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生命保険料控除証明書をスマホで受け取る手順|年末調整に間に合う準備

書類棚

10月の終わりごろになると、保険会社から小さなハガキが届きます。

「生命保険料控除証明書」。年末調整のときに勤務先へ提出する、あの紙です。ハガキサイズで、めくると1年分の保険料が小さく印字してある。大事な書類には見えないので、届いた日に机の上へ置いて、そのまま山の下に沈みます。

あの紙、スマホで受け取れます。

正確に言うと、保険会社から紙ではなく電子データで送ってもらい、マイナンバーカードをスマホで読み取って取り出す仕組みです。国税庁が用意しているマイナポータル連携という仕掛けで、生命保険料だけでなく、地震保険料、国民年金保険料、iDeCoの掛金、住宅ローン控除の年末残高証明書まで、まとめて扱えます。郵便受けを気にしなくてよくなるのは、それだけで気が楽になります。

ただし、時期の問題があります。控除証明書を電子データで受け取るには保険会社ごとの申し込みが必要で、その受付が始まるのは10月の中ごろ。今年の年末調整に間に合わせたいなら、9月のうちにマイナポータル側の準備を済ませておくのが現実的です。

9月のうちにやることは2つです。マイナポータルの利用者登録と、e-私書箱という耳慣れない名前のサービスにアカウントを作ること。どちらもスマホで終わります。

「うちの会社は紙で年末調整をしているから関係ない」と思った方にも、続きを読む理由があります。電子データは国税庁のシステムでQRコード付きのPDFに変換でき、それを印刷して出せば紙の証明書と同じように使えるからです。

紙のハガキと電子データ、何が変わるのか

紙の控除証明書は、10月から11月にかけて郵送で届きます。届いたら保管して、勤務先の申告書に金額を書き写して、原本を貼って提出する。ここまでが毎年の流れです。

電子データにすると、この経路が変わります。保険会社は紙を送る代わりに、あなた専用のネット上のポストへデータを届けます。そこからマイナポータル経由で取り出し、国税庁の年末調整控除申告書作成用ソフト(年調ソフト)に読み込ませると、金額の転記も控除額の計算もソフト側がやってくれます。

手で書き写す工程が丸ごと消えるので、桁を間違えるという事故がなくなります。数字を目で追って書き写す作業は、地味に神経を使う部分でした。

扱える証明書は生命保険料だけではありません。国税庁の案内では、地震保険料控除、国民年金保険料などの社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCoを含みます)、住宅ローン控除の年末残高等証明書と、年末調整で使う主要なものがひととおり並んでいます。

寄附金控除、いわゆるふるさと納税の証明書も同じ経路に乗りますが、こちらは年末調整ではなく確定申告で使うものです。

参考:国税庁「マイナポータルと連携した年末調整手続」

そろえるものは3つ|カード・読み取れるスマホ・マイナアプリ

まず手元にそろえるものは3つです。

  • マイナンバーカード本体
  • カードを読み取れるスマートフォン(パソコンならICカードリーダライタ)
  • マイナアプリ

パスワードも要ります。日本生命の案内では、利用者証明用電子証明書のパスワードと、券面事項入力補助用パスワードの2つを使うと明記されています。どちらも市区町村の窓口でカードを受け取ったときに設定した、数字4桁のものです。

4桁を思い出せないまま申し込みに進むと、ここで止まります。何度か続けて間違えるとロックがかかり、解除には窓口へ出向く必要があります。心当たりがないなら、申し込みの前に一度アプリで読み取って確かめておくほうが早いです。

3つ目のマイナアプリについては補足が要ります。2026年8月25日に「マイナポータルアプリ」が「マイナアプリ」へ刷新され、これまで別だったデジタル認証アプリの機能も1つにまとまりました。マイナポータルの入り口も、銀行口座の開設などで使う本人確認も、このアプリ1本で足ります。

引っかかるとすれば案内の表記です。保険会社のページや手順書には、まだ「マイナポータルアプリ」と旧名で書かれているものがあります。同じものを指しているので、アプリストアでは「マイナアプリ」を探してください。

参考:デジタル庁「マイナアプリ」

申し込みの受付が始まるのは10月の中ごろ

電子データで受け取るには、保険会社に対して「紙ではなくデータでください」と申し込む必要があります。黙っていれば例年どおり紙のハガキが届きます。

その受付期間が、思っているより遅く始まります。日本生命の控除証明書電子交付サービスは、受付期間を毎年10月中旬から確定申告の締切日の前営業日までと案内していて、令和8年分については10月13日9時から翌年3月12日9時までと日付まで公開されています。

申し込めばその日から使えるわけでもありません。同社の案内では、初回の申し込みから利用登録完了のお知らせが届くまで2〜3営業日。そこからe-私書箱との連携作業があり、データが実際にマイナポータルから取れるようになるまで、さらに数日みておく必要があります。

受付開始が10月の中ごろ、届くまでにさらに数日。ここから逆算すると、勤務先へ書類を出す時期までの余裕はそれほどありません。

受付期間も手順も保険会社ごとに違います。ここで挙げた日付は日本生命のもので、他社が同じとは限りません。契約している会社の案内を必ず見てください。

では9月の今できることは何か。マイナポータル側の準備です。利用者登録とe-私書箱のアカウント作成は保険会社の受付とは無関係に進められるので、先に済ませておけば、10月にやることは保険会社への申し込みだけです。

