ExcelをPDFにすると罫線が消える原因|印刷では出るなら設定1つ

PDFから印刷した書類

Excelで作った表をPDFにして開いた瞬間、「あれ、罫線がない…」と手が止まったことはありませんか。

さっきまで画面にきっちり引かれていた線が、PDFでは一部だけ抜けている。全部消えるならまだ諦めもつくのに、横線だけ、あるいは表の真ん中の数本だけがスッと無くなっている。この中途半端さが、なんとも気持ち悪いところです。

見積書や請求書、社内で回す一覧表となると余計に焦ります。線が抜けたまま送っていいものか判断もつかず、開いては閉じ、また開いてを繰り返す。そのうち「Excelの罫線の引き方が悪いのでは」と、元のファイルを疑い始めます。

ただ、この症状には大きな落とし穴があります。試しに印刷してみると、消えていたはずの罫線が紙にはちゃんと出てくるのです。

つまりPDFのデータ自体は無事で、画面に映すときだけ線が消えて見えている。実はこのパターンがかなり多く、Excelの罫線をいくら引き直しても解決しません。

私も以前、A4の一覧表をPDFにしたら中央の縦線だけが消えて、罫線の設定を何度もやり直したことがあります。結局データは最初から正常で、原因はPDFを表示していたソフトの側にありました。あの30分は返ってきません…。

この記事では、ExcelをPDFにしたときに罫線が消える症状を「画面だけ消えている場合」と「本当に消えている場合」に切り分け、それぞれの原因と直し方を順番に解説します。

原因の見分け方さえ分かれば、触るのは設定1つか2つで済みます。表を作り直す必要はありませんし、専用のソフトを買う必要もありません。

まず確認:印刷して線が出るなら、PDFは壊れていない

原因を探し始める前に、1つだけやってほしい確認があります。

罫線が消えたそのPDFを、実際に印刷してみることです。プリンターが手元になければ、PDFを開いた状態で表示倍率を200%くらいまで上げるだけでもかまいません。

ここで線が出てくるなら、PDFの中に罫線のデータはきちんと入っています。

紙やズームで線が出るなら表示の問題、紙にも出ないならデータの問題。この二択で、探すべき場所が正反対になります。

順番を間違えると、悪くもないExcelの罫線を延々と引き直すことになります。私がやらかしたのは、まさにこれでした。

画面だけ消えるケース:犯人はビューアの「描画」

PDFの罫線は、太さを「0.5pt」といった数値で持っています。対して、パソコンの画面はピクセルの集まりです。

この2つを合わせるとき、ビューアは「この線は画面上だと0.4ピクセル分だ」といった計算をします。ところが1ピクセルより細い線は、そのままでは描けません。

そこで四捨五入して1ピクセルぶんに広げるか、あるいは描かずに飛ばすかを決めます。飛ばす側に倒れた線が、画面から姿を消すわけです。

表示倍率を変えると線が出たり消えたりするのは、この計算結果が倍率ごとに変わるからです。75%では消えて、100%では出て、110%でまた消える。不具合のように見えますが、仕組みの上ではこうなります。

印刷の解像度は画面よりずっと高いので、同じ0.5ptの線でも余裕をもって描けます。紙にはちゃんと出るのに画面では消える、という不思議な現象の正体はこれです。

Acrobat Readerの「細い線を拡張」をオンにする

Acrobat Reader には、この「細すぎて描けない線」を救うための設定が用意されています。

手順は次のとおりです。

  • Acrobat Reader のメニューから「編集」→「環境設定」を開く
  • 左側の分類から「ページ表示」を選ぶ
  • 「レンダリング」の中にある「細い線を拡張」にチェックを入れる
  • OKで閉じ、PDFをいったん開き直す

この項目は既定でオンになっています。ただ、線の太さを正確に確認したい印刷会社やデザイナーはあえてオフにすることがあり、その状態のまま使い続けていると細い罫線がごっそり見えなくなります。

表示を見やすくするか、線の太さを正確に見るか。オンとオフは、その切り替えスイッチだと思ってください。

これはあくまで画面表示の設定なので、オンにしてもオフにしても印刷結果やPDFの中身は変わりません。バージョンによっては「細い線を強調」と表示されることもあります。

参考:Acrobatでの細い線の表示についての解説

ブラウザで開いているなら、Acrobatで開き直す

PDFをダブルクリックすると Edge が立ち上がる、という環境の方も多いはずです。

Edge や Chrome に内蔵されたPDFビューアは起動が速くて快適ですが、細い線の描画をどう扱うかを調整する項目は見当たりません。

同じPDFなのに、Acrobat Reader では線が出て、ブラウザでは消える。これが起こると「相手には見えているのに自分だけ見えない」という、話が噛み合わない状況にもなります。

