「AIにコードを書かせる」という話が、この1年でいっきに現実の作業になりました。
その真ん中にいるのが、Anthropic(アンソロピック)の「Claude Code(クロード・コード)」です。ただ、検索して出てくるのは黒い画面に白い文字が並んだターミナルの写真ばかり。あれを見た瞬間に「これは自分の担当ではない」とタブを閉じた方も多いのではないでしょうか。私も新しい道具の前ではまず身構えるほうなので、その感覚はよく分かります。
実際にやることは、思っているより地味です。作業したいフォルダの中で claude と打ち、日本語で「このページの見出しを大きくして」とお願いする。するとAIが自分でファイルを探して読み、書き換えの案を出してきます。ボタンの位置を覚える必要がないぶん、慣れると手数はむしろ少ない。
Claude CodeはWindows・Mac・Linuxともコマンドを1行貼れば入り、あとは作業したいフォルダの中で「claude」と打って日本語でお願いすれば動きます。
先に必要なものを3つだけ。対応しているパソコン、Claudeの有料プラン(またはConsoleのAPI)、そしてコマンド1行です。無料プランではClaude Codeを使えないので、ここだけは入れる前に確認してください。
私はこのブログの記事の点検や、アクセス解析のスクリプトを毎日Claude Codeに書かせています。そのうえで「最初に知っておけばよかった」と思ったのは、料金プランの条件と、次に説明する権限モードの初期値でした。どちらも入れてから気づくと面倒な種類の話です。
Claude Codeとは|パソコンの中で動くAIの相棒
ひと言でいうと、Claude Codeは「自分のパソコンの中で動く、AIのコーディング相棒」です。
もともとはターミナル(マウスでクリックする代わりに、文字=コマンドで指示を出す画面)の中で動くツールとして生まれました。従来のターミナルは「正しいコマンドを覚えた人だけが使える場所」でしたが、Claude Codeはそこに普通の言葉で「お問い合わせフォームの送信ボタンが効かないので直して」と書けば通じます。
チャット型のAIとの一番の違いは、答えを返すだけでなく、手元のファイルを実際に読んで書き換えるところです。コードの調査、修正、不具合の原因追い、Gitでの履歴の記録まで、言葉の指示のまま任せられます。
ブラウザのChatGPTやClaudeに貼って、返ってきたものをまたエディタに貼る。あの往復がなくなります。私の場合、この往復が消えたことが一番大きかったです。
使える場所はターミナルだけじゃない
「ターミナル専用」と思われがちですが、入り口は複数あります。自分がラクなところから始めれば大丈夫です。
- ターミナル(CLI):もっとも基本。WindowsのPowerShellやコマンドプロンプト、Macのターミナルで動きます。
- エディタの拡張機能:VS CodeとJetBrains系エディタ。普段の開発画面の中で使えます。
- デスクトップアプリ:Windows・Mac・Linux向け。ターミナルを開かずに始められます。
- ブラウザ版:claude.ai/code から使えます。パソコンに何も入れずに試したいときに。
- SlackとCI:SlackのほかGitHub ActionsやGitLab CI/CDからも動かせます。
黒い画面がどうしても苦手なら、デスクトップアプリかブラウザ版が向いています。裏で動いているAIは同じなので、入り口が変わっても「できること」自体は変わりません。
ただし、この記事で説明するコマンドやスラッシュコマンドはターミナル版(CLI)の書き方です。アプリ版は画面のボタンが同じ役割を担っています。
始める前に|対応環境と料金プラン
入れる前に手元の環境を確認しておきます。ここを飛ばすと「動かない」でハマるので、最初が肝心です。
対応するOSとスペック
公式が挙げている条件はこうなっています。
- macOS 13.0以降
- Windows 10(1809以降)または Windows Server 2019以降
- Ubuntu 20.04以降/Debian 10以降/Alpine Linux 3.19以降
- メモリ4GB以上、x64またはARM64のCPU
- シェルはBash・Zsh・PowerShell・CMDのいずれか
よほど古いパソコンでなければ、たいていクリアできます。インターネット接続は必須です。AI本体はクラウド側にいるので、ネットが切れていると相棒は黙ったままです。
料金|無料プランでは使えない
見落とされがちなのがここ。Claude Codeを使うには、Claudeの有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)か、Console経由のAPI(前払いクレジット)が必要です。無料のClaude.aiプランにClaude Codeは含まれていません。
個人で試すなら、まずはProプラン(月20ドル。年払いなら200ドル一括で、月あたり17ドル)が最初の候補です。もっと回したくなったらMaxプラン(月100ドルから)という選択肢もあります。毎月の固定費を持ちたくない場合はAPIの従量課金もありますが、使った量で請求が動くので、最初はProのほうが支払いを見通しやすいです。
Windowsだけ、前準備が1つ増える
Windowsにそのまま入れる場合、Git for Windowsを先に入れておくのがおすすめです。必須ではありませんが、入れておくとClaude CodeがGit Bashを使えるようになります。入れない場合は、代わりにPowerShellが使われます。
WSL(Windows上のLinux環境)で使う手もあります。この場合はWSLのターミナルの中で入れて、WSLの中から起動します。PowerShellから起動するのではない点に注意してください。
インストール手順|Windows・Mac・Linux
