「Firefoxのサイドバーに、X(旧Twitter)のタイムラインを常駐させたい」。ずっとそう思って、何年も前から専用アドオンを探し続けてきました。かつてはEchofon for Firefoxという定番があって、私もずっと愛用していたものです。
ところが今、同じ気持ちで検索してたどり着いた人ほど、ガッカリしているはずです。Echofonはとっくに姿を消し、後継として紹介されていたアドオンも一つ残らず使えなくなっているからです。これは単に「人気が落ちた」という話ではなく、Firefox側とTwitter(X)側で、それぞれ別々の大きな地殻変動が起きた結果なんです。
この記事では、なぜFirefox用のXアドオンが軒並み消えたのかという背景を整理したうえで、いま現実的にFirefoxでX(旧Twitter)を快適に使うための方法を、私が実際に試した手応えとあわせて紹介します。
結論を先に言ってしまうと、今の正解は「専用アドオンを探すこと」ではありません。Firefox本体に最近加わった機能と、公式のWeb版をうまく組み合わせるのが、もっとも安定して使える道です。昔の感覚のまま探し続けても出口がないので、まずは前提が変わったことを受け入れるところから始めましょう。
かつてのEchofonの代わりを探してこの記事にたどり着いた人の多くは、「サイドバーにタイムラインを置きたい」「ブラウザを開けばすぐXが見られる状態にしたい」といった、当時の使い勝手をもう一度手に入れたいだけのはずです。私もまったく同じで、何年も代替アドオンを探してきました。だからこそ、遠回りせずに済むよう、まず原因をはっきりさせてから、今いちばん現実的な方法へ一直線に案内します。読み終えるころには、もうアドオン探しで時間を溶かすことはなくなっているはずです。
そもそもなぜFirefox用のTwitterアドオンは全滅したのか
本題の「どう使うか」に入る前に、なぜ昔の方法が通用しなくなったのかを押さえておきます。原因を知っておくと、ネット上に残っている古い情報に振り回されずに済むからです。
結論から言うと、Firefox用のTwitterアドオンが消えたのは、「Firefox側の仕様変更」と「Twitter(X)側のAPI有料化」という、まったく別の二つの出来事が重なったためです。どちらか片方でも致命傷なのに、両方が立て続けに起きたので、生き残れたアドオンはありませんでした。
原因1:Firefox Quantum(57)で従来型アドオンが全廃された
一つ目はFirefox側の事情です。Echofonをはじめとする昔のアドオンは、XULと呼ばれる古い仕組みで作られていました。サイドバーにタイムラインを表示するような、ブラウザに深く食い込む機能を実現できたのは、このXULのおかげです。
ところがMozillaは2017年11月にリリースしたFirefox 57「Quantum」で、このXUL系の従来型アドオンを完全に廃止しました。代わりに採用されたのが、Google ChromeなどでもおなじみのWebExtensionsという新しい方式です。これにより、それまでの「レガシーアドオン」は57以降のFirefoxではいっさい読み込まれなくなりました。
つまり、たとえTwitter側が何も変わっていなかったとしても、2017年の時点で古いEchofonの類はFirefoxで動かなくなっていた、ということです。
関連記事:2013年人気のFirefoxアドオンは今どうなった?Quantum後の顛末と乗り換え先
出典:Mozilla Add-ons Community Blog「WebExtensions in Firefox 57」
原因2:Twitterが「X」へ変わり、APIが有料化された
二つ目はTwitter(X)側の事情で、こちらのほうがとどめになりました。サードパーティ製のクライアントやアドオンは、Twitterが公開しているAPIという窓口を通じてタイムラインを取得していました。
そのAPIが、2023年に無料提供を打ち切られたのです。これ以降、外部アプリがツイートを読み書きするには高額な有料プランの契約が必要になりました。これを境に、Tweetbotやくっきりした老舗クライアントのTwitterrific、そしてEchofonといった有名な第三者製クライアントが、2023年に相次いで開発終了・サービス終了に追い込まれました。
さらにTwitterはイーロンマスクのもとでサービスの名前自体を「X」に変更しています。2023年7月にあの青い鳥のロゴが姿を消し、2024年5月にはドメインもtwitter.comからx.comへ切り替わりました。名前も、外部開放の方針も、根っこから変わってしまったわけです。
この二つが重なった結果、「FirefoxでXを使うための専用アドオン」というジャンル自体が、事実上消滅しました。古いまとめ記事に並んでいるアドオン名をいくら追いかけても、もう生きているものは見つかりません。
出典:TechCrunch「Twitter to end free access to its API」 / CNBC「Elon Musk rebrands Twitter to ‘X’」
今の正解:XをFirefoxの「Webアプリ」としてインストールする
では、いまFirefoxでXを快適に使うにはどうすればいいのか。私がたどり着いた一番のおすすめは、公式のWeb版(x.com)を、Firefoxの新機能でアプリのように独立したウィンドウにしてしまう方法です。
実はFirefoxには最近、Windows向けに「Webアプリ」という機能が加わりました。これは、よく使うサイトを専用ウィンドウで開けるようにして、タスクバーやスタートメニューに登録できるというものです。タブもアドレスバーもない、まるで専用アプリのような見た目で使えます。
この機能はFirefox 143以降で利用できます(Microsoft Store版のFirefoxの場合は150以降)。手順はとても簡単です。
x.comをFirefoxで開いた状態で、アドレスバーに表示される「Webアプリ」ボタンをクリックします。するとFirefoxがそのサイトをインストールし、タスクバーに追加してくれます。スタートメニューにもショートカットができるので、次からはそこからワンクリックでXだけのウィンドウを開けるようになります。
私はこれを試してから、Xを見るためにわざわざ大量のタブの中をうろうろする手間がなくなりました。専用ウィンドウなので集中もしやすく、サイドバー常駐ほどではないにせよ、昔のクライアントに近い「常にそこにある」感覚を取り戻せたのが大きいです。Echofon難民にとっては、今いちばん納得感のある着地点だと思います。
なお、この機能は今のところWindows版Firefox専用で、プライベートブラウジングでは使えません。macOSやLinuxを使っている人は、後述するブックマークやコンテナでの工夫が現実的な代替になります。
出典:Mozilla サポート「Use web apps in Firefox for Windows」
アカウント切り替え派に効く「コンテナ」機能
もう一つ、Firefoxならではの強力な武器を紹介します。Xを複数アカウントで使い分けている人に、ぜひ知っておいてほしい機能です。
それが、Mozilla公式が提供する拡張機能「Firefox Multi-Account Containers(コンテナー)」です。これを入れると、タブごとにCookieやログイン情報を完全に分離できるため、同じXに複数のアカウントで同時にログインしておけます。
仕組みはシンプルで、コンテナーごとに保存領域が別々になっています。たとえば「個人用」コンテナーのタブと「仕事用」コンテナーのタブで、それぞれ別のXアカウントにログインしたまま並べておけるわけです。いちいちログアウトして入り直す、あの面倒な往復から解放されます。
私は個人の趣味用アカウントと、仕事関連で見ているアカウントをコンテナーで分けています。色分けされたタブで一目で区別できるので、間違って仕事用アカウントで趣味の投稿をリポストしてしまう、といった事故も起きにくくなりました。これはChromeにはないFirefoxの大きな強みなので、複数アカウント運用の人は導入する価値が十分あります。
先ほどのWebアプリ化と組み合わせるのは少し相性が悪い(Webアプリは単一ウィンドウ前提)ので、複数アカウントをガッツリ使い分けたい人はコンテナー中心、シンプルに1アカウントを快適にしたい人はWebアプリ化、という使い分けがおすすめです。
出典:Mozilla サポート「Multi-Account Containers」
多機能に管理したい人向け:TweetDeck(現X Pro)の今
複数のタイムラインやリスト、検索結果を一画面に並べて眺めたい。そんなヘビーユーザーにとって長年の定番だったのが、TweetDeckです。ブラウザで開くタイプなので、もちろんFirefoxでも使えました。
ただ、ここにも大きな変化があります。TweetDeckは2023年に「X Pro」へと名前を変え、無料では使えなくなりました。利用には有料プランのX Premiumへの加入が必要です。
かつては誰でも無料で使えた高機能ツールだったので、ここは正直にお伝えしておく必要があります。日常的にXを情報収集の主戦場にしていて、複数カラムでの管理にお金を払う価値を感じる人なら選択肢になりますが、「ちょっと便利に使いたい」程度の人には、わざわざ有料プランを契約してまで、とはなりにくいと思います。
ライトに使いたいなら前述のWebアプリ化やコンテナーで十分ですし、多機能を求めるなら有料のX Proを検討する、という二段構えで考えるのがすっきりします。
出典:CNBC「TweetDeck, renamed X Pro, now requires a subscription」
参考:当時試したEchofon代替アドオンの画面
当時の記録として、2013年ごろに実際に試したEchofon代替アドオンの画面を残しておきます。いずれも現在はサービス終了・動作不可となっていますが、こういったアドオンが存在していた証拠として。