罫線が消えて見えたら、まず別のビューアで開き直す。原因の切り分けとしても手っ取り早い方法です。

紙にも出ないケース:Excel側の設定を疑う

印刷しても罫線が出ない。この場合はPDFではなく、元のExcelに原因があります。

「簡易印刷(下書き品質)」がオンになっている

まず疑うのはここです。Excelには印刷を速く済ませるためのモードがあり、これがオンだと罫線や図が省かれます。

確認手順は次のとおりです。

  • 「ページレイアウト」タブを開く
  • 「ページ設定」グループの右下にある小さな矢印をクリックする
  • 開いたダイアログの「シート」タブを選ぶ
  • 「簡易印刷」のチェックを外す(バージョンによっては「下書き品質」と表示されます)

印刷プレビューの時点で罫線が消えているなら、ほぼこれが原因です。Microsoft の公式ページでも、枠線が印刷されないときの確認先としてこの項目が挙げられています。

厄介なのは、Excelの編集画面では罫線がしっかり見えていることです。プレビューやPDFにして初めて気づくので、犯人だと思い至るまでに時間がかかります。

「枠線」と「罫線」は別もの

Excelの画面にうっすら見えているマス目は「枠線」といって、罫線とは別のものです。そして枠線は、既定では印刷されません。

画面で見えているから大丈夫だろうと思ってPDFにすると、表の形が跡形もなく消える。原因はこれです。

表として線を出したいなら、セルを選んで「罫線」を引くのが基本です。どうしてもマス目ごと出したい場合は、「ページレイアウト」タブの「枠線」で「印刷」にチェックを入れます。

ただし枠線の印刷はシート全体に効いてしまうので、資料としてきれいに見せたいなら罫線を引いたほうが確実です。

参考:Microsoft公式のヘルプ

仮想プリンター経由なら、書き出し方を変えてみる

「Microsoft Print to PDF」や「Adobe PDF」といった仮想プリンターを使ってPDFにしている場合、出来上がりはプリンタードライバーの解釈に左右されます。

Microsoft の公式ページでも、枠線が印刷されない原因の1つとしてプリンタードライバーの問題が挙げられています。ドライバーを最新のものに入れ替えると直ることもあります。

ただ、もっと手っ取り早いのは書き出し方そのものを変えてしまうことです。「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」を使うと、プリンタードライバーを通さずにPDFが作られます。

同じ表でも結果が変わることがあるので、印刷経由でうまくいかないときは試す価値があります。

そもそも罫線が消えにくい表にするコツ

ここまでの対処で直るとはいえ、毎回やるのは面倒です。作る段階で気をつけておくと、そもそも消えにくくなります。

  • 罫線の線種は、いちばん細い実線ではなく1段太いものを選ぶ
  • 罫線の色を薄いグレーにしない(薄い線は表示でも印刷でも飛びやすい)
  • 「シートを1ページに印刷」で極端に縮小しない

特に3つ目は見落としがちです。横長の表を無理やり1ページに収めようとして40%まで縮めると、罫線も一緒に細くなります。

0.5ptの線が0.2pt相当まで痩せてしまえば、画面から消えるのは当然の話です。

縮小率が50%を下回りそうなときは、用紙をA3にする、印刷の向きを横にする、列幅を詰めるといった手で、縮小そのものを減らしたほうが結果はきれいに仕上がります。

関連記事:エクセルの印刷時に図形の位置がずれる場合の解決方法

まとめ

ExcelをPDFにすると罫線が消える問題を、原因別に見てきました。

いちばん大事なのは、最初にやる切り分けです。印刷して線が出る、あるいは表示倍率を上げると線が出るなら、PDFは壊れていません。犯人はビューア側なので、Acrobat Reader の「編集」→「環境設定」→「ページ表示」→「レンダリング」にある「細い線を拡張」を見に行けば片がつきます。

紙にも出ないなら、Excelの「簡易印刷(下書き品質)」と、枠線と罫線の取り違え。私が見てきた範囲では、この2つでほとんど説明がついてしまいます。それでも残るようなら、仮想プリンター経由をやめてエクスポートから書き出す手が残っています。

画面で消えて見えるだけなのか、データとして消えているのか——この見分けさえつけば、直すのに必要なのは設定1つか2つです。

個人的に強く推したいのは、罫線をいちばん細い線種で引かないことです。繊細に見せたくて極細を選ぶ気持ちは分かるのですが、画面でも紙でも真っ先に消えるのがこの線なんです。1段太くするだけで事故はぐっと減ります!

もう1つ、PDFを人に送る前に一度は Acrobat Reader で開いて確認しておくこと。ブラウザのビューアは手軽ですが、細い線の扱いが違うぶん、相手の見え方とズレることがあります。

罫線が消えた瞬間は「PDF変換が壊れた」と思いがちですが、たいていはデータではなく見え方の問題です。まずは印刷、次にビューアの設定。この順番さえ覚えておけば、次に同じ画面に出くわしても慌てずに済みます。