参考:日本生命「控除証明書電子交付サービス」

マイナポータルとe-私書箱をつなぐ

e-私書箱。名前は郵便局の新サービスのようですが、関係ありません。民間送達サービスと呼ばれるもので、インターネット上に自分専用のポストを作り、企業からの書類をそこで受け取る仕組みです。

マイナポータルが行政からの窓口、e-私書箱が民間企業からの郵便受け。役割が分かれているので、保険会社のデータを受け取るには両方が要ります。

流れは次のとおりです。

  • マイナアプリでマイナポータルにログインし、利用者登録を済ませる
  • 保険会社のサイトで控除証明書の電子交付を申し込む
  • 案内に従ってe-私書箱のアカウントを作り、マイナポータルと連携する
  • 保険会社との連携に同意し、連携済みになっていることを確認する
  • マイナポータルの「年末調整の事前準備」から証明書のデータを取得する

画面の並びは保険会社によって差がありますが、途中で「e-私書箱につなぐ」という作業が入る点は共通しています。

データを取得できる期間にも決まりがあります。国税庁の案内では、控除証明書データの取得ができるのは前年10月から当年1月まで。年末調整にも確定申告にも使えるよう、幅のある期間が設けられています。

自分の保険会社が対応しているか、先に確かめる

ここまで準備しても、契約している保険会社が電子交付に対応していなければ紙のままです。

対応状況は国税庁がまとめて公開しています。「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」というページで、生命保険会社だけでも30社以上が並びます。損害保険や金融機関、共済なども同じ一覧で確認できます。

この一覧は随時更新される性質のもので、新しく対応した発行主体が追加されていきます。去年見て載っていなかった会社が、今年は入っているかもしれません。

準備を始める前に、この一覧で契約先を1回検索しておくと無駄足を防げます。載っていなければ、今年は紙の証明書を待つほかありません。

なお、一覧の内容と実際の対応が食い違っていた場合は各発行主体に問い合わせるよう、国税庁も書き添えています。最終的な窓口は保険会社側です。

参考:国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」

勤務先が紙のままでも、電子データは無駄にならない

年末調整を電子化するかどうかは勤務先の判断です。データで受け付けてくれる会社もあれば、いまも紙の申告書に原本を貼る会社もあります。

紙の会社に勤めていても、電子データは使えます。国税庁が「QRコード付証明書等作成システム」を用意しているからです。受け取った電子データを読み込ませると、QRコード付きのPDFに変換されます。これを印刷して申告書に添付すれば、紙の証明書と同じように受け付けてもらえます。

ただし注意が2つあります。

1つ目は、変換せずに印刷したものは認められないこと。電子データの中身はXMLという形式で、そのまま開くと数字と文字の羅列が並びます。明治安田生命は案内の中で、国税庁のサイトでQRコード付きのPDFに変換したものでなければ公的な生命保険料控除証明書とは認められないと、わざわざ強調しています。変換を挟まずに印刷したものは、勤務先に出しても受け付けてもらえません。

2つ目は、そのQRコード付証明書等作成システムがパソコン専用で、スマホやタブレットでは使えないこと。証明書を集めるところまではスマホで完結するのに、紙にする工程だけはパソコンが要ります。

勤務先が紙の運用なら、受け取りはスマホ、印刷はパソコン。この役割分担を最初から見込んでおくと、提出直前に慌てずに済みます。

参考:国税庁「QRコード付証明書等作成システム」

まとめ

保険会社への申し込みは10月の中ごろから受付が始まり、登録が終わるまでに数営業日かかります。一方、マイナポータルの利用者登録とe-私書箱のアカウント作成は、保険会社の受付とは関係なく今日からできます。この2つを9月のうちに片づけておけば、10月は申し込むだけで済みます。

対象は生命保険料に限りません。地震保険料、国民年金保険料、iDeCoの掛金、住宅ローン控除の残高証明書まで、年末調整で使う書類のほとんどが同じ経路に乗ります。契約先が対応しているかどうかは、国税庁の発行主体一覧で先に確かめられます。

この仕組みの肝は、証明書を「探す」作業がなくなることです。ハガキを保管する場所も、見当たらないときの再発行依頼も、まとめて不要になります。

気をつけたい点も2つありました。パスワードのロックと、電子データをそのまま印刷しても認められないこと。後者は紙で提出する会社に勤めている人ほど引っかかりやすい部分です。国税庁のQRコード付証明書等作成システムを通す、この一手間を覚えておけば済みます。

もう1つ、つまずきやすいのがアプリの名前です。保険会社の手順書に「マイナポータルアプリ」と書かれていても、アプリストアで探すのは「マイナアプリ」。名前が変わったのは今年8月なので、旧名のまま案内しているページがまだ残っています。

控除証明書の金額は桁が多いのに、申告書の記入欄は小さい。あの欄に数字を書き写すのが、私は毎年いやでした。年調ソフトに読み込ませるだけで済むなら、10月に申し込む手間はそれで返ってきます。

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