Yoono:TwitterをはじめSNSやウェブメール、RSSリーダーなどをまとめて表示できる多機能アドオン。

Twitbin:シンプルでEchofonに近いインターフェイスの海外製アドオン。

Twitter App:TwitterのWeb画面をサイドバーに最適化した海外製アドオン。動作は安定していた。
まとめ:アドオンを探す時代は終わった。発想を切り替えよう
ここまで、FirefoxでX(旧Twitter)を快適に使う方法を整理してきました。最後に要点をまとめておきます。
かつてのEchofonのような専用アドオンは、もう探しても見つかりません。理由は二つで、2017年のFirefox Quantum(57)で従来型アドオンが全廃されたこと、そして2023年にTwitterが「X」へ変わりAPIが有料化されたことです。この二段構えの変化で、サードパーティ製クライアントというジャンルそのものが終わりました。
だからこそ、これからは「アドオンを探す」発想から「ブラウザの機能で工夫する」発想へ切り替えるのが正解です。具体的には次の三つが軸になります。
まず、シンプルに1アカウントを快適にしたいなら、x.comをFirefoxのWebアプリとしてインストールして、専用ウィンドウで使う方法。これがいちばん手軽で、私の一番のおすすめです。次に、複数アカウントを使い分けるなら、公式拡張のMulti-Account Containersでタブごとにログインを分ける方法。そして、複数カラムでがっつり管理したい人は、有料化された現在のX Pro(旧TweetDeck)を検討する、という流れです。
正直に言えば、サイドバー常駐の手軽さが完全に戻ってくるわけではありません。それでも、Webアプリ化とコンテナーを組み合わせれば、今のFirefoxでもXは十分に快適に使えます。古いまとめ記事のアドオン名を一つずつ試して落胆する前に、まずはx.comをWebアプリ化するところから始めてみてください。私の場合は、これだけで毎日のXとの付き合い方がかなり楽になりました。