日本語の誤用としてよく挙げられる「汚名挽回」という言葉。「名誉挽回」と混同して使ってしまい「汚名を取り戻してどうするんだよ」とツッコまれたことがある方もいるかと思います。
ご存知の通り、正しくは「汚名返上」。「汚名を返す」という意で世間では認知されていると思います。
しかし、なんとこの汚名挽回という使い方も間違いではないと国語辞典編纂者の飯間浩明さんがツイートして話題になっています。
関連記事:【衝撃】大豆と枝豆の違い、知ってますか?実は大豆と枝豆って…
「汚名の状態を元に戻す」ということらしい
飯間浩明さんによると「挽回」は「元に戻す」という意味があるので、「汚名挽回」は「汚名の状態を元に戻す」と考えられ、誤用ではないとのこと。
「挽回」は「元に戻す」という意味があるので、「汚名挽回」は「汚名の状態を元に戻す」と考えられ、誤用ではない。これは『三省堂国語辞典』第7版に記述しました。『明鏡国語辞典』もやんわりとですが、誤用と決めつけられないことを記しています。「汚名挽回」の汚名挽回なるか、といったところ。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2014, 5月 1
この「汚名挽回」誤用説はいつ頃から発生したか。私の知るかぎりでは、1976年の『死にかけた日本語』(英潮社)の指摘が早いです。それまで「汚名挽回」は普通に使われていたのに、これ以降、誤用説が強まり、今は肩身の狭い立場になった。この本はけっこう影響力があり、やっかいな存在です。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2014, 5月 1
「汚名挽回」は誤用でないという発言に対し質問が多いので、補足します。(1)「汚名挽回」が「汚名を元の状態に戻すこと」なら、「名誉挽回」は「名誉のない元の状態に戻すこと」?→そうではありません。どちらも、いい状態に戻すのです。これは「疲労回復」「元気回復」が参考になりますね。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2014, 5月 2
国語辞典を編纂している人の発言とあって反響も大きいようです。
ネット上では「間違いだと思っていた」「知らなかった」と驚く人がいる一方、「しっくりこない」「何が正しいかわからなくなってきた」という声も出ています。飯間浩明さんはTwitter上で色々補足していますので、興味がある方はご覧ください。
実際に誤用かどうかの判断は難しいですが、一般的に「間違った使い方」として認知されているので個人的には使わない方がいい気はします。皆さんはどう思いますか?