたう見慣れない配布サイトや、広告・ポップアップ経由のダウンロードは避ける
・偽のウイルス警告から「今すぐ修復」などと促されても、その場でソフトを入れない

Windowsなら、配布サイト探しの手間そのものを減らす方法もあります。Microsoft Storeや、コマンドでソフトを入れられるwinget(Windows パッケージマネージャー)です。wingetはMicrosoftが提供する仕組みで、SmartScreenでファイルの整合性を確認し、余計な抱き合わせソフトのリスクを抑えながらインストールできる、とMicrosoftの公式ドキュメントでも説明されています。VLCやFirefox、Chromeといった定番ソフトもコマンド一発で入れられるので、慣れると安全かつ手早いです。

もちろん、すべてがStoreやwingetで揃うわけではありません。その場合は公式サイトから落とし、前の章の「カスタムインストール」を徹底すれば十分に安全側に倒せます。

出典:IPA「ソフトウェアのダウンロードは信頼できるサイトから」Microsoft Learn「WinGet を使用したアプリケーションのインストールと管理」

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まとめ:インストールは「あと一手間」で安全になる

フリーソフトのインストールでやりがちな「推奨・おすすめ設定のまま、次へを連打」。これが、不要な抱き合わせソフトやブラウザの勝手な書き換えを招く最大の原因です。「推奨」はあなたのための最善ではなく、同梱したい側に都合のよい初期設定であることが多い、とまず覚えておきましょう。

避けるための要点はシンプルです。入手は公式サイトや、WindowsならMicrosoft Store・wingetといった信頼できる経路から。インストール時は「カスタム/詳細」を選び、各画面をちゃんと読んで、最初から入っているチェックを疑って外す。これだけで、入り込む余計なものは大きく減らせます。

見覚えのない名前が出てきたら、その場で名前を検索してみてください。怪しいソフトは、たいてい悪い評判や注意喚起がすぐ見つかります。判断に迷ったら、無理に入れずに立ち止まるのも立派な選択です。

私自身、仕事で何度も「気づかないうちに入っていた余計なソフト」のお掃除をしてきました。父のPCのように、本人はまったく自覚がないまま、ブラウザのスタートページが見知らぬ検索サイトに変わっていた、というのもよくあるケースです。入れるときに外し忘れた数十秒のツケが、後で何時間分もの駆除作業になって返ってくるわけです。

逆に言えば、入れるときの「あと一手間」さえ習慣にできれば、その手間はまるごと不要になります。公式から落とし、カスタムを選び、画面を読んでチェックを外す。たったこれだけで、PCは長くきれいなまま保てます。何事も「分からなければ調べる」「あやしければ立ち止まる」のクセをつけておくと安心です。インストールのときこそ、画面をゆっくり読む。これがいちばん効く対策です!

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