人気のノベル風ゲームアプリ『LOOP THE LOOP』シリーズ、待望の最新作『LOOP THE LOOP 第三幕【藝術家の庭】』をプレイしました。予定されていたスケジュールより遅れてのリリースになってしまったので、その分期待も膨らみます!
本作『藝術家の庭』は過去の2作品(ep.0を含めると4作品)をプレイしていないと内容が全くがわからないと思います。未プレイの方は『LOOP THE LOOP 第一幕【飽食の館】』から順にプレイしていくことをおすすめします。
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『LOOP THE LOOP【藝術家の庭】』のストーリー
自殺したアキから届いた突然の招待状。主人公のレミはLOOP THE LOOP(以下LTL)に巻き込まれることを覚悟の上で招待された「庭」に行くことを決意します。道中で合流したカリンやカエデ達と庭を訪れると、想像していた通り全ての人間が姿を消してしまします。
アキが自らの命と引き換えに作り上げたLTL=庭。アキはLTLの中では高速移動や空を飛ぶことはもちろん、庭で起こった全てのことを把握していると言い放ちます。そして脱出の相談はもちろん、ルールを破ったら即死刑にすると宣告します。
しかし、全てを見透かすという発言はアキのブラフだと考えたタクトたちは、それを見破ってアキに敗北感を味あわせることで支配から逃れようと試みます。カエデとタクトの偽装殺人のトリックを使いアキのブラフを完全に論破し、勝負が見えたかと思ったのも束の間…アキはプライドを捨ててその事実をうやむやに終わらせてしまいます。
そして失うものがなくなったアキは、力にまかせの凶行に走ります。冴木とチサを殺し、他の者へも次々と牙をむきます。人間を捨てたアキに力で勝つことは100%不可能。全て諦めた絶体絶命のピンチに陥りますが、その時現れたのは…
なんと「館」で姿を消したルカでした。
ルカは現実とのリンクが切れたアキの動きに対抗できる唯一の人間。僅かな希望を彼に託しますが、数十年闇を彷徨っていたブランクもありアキに惨敗を喫します。
しかし…
この先の真実はその目で確かめてみてください。
『LOOP THE LOOP【藝術家の庭】』をプレイして
正直、過去の作品と比べると怖さは半減していると思います。LTLの世界に慣れてしまったこともありますが、今回は誰がいつ殺してくるか明確だったので「誰が犯人か」「いつ殺されるか」といった得体のしれない恐怖に襲われることがありませんでした。
また、殺されても現実世界とのリンクが切れなければ死なないことがわかっているので「館」の時ほどの緊迫感もありません。ドラゴンボールで言うと「でぇじょうぶだ。ドラゴンボールで生き返らせればいい」的な感覚と近いのではないでしょうかw
ただ、会話はもちろん思考でさえも読み取ると宣言したアキのプレッシャーに終始苦しさを感じましたし、アキが壊れてからはさらに怖かったのは確かです。
少し残念だったのが、ユーザーの選択フェーズが全くなくなった点。ある程度分岐があって、間違えたらバッドエンドとなる方が、ゲーム性も出てより良かったと思います(ちなみに「館」では選択できる場面が少しだけありました)。例えば、タクトの偽装殺人の種明かしで「ドアのロックのリモコンを操作したのは誰か?」、間違えたらレミが恐怖で手を挙げられず、アキがタクトを殺してバッドエンドとか。
シリーズ通して謎めいていたアキの深層を表現した本作は、LTLシリーズの最後にふさわしい内容でした。BGMは素晴らしく、特にアキが登場するシーンは底知れない不安定感と恐怖が音楽で上手く表現されていました。また、館で牢に閉じ込められたアキが閉所恐怖症だったことなど、伏線も随所にちりばめられているのもよかったです。
無料とは思えない内容とボリュームなので、胸をはっておすすめできる良アプリです。ただし、ゲームというよりは小説を読む感覚なので、ゲーム性を求める方や過激な表現が苦手な方は向かないかもしれません。
また、過去の作品同様、本編とは別のサイドストーリーも用意されていますので、本編が気に入った方はこちらもプレイしてみるとさらに楽しめると思います。
クリア後のおまけで、次回作『スピン』についても触れられていました。こちらも期待できる作品になると思いますので、それまで過去の作品をプレイして待っていましょう!
おまけ考察:アキとタクトの関係について
なぜアキはタクトの父親に招待状を送ったのでしょうか。
タクトがそのことについて触れてもアキは「自分で考えろ」と答えるだけです。
ここで庭でのアキの発言を思い出してみましょう。
アキは館に集まった人間には因縁があり、それは偶然ではなく運命だと言っています。例えば、ナツコは冴木の部下の娘であり、ユキはかつて冴木の親友であったサキトの妹、チサは館で死んだムネタカの妹…と、因縁めいた繋がりが垣間見えます。
そしてアキがタクトの父親を庭に招待したということは、タクトの父親とアキ、またタクト本人にもなんらかの繋がりがあったと考えられます。
タクトの話によると、父親は色んな所で女性と関係をもつ遊び人でどうしようもない男だったとのこと。
対してアキは父親の顔を知りません。また杉山は会話の中でアキの父親のことを「母親の愛人」と表現しています。そして警察に保護されたアキは義理の父と母のもとで生活することになります。
ここから推測される答えはタクトの父親=アキの父親…2人は異母兄弟ということではないでしょうか。
言われてみれば、どことなく雰囲気の似ている二人です。しかし、近しい風貌とは裏腹に生き方や考え方は真逆で意見の対立が作中で多く描かれています。アキのタクトに対する挑発的な態度の根本にはこんな背景があったから…なのかもしれません。