パソコンの古いフォルダを整理していたら、2013年に書いた「お気に入りFirefoxアドオン52選」という記事が出てきました。今読み返すと、よくもまあこれだけ詰め込んだものだと我ながら呆れます(笑)。当時の私は新しいアドオンを見つけては片っ端からインストールして、ニヤニヤしていたクチでした。
ところが、です。あの頃ずらりと並べていた拡張機能のほとんどは、いまのFirefoxではもう動きません。2017年に起きた「ある大事件」が原因で、当時の定番アドオンは軒並み姿を消してしまったのです。リンクをたどっても「ページが見つかりません」と冷たく言われるだけ、というものも少なくありません。
この記事では、2013年に人気だったFirefoxアドオンが「なぜ使えなくなったのか」をやさしく解き明かし、いま現役で使える代わりの拡張機能(乗り換え先)を一つひとつ案内していきます。
つまり最新のおすすめ一覧というより、当時を知る人には「あー、あれね」と懐かしく、知らない人には「昔のネットの片づけ録」として楽しんでもらえる、回顧+お引っ越しガイドのような記事です。Web制作歴25年、当時もいまもFirefoxを使い続けている管理人が、専門用語をかみくだきながら振り返ってみます。「あのアドオン、まだ使えるのかな?」と気になっていた方や、古い紹介記事を見てインストールに失敗した方の手助けになれば幸いです。古い「おすすめアドオン記事」にだまされないための予防接種にもなりますので、よかったら最後までお付き合いください。
2017年「Quantum」で何が起きたのか
まずは事件のあらましから。2017年11月14日にリリースされたFirefox 57、通称「Firefox Quantum」で、それまでの古い仕組みで作られたアドオンが一斉に動かなくなりました。これが、当時の定番アドオンが大量に消えた直接の原因です。
もう少しだけ中身を説明させてください。Quantum以前のFirefoxはXUL(ズール)やXPCOMと呼ばれる独自の仕組みでアドオンを動かしていました。これがとにかく自由度が高く、ブラウザの隅々まで作り替えられる代わりに、動作が重くなったり不具合の温床になったりしがちでした。
そこでMozillaは、Chromeなど他のブラウザと共通の考え方で作る「WebExtensions(ウェブエクステンションズ)」という新しい仕組みへ全面的に切り替えました。より安全で軽い反面、昔のように何でもかんでもいじれるわけではなくなったため、古いアドオンの多くは作り直しが必要になり、そのまま開発が止まってしまったものが続出したわけです。
ポイントは、2017年より前に書かれた「Firefoxおすすめアドオン」記事に出てくる拡張機能は、そのままでは使えない可能性がとても高いということ。私の2013年版もまさにその犠牲者でした。ネットには古い記事がいつまでも残るので、紹介されているアドオンの更新日付には気をつけたいところです。
参考: Mozilla Add-ons公式ブログ「WebExtensions in Firefox 57」
関連記事:Firefox更新でアドオンが消える・使えない時の原因と対処法【初心者向け】
残念ながら「完全に消えた」アドオンたち
では、ここから当時の顔ぶれが今どうなったかを見ていきましょう。まずは、悲しいことにそのまま開発が止まり、後継もない(あるいは役目を終えた)アドオンたちです。
Firebug → Firefoxの標準機能に吸収
Web制作者の相棒だった開発ツール「Firebug」。実はこれ、なくなったというよりFirefox本体の開発ツールに統合されて発展的に解消されました。いまはキーボードのF12キーを押せば、Firebugの後継にあたる「開発ツール」がそのまま立ち上がります。わざわざアドオンを入れる必要はなくなった、というわけです。これは数少ないハッピーエンドですね。
Tab Mix Plus・DownThemAll → 一度は力尽きた多機能勢
タブ機能を魔改造する「Tab Mix Plus」や、多機能ダウンローダー「DownThemAll!」のように、ブラウザの深い部分をいじる高機能アドオンは、新しいWebExtensionsの仕組みでは同じことが再現しきれず、Quantumを境に動かなくなりました。DownThemAll!はその後WebExtensions版として復活していますが、機能は当時よりシンプルになっています。
Echofon → Twitter(X)の仕様変更で力尽きた
Twitterクライアントの「Echofon」は、Quantumを待つまでもなく、2013年のTwitter API変更で一度息絶えました。有志がAPIに合わせて改修した非公式版が細々と続いた時期もありましたが、その後のXの相次ぐ仕様変更もあり、いまブラウザ内で完結する常駐型クライアントは現実的ではなくなっています。素直に公式サイトかスマホアプリを使うのが正解です。
ほかにも、FEBE(バックアップ)、Speed Dial、Restartless Restart、RSS Icon In Awesombar、雨アラーム拡張機能あたりは、その多くがブラウザ標準機能の進化や役目の変化とともに表舞台から退きました。時代の流れというものですね。