公式が推奨しているのは「1行貼って実行するだけ」の方法(ネイティブインストール)で、環境ごとにコマンドが違います。
Windows(PowerShellの場合)
PowerShellを開いて、次の1行を貼り付けてEnterします。管理者として実行する必要はありません。
irm https://claude.ai/install.ps1 | iex
呪文のように見えますが、「公式のインストール用ファイルを取ってきて、そのまま実行する」という意味です。
Windows(コマンドプロンプトの場合)
コマンドプロンプト(CMD)はコマンドが別物です。
curl -fsSL https://claude.ai/install.cmd -o install.cmd && install.cmd && del install.cmd
つまずくのはほぼここで、原因は「自分がどっちの画面にいるか分かっていない」ことです。エラー文で判別できます。
The token '&&' is not a valid statement separatorと出た → PowerShellにいます。上のPowerShell用コマンドを使ってください'irm' is not recognized as an internal or external commandと出た → CMDにいます。このCMD用コマンドを使ってください
実行前に見分けるなら、画面の左端の表示です。PS C:\ で始まっていればPowerShell、PS が付かず C:\ だけならコマンドプロンプトです。
Mac・Linux(WSLも同じ)
「ターミナル」を開いて、次の1行を貼り付けます。
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
パッケージ管理ツールから入れる場合
いつも使っている道具から入れたい人向けに、こちらも用意されています。
brew install --cask claude-code
winget install Anthropic.ClaudeCode
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
上からHomebrew(Mac)、WinGet(Windows)、npmです。npmで入れる場合はNode.js 22以降が必要です。DebianやFedora、Alpineならapt・dnf・apkのリポジトリも公開されています。
自動更新されるのは公式の1行(ネイティブインストール)だけです。HomebrewやWinGet、Linuxのパッケージ管理ツールから入れた場合は自分で上げる必要があります。
brew upgrade claude-code
winget upgrade Anthropic.ClaudeCode
Claude Codeは更新が速いので、「気づいたら数か月前の版だった」を避けたいなら公式の1行が無難です。
入ったかどうかを確認する
終わったら、バージョンを表示させてみます。
claude --version
2.1.211 (Claude Code) のように、番号と (Claude Code) が出れば成功です。command not found と返ってくるならパスが通っていないので、ターミナルを閉じて開き直してからもう一度試してください。
もう少し詳しく調べたいときは、次のコマンドが効きます。
claude doctor
セッションを開かずに、インストールの状態や設定ファイルの書き間違い、更新に失敗していないかまで診断してくれます。お医者さんみたいで、これがけっこう心強い。
参考:Claude Code 公式ドキュメント(セットアップ)
使い方の基本|起動からお願いまで3ステップ
インストールが済んだら、実際の使い方です。流れは3つだけです。
ステップ1:作業したいフォルダで起動する
いじりたいプロジェクトのフォルダに移動して、こう打ちます。
claude
初回はブラウザが開いてログインを求められるので、指示どおり認証すれば準備完了です。ANTHROPIC_API_KEY という環境変数を設定している場合は、ブラウザではなくそのキーを使うかの確認が出ます。あとからアカウントを切り替えたくなったら、セッションの中で /login と打てば入り直せます。
ステップ2:日本語でお願いする
あとは話しかけるだけです。例えばこんな頼み方をします。
- 「このフォルダがどういう構成か教えて」
- 「トップページの見出しの文字を大きくして」
- 「このエラーの原因を調べて直して」
コツは、ざっくり書かないことです。「バグを直して」よりも「ログイン画面でパスワードを間違えたとき真っ白になるので直して」のほうが精度が上がります。この頼み方の感覚は、チャット型AIと共通しています。
ステップ3:どこまで勝手にやらせるかを決める
「毎回確認してくれる」とは限りません。
Claude Codeには権限モードがあり、ターミナルで始めたセッションの初期値はプランごとに別です。Pro・Max・Teamでは autoモードで始まります。これは別のAI(分類器)が代わりに危険度を見てくれる仕組みで、多くのファイル編集やコマンド実行は、あなたに確認せずそのまま進みます。
それ以外のプランは Manualモードが初期値です。こちらは読み取り以外のほとんどの操作で、実行前に「これをやっていい?」と聞いてきます。
切り替えは Shift+Tab です。セッション中でも押すたびにモードが変わります。慣れるまでは、次の順番で使うのが安全です。
- Manual:読み取り以外は毎回聞かれる。中身を見て納得してから許可したい段階はこれ
- plan:先に計画だけ立てさせて、承認するまで編集させない。知らないコードを触るとき向き
- auto:手が止まらない。長い作業を任せられるようになってから
