Acrobat Readerで注釈を書き込んでCtrl+Sを押したら、「文書を保存できませんでした」と出て手が止まった…そんな場面ではありませんか?
まず、Acrobat Readerはまだ閉じないでください。閉じた時点で、保存できなかった書き込みや入力欄の文字は消えてしまいます。
保存できない原因は、PDFを置いている場所、PDFそのものにかかった制限、そしてAcrobat Readerの設定の、大きく3か所に分かれます。開く画面も、エクスプローラーのプロパティ、PDFの文書のプロパティ、Readerの環境設定とそれぞれ違います。置き場所が原因なら、環境設定を手当たり次第にいじっても、時間ばかりかかって直りませんよね。
PDFが保存できないときは、まず[名前を付けて保存]でデスクトップに別名で保存できるかを試し、通れば元の置き場所(読み取り専用・共有フォルダー・メールの添付)を、通らなければPDFの制限とAcrobat Readerの設定を疑います。
別名保存が通れば、書き込んだ内容はひとまずデスクトップに残ります。原因探しの途中で作業を失わないという意味でも、この順番がいちばん安全なんです。
エラーの文面も手がかりで、「読み取り専用になっているか、ほかのユーザーが開いている」という趣旨なら置き場所の問題。番号付きで「文書の読み取り中に問題が発生しました」という趣旨なら、ファイル自体の傷みも候補に入ってきます。
まずは別名でデスクトップに保存してみる
最初の一手はこれだけ。
- Acrobat Readerの左上の[メニュー](古い画面なら[ファイル])を開く
- [名前を付けて保存]を選ぶ
- 保存先にデスクトップを選び、ファイル名の末尾に「_2」などを足す
- [保存]を押す
キーボードなら Shift+Ctrl+S で同じ画面が開きます。
ファイル名を変えるのは、あとで元のファイルと取り違えないためです。上書きのつもりで同じ名前を付けると、どちらが書き込み済みの版なのか、開いてみるまで分からなくなります。
結果は2通りに分かれます。
- デスクトップには保存できた → 元の置き場所に問題がある(次の章へ)
- デスクトップにも保存できない → PDFの制限か、Acrobat Readerの設定(その次の章へ)
実はエラーの文面そのものに「別の名前で保存するか、別のフォルダーに保存してください」という趣旨の案内が添えられていることもあります。Adobe自身が用意している逃げ道なので、遠慮なく使ってOKです。

別名なら保存できた|元の置き場所を確かめる
デスクトップに保存できたなら、PDFの中身は無事。原因は、元のファイルが置いてある場所にあります。
ファイルが「読み取り専用」になっている
いちばん手早く確かめられるのがここ。
- 保存できなかったPDFをエクスプローラーで右クリックする
- [プロパティ]を開く
- [全般]タブの下にある[属性]で、[読み取り専用]のチェックを外す
- [OK]を押し、Acrobat ReaderでPDFを開き直して保存する
USBメモリーやCDからコピーしてきたファイル、誰かから受け取ったファイルで、このチェックが入ったままになっていることがあります。
共有フォルダーのPDFで起きている
職場の共有フォルダーに置いたPDFは、ほかの人が開いている間は上書きできないことがあります。Adobeの案内も、ネットワーク上のファイルなら誰かが開いていないかを確かめるよう書いています。
誰も開いていないのに保存できない場合は、そのフォルダーに書き込む権限が無いのかもしれません。Adobeのコミュニティには、ネットワークドライブで同じ症状が出た人に「そこに新しいPDFを作って保存できるか試し、だめならネットワークの担当者にファイルの権限を確かめてもらって」という回答がついていました。
権限の話になると、自分のパソコンの設定では直せません。デスクトップに保存した版で作業を進めつつ、社内の担当者に相談するのが現実的でしょう。
メールの添付ファイルを直接開いている
メールソフトの添付ファイルをダブルクリックして開いたPDFは、パソコンの中の一時的な置き場所から開かれています。そこに上書きしても、メールに付いているPDFそのものは書き換わりません。
私もこれで一度、注釈を全部書き込んで保存したのに、どこに保存されたのか見つけられなくなったことがあります。メールからもう一度開いたPDFはまっさらで、結局最初から書き直し…。
それ以来、添付のPDFは書き込む前に必ず[名前を付けて保存]でドキュメントフォルダーに置いてから開いています。ひと手間ですが、保存先を見失うよりずっとマシです。
参考:Adobe コミュニティ