参考: BleepingComputer「Upgrading to Firefox Quantum? Expect Some Add-ons to No Longer Work」
「いまどきの後継」に乗り換えれば大丈夫なアドオン
がっかりするのはまだ早いです。当時のアドオンの役割は、多くがしっかり後継に引き継がれています。「あれが使えないなら、これを入れればいい」という乗り換え先をまとめました。
Adblock Plus → uBlock Origin
2013年版で私が推していた広告ブロッカー「Adblock Plus」。いまも存在はしますが、広告ブロックの主役はすっかり「uBlock Origin(ユーブロック・オリジン)」に交代しました。とにかく動作が軽く、無料でオープンソース。2026年6月時点でFirefoxアドオンの中で最も人気があり、利用者は1000万人を超えています。最初の1つを選ぶならこれで間違いありません。
参考: uBlock Origin(Firefox公式アドオンページ)
FireGestures → Foxy Gestures
マウスの動きでコマンドを実行する人気アドオン「FireGestures」も姿を消しましたが、その遺志を継いだ「Foxy Gestures」がWebExtensionsで登場しています。マウスジェスチャ派の方はこちらへどうぞ。
Greasemonkey → 現役だが Violentmonkey も選択肢
ユーザースクリプトを動かす「Greasemonkey」は、いまもWebExtensions対応版が現役です。ただ、より活発に開発されているオープンソースの「Violentmonkey」も人気で、Chrome系でも使えるぶん乗り換える人が増えています。
Stylish → Stylus
サイトの見た目をCSSで着せ替える「Stylish」は、過去にユーザーの閲覧データを収集していた疑いが取り沙汰され、信頼を落としました。いまは安心して使える後継として、Stylishの古いソースをもとに作られたオープンソースの「Stylus」が定番です。同じことができて、しかも安全。乗り換えない理由がありません。
LastPass → Bitwarden / DownloadHelper はそのまま現役
パスワード管理は当時LastPassを使っていましたが、いまは無料でも十分使えるオープンソースの「Bitwarden(ビットウォーデン)」が人気です。一方で、動画や画像を保存する「Video DownloadHelper」のように、Quantumの荒波を乗り越えていまも公式に配布され続けている息の長いアドオンもあります。古参として、こういう生き残りを見つけると少し嬉しくなりますね(ダウンロードの際は著作権や利用規約を守るのが大前提です)。
関連記事:【2026年版】Firefoxのおすすめ拡張機能|今も使える定番アドオンを厳選紹介
古いアドオンを無理に復活させるのはおすすめしない
ここまで読んで「裏ワザで昔のアドオンを動かせないの?」と思った方もいるかもしれません。実はextensions.legacy.enabledといった設定を書き換えて旧アドオンを強制的に有効化する手法も語られていますが、初心者の方には正直おすすめしません。
古い仕組みのアドオンは、いまのFirefoxのセキュリティ強化と相性が悪く、思わぬ不具合や安全上の穴につながりかねないからです。せっかく軽く・安全になったブラウザを、わざわざ昔の状態に引き戻すのはもったいない話です。
それに、いざ動かしてみても古いままのアドオンは更新が止まっているものがほとんど。サイト側の仕様が変わればすぐに動かなくなりますし、メンテナンスもされません。手間をかけて延命するより、素直に現役の後継へ乗り換えたほうが結局ずっと快適です。お引っ越しと同じで、思い出は大事にしつつ、住む場所は新しくしていきましょう。
まとめ
今回は、2013年に人気だったFirefoxアドオンがその後どうなったのかと、いま使える乗り換え先を振り返りました。当時の定番の多くは2017年のFirefox Quantumで動かなくなりましたが、その役割はuBlock OriginやStylus、Foxy Gesturesといった新しいWebExtensionsの後継にしっかり引き継がれています。
あらためて整理すると、Firebugのようにブラウザ標準機能へ吸収されたもの、Tab Mix PlusやEchofonのように力尽きたもの、そしてAdblock Plus→uBlock Origin、Stylish→Stylusのように後継へバトンが渡ったもの——という三つの道があったことになります。古い記事に並ぶアドオン名をそのまま入れようとせず、まずは「それ、いまの後継は何だろう?」と一歩立ち止まる。これが古い情報に振り回されないコツです。
新しいバージョンが出るたびに右往左往してきた私ですが、Quantumのときは「もうダメかも」と本気で頭を抱えました。それでもふたを開けてみれば、ブラウザは軽くなり、必要な機能はちゃんと後継が生き残ってくれて、いまではすっかり快適に使えています。慣れ親しんだブラウザがこうして進化し続けてくれるのは、長年のユーザーとしてうれしい限りです。当時の52選を懐かしみつつ、これを機にあなたのFirefoxも身軽にお引っ越ししてみてください。いま現役のおすすめ一覧は別記事にまとめてありますので、合わせてのぞいてみてくださいね。