最初にautoで走らせて驚くくらいなら、Shift+Tab でManualに落としてから始めるほうが精神衛生上いいです。大事なファイルを扱うときは、私も今でもManualに戻します。
覚えるコマンドは起動5つとスラッシュ5つ
コマンドは山ほどありますが、最初に覚えるのはこれだけで足ります。まずターミナルで打つ側。
claude 対話モードで起動する
claude "テストを直して" 最初の指示つきで起動する
claude -p "この関数を説明して" 1回だけ答えさせて終了する
claude -c 直前の会話を続ける
claude -r 過去の会話を選んで再開する
次に、起動したあとセッションの中で使う側です。こちらは / から始まります。
/help 使えるコマンドの一覧
/clear 会話の履歴をリセットする
/login アカウントを入れ直す
/memory 記憶させている内容を見る・編集する
/exit 終了する(Ctrl+Dを2回でも同じ)
あわせて、手が速くなる操作も4つ。/ だけ打つと使えるコマンドが一覧で出ます。Tabキーで補完、上矢印キーで履歴、Shift+Tab で権限モードの切り替えです。
実用上一番効くのは /clear です。別の作業に移るとき、前の話題が残っていると見当違いの提案が増えます。テーマが変わったら履歴を切る、と決めておくと安定します。
CLAUDE.mdを置くと同じ説明を繰り返さずに済む
使い始めて2〜3日で必ずぶつかるのが、「毎回同じ前提を説明している」問題です。セッションは1回ごとに記憶が白紙に戻るので、放っておくと毎朝同じ注意書きを打つことになります。
解決策は、プロジェクトのルートに CLAUDE.md という名前のファイルを置くことです。中身はただのテキストで、Claude Codeが起動のたびに読みます。
ゼロから書くのが面倒なら、セッションの中でこれを打つと下書きを作ってくれます。
/init
プロジェクトを調べて、ビルドやテストのコマンド、見つけた規約をまとめたファイルを作ってくれます。すでにCLAUDE.mdがある場合は、上書きせず改善案を出してくれます。
書くときのコツは2つです。1つ目は具体的に書くこと。「綺麗に整えて」ではなく「字下げは半角スペース2つ」、「テストして」ではなく「コミット前に npm test を走らせる」と書きます。2つ目は短く保つこと。目安は200行以内で、長くなるほど守られにくくなります。
置き場所は用途で選べます。./CLAUDE.md はチームで共有するプロジェクトの決まりごと、~/.claude/CLAUDE.md は自分の全プロジェクトに効く個人設定です。
私はこのブログ用のCLAUDE.mdに、「丸数字は使わない(端末で判別できないため)」「生成したファイルは作業フォルダの下に置く」といった運用ルールを書いています。読者に見える成果物ではありませんが、これを書いてから毎回の言い直しがほぼなくなりました。
メリットとデメリット
便利なのは間違いないのですが、万能ではありません。両方を知っておくと、付き合い方を間違えずに済みます。
メリット
一番は、プロジェクト全体を見たうえで複数のファイルをまたいで直せることです。1ファイルずつコピペしていた作業と比べると、ここは本当に大きい。
コードを書く以外の仕事も頼めます。不具合の切り分け、履歴の記録(コミット)、テストの追加、READMEの更新まで通じるので、「何から手をつければいいか分からない」ときの最初の相談相手としても使えます。
プログラミング以外の作業にも使えます。私はアクセス解析のデータを取って集計させたり、記事の表記ゆれを全記事分チェックさせたりしています。ファイルを読んで書き換える道具なので、対象がコードである必要はありません。
デメリット
まず、無料では使えません。有料プランかAPI課金が前提なので、気軽さという点ではここがハードルです。
次に、AIの提案が常に正しいとは限らないこと。もっともらしい顔で間違えることがあるので、最終的に中身を確認するのは人間の役目です。とくにautoモードで走らせていると、間違いも止まらずに進みます。「丸投げできる魔法」ではなく「優秀だが確認が必要なアシスタント」、この距離感がちょうどいいです。
ターミナルという入り口そのものも、最初はやはり戸惑うところです。ただ無理して使う必要はなく、デスクトップアプリやVS Code拡張、ブラウザ版でも中身は同じです。
まとめ
やることを整理すると3つです。対応環境と有料アカウント(無料プランは対象外)を用意する。Windowsなら irm https://claude.ai/install.ps1 | iex、Mac・Linuxなら curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash を1行貼る。そしてフォルダの中で claude と打って、日本語でお願いする。
つまずきやすい所も並べておきます。Windowsでコマンドが弾かれたら、まずPowerShellとコマンドプロンプトのどちらにいるかを確認してください。エラー文で判別できます。claude --version でバージョンが出れば入っています。うまくいかないときは claude doctor が診断してくれます。
使い始めたあとに効くのは2つ。Shift+Tab で権限モードを自分の慣れに合わせること、そしてプロジェクトに CLAUDE.md を置いて同じ説明を繰り返さないことです。とくに権限モードは初期値がプランで違うので、入れた日に一度確認しておくと安心して任せられます。
コマンドは起動側の5つとスラッシュの5つで足ります。/clear で話題を切る癖だけ早めに付けておくと、ちぐはぐな提案が減ります。
有料アカウントが前提の道具です。いきなり本番のファイルに当てず、小さな作業を1つ任せて手元の仕事に合うかを見るところから始めると、合わなかったときの損も小さく済みます。