別名でも保存できない|PDFにかかった制限を見る
デスクトップに保存しても弾かれるなら、次に疑うのはPDFの中身です。PDFは作った人が「変更」「注釈」「フォームへの入力」などを個別に禁止できるので、Acrobat Readerでは書き込みや保存ができない作りになっていることがあります。
- PDFを開いたまま Ctrl+D を押す([メニュー]→[文書のプロパティ]でも同じ)
- [セキュリティ]タブを開く
- 下の一覧で「変更」「注釈」「フォームフィールドの入力」などが[許可しない]になっていないか見る
[許可しない]が並んでいたら、Acrobat Readerの設定ではどうにもなりません。パスワードで守られたPDFも同じで、Adobeの案内でも持ち主にパスワードを外してもらうのが基本です。
ネットで見かける「制限解除サイト」にPDFを上げるのは、私はおすすめしません。見積書や申込書のような書類を、外のサーバーに丸ごと渡すことになるからです。送り主に「書き込める版をもらえますか」と一言頼むほうが、早くて安全ですね。
※制限が無いのに特定の1ファイルだけ保存できない場合は、ファイル自体が傷んでいることもあります。Adobeのコミュニティには、エラー番号110が出た1つのPDFを別のPDFソフトで保存し直したら、Acrobat Readerでも保存できるようになったという報告がありました。
保存の画面が出ない・固まる|Acrobat Readerの設定を見直す
[保存]を押しても何も起きない、保存先を選ぶ画面までたどり着けない。こういう症状なら、PDFより先にAcrobat Readerの設定を疑ってください。
保存時のオンラインストレージ表示を切る
- Ctrl+K で[環境設定]を開く([メニュー]→[環境設定]でも同じ)
- 左の一覧で[一般]を選ぶ
- 「ファイルを保存時にオンラインストレージを表示」のチェックを外す
- [OK]を押し、もう一度保存する
ここにチェックが入っていると、保存のたびにAdobeのクラウドの画面が先に出てきます。Adobeのコミュニティでは、このチェックを外したら[名前を付けて保存]が通るようになったという声が複数ついていました。
「高速Web表示を許可」を外す
Adobeの案内では、Acrobat Readerで[名前を付けて保存]が効かないときの手として、次の方法を挙げています。
- Ctrl+K で[環境設定]を開く
- 左の一覧で[インターネット]を選ぶ
- 「高速Web表示を許可」のチェックを外し、[OK]を押す
- Acrobat Readerを閉じて起動し直す
閉じる前に、書き込み済みのPDFがデスクトップに別名で残っているかだけは確かめておきましょう。
更新と修復
設定を2か所外しても変わらないなら、Acrobat Reader本体の側です。
- [メニュー]→[ヘルプ]→[アップデートの有無をチェック]を選び、更新があれば入れる
- 直らなければ[ヘルプ]→[インストールの修復]を選ぶ(Windowsのみ)
- パソコンを再起動してから、もう一度保存する
修復は数分かかることもあるので、急ぎの書類はデスクトップに保存した版で先に片づけてしまうのが賢い順番だと思います。
参考:Adobe 公式(英語)
まとめ
デスクトップに別名で保存できるかどうか。PDFが保存できないとき、最初に見るのはこの1点です。
通れば、原因は元の置き場所にあります。ファイルの[読み取り専用]、共有フォルダーで誰かが開いている、フォルダーに書き込む権限が無い、メールの添付を直接開いている、のどれかなので、順に当たってみてください。
通らなければ、PDFの制限か設定の番。Ctrl+Dの[セキュリティ]タブに[許可しない]が並んでいたら、送り主に書き込める版をもらうのが、解除サイトに書類を上げるより早くて安全ですよ。
制限が無いのに保存の画面がおかしいなら、Ctrl+Kの[環境設定]でオンラインストレージの表示と高速Web表示の2か所を外し、それでもだめなら更新と修復へ進みます。
保存できないPDFは、別名保存で原因を2つに割ってから、置き場所・制限・設定の順に1か所ずつ確かめれば、直す場所を当てずっぽうで探さずに済みます。
エラーが出た直後にAcrobat Readerを閉じないことも、忘れずに。閉じた時点で、書き込んだ注釈や入力欄の文字は保存されないまま消えてしまいます。急ぎの書類なら、デスクトップに保存した版で先に提出してしまうのも手です。
私は、環境設定を触る前に、まずデスクトップへ別名で保存してみます。設定はあちこち変えるほど、どこを変えたのか自分でも分からなくなるからです。