共有フォルダーに置いてある集計ファイルをダブルクリックしたら、「使用中のため、読み取り専用で開きますか?」。
フロアを見渡しても、そのファイルを開いていそうな人はいません。当人に聞いても「さっき閉じたよ」と返ってくるのに、何度開き直しても同じ画面が出るんです。
このときExcelは嘘をついていません。ファイルを開いている「誰か」は、たいてい人ではなく、前回の作業が残していったかけらのほうです。
よく出くわすのは、共有フォルダーの月次ファイルと、部署に1つしかない台帳。朝イチで開けないと、その日の段取りが丸ごと後ろへずれるやつです。
読み取り専用でもファイルは開きますし、数字を打ち込むこともできます。できないのは上書き保存だけ。気づかないまま30分ぶん入力して、保存の段になって別名を求められると、そのあとに元ファイルとの突き合わせが待っています。
エクセルが読み取り専用でしか開けないときは、画面に出ているメッセージの種類で原因が4つに分かれ、残った一時ファイル・バックグラウンドのExcel・ファイルの属性・保護ビューのどれを外せばいいかがその場で決まります。
私も共有フォルダーの見積書で同じことをやりました。誰も開いていないはずなのに使用中だと言われ続け、犯人は数十分前に閉じたつもりの自分のExcelです。
ちなみに、ここから出てくる操作にレジストリの編集も設定の初期化もありません。消すのは一時ファイル、落とすのはプロセス、外すのはチェック1つです。
まず、画面に出ているメッセージを見分ける
「読み取り専用」とひとことで言っても、Excelが出してくる画面は4種類あります。どれが出ているかで、触る場所がまるきり変わるんです。
- 「使用中のため、読み取り専用で開きますか?」というダイアログが出る → ファイルがロックされている
- ダイアログは出ないが、タイトルバーのファイル名の後ろに[読み取り専用]と付いている → ファイル側の設定か属性
- 画面の上に黄色い帯が出ていて、[編集を有効にする]ボタンがある → 保護ビュー
- 「〇〇(自分の名前)によってロックされています」と出る → 自分の別のセッションが残っている
見分けないまま、検索で出てきた手順を上から全部試すと、関係のない設定まで変えてしまいます。2つ目と3つ目は、そもそもロックですらありません。
「使用中です」と出るのに、誰も開いていないとき
Excelは、ファイルを開いている間、同じフォルダーの中に一時ファイルを作ります。名前は元のファイルと同じで、頭に ~$ が付いたもの。ふだんは隠しファイルなので目に入りません。
これが「このファイルは私が使っています」という札の役目をしていて、ファイルを閉じると消えます。消えるはず、でした。
Excelが強制終了したり、パソコンが落ちたり、ネットワークが切れたりすると、札だけが貼られたまま残ります。Microsoftのサポートも、アプリが突然終了すると一時ファイルが残り、ほかの人が開けなくなると書いています。
消し方は次のとおりです。
- 対象のファイルを開いているExcelを、全員ぶん閉じる
- エクスプローラーで、そのファイルがあるフォルダーを開く
- [表示]→[表示]→[隠しファイル]にチェックを入れる
- 元のファイルと同じ名前で、頭に
~$が付いたファイルを探す - 見つかったら削除する
- ファイルを開き直して、読み取り専用が外れたか確認する
削除と聞くと手が止まりますが、消えるのは札だけで、~$ ファイルの中に表のデータは入っていません。元のファイルは無傷のまま残ります。
※ほかの人が本当に編集中のときに消すと、その人の保存が巻き込まれます。席を外しているだけの人がいないか、消す前に一声かけてください。
ネットワーク上の共有フォルダーでは、隠しファイルを表示しただけでは ~$ が出てこないことがあります。そのときはエクスプローラーの[…]→[オプション]→[表示]タブを開き、[保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない]のチェックを一時的に外します。用が済んだら必ず戻してください。
参考:Microsoft サポート「使用中のファイル」エラーを解決する
一時ファイルが見つからないのに、まだロックされている
~$ ファイルがどこにも無いのに使用中だと言われるなら、そのファイルをつかんでいるのは別のものです。心当たりは3つ。
1つ目は、エクスプローラーのプレビュー ウィンドウ。右側にファイルの中身をちらっと表示する、あの枠です。表示しているだけで開いた扱いになることがあるので、Alt+P で閉じてみてください。
2つ目は、窓を持たないまま生き残ったExcel本体。Ctrl+Shift+Esc でタスク マネージャーを開き、バックグラウンド プロセスの一覧に Microsoft Excel がいないかを見ます。画面にExcelは1つも出ていないのに、ここでは元気に動いていることがあるんです! 右クリックから[タスクの終了]で落とせます。
3つ目が、ウイルス対策ソフト・バックアップソフト・検索インデックスの作成ツール。ファイルを走査している最中は、そのファイルを押さえています。社内の管理ソフトが夜間バックアップを引きずっていた、というのもよくある場面ですね。
ここまでやっても動かないときは、変に粘らずパソコンを再起動するほうが早いと思います。OSが握ったままのファイル ハンドルごと、まとめて手放させるのが目的です。
ダイアログは出ないのに[読み取り専用]と付いている
タイトルバーに[読み取り専用]とだけ付いているときは、誰もロックしていません。ファイル側が、最初からそう開くように決められているだけです。
外す場所は2か所あるので、上から順に見ていきます。
- エクスプローラーでファイルを右クリックして[プロパティ]を開く
- 下のほうにある[読み取り専用]のチェックを外して[OK]
- Excelで開き直し、まだ付いているなら[ファイル]→[情報]→[ブックの保護]を開く
- [常に読み取り専用で開く]が色付きになっていたら、クリックして戻す
- 上書き保存してから、もう一度開き直して確かめる
前者はWindowsのファイル属性、後者はExcelのブック側の設定です。「間違って上書きされたら困る」と誰かが付けた名残であることが多く、外してもファイルは壊れません。
そのほか、OneDriveの空き容量が尽きているときや、Microsoft 365のライセンス認証が切れているときも読み取り専用になります。「ライセンスのない製品」と出ていたら、ファイルではなくサブスクリプションのほうを疑ってください。
参考:Microsoft サポート ファイルが読み取り専用で開かれる理由
黄色い帯が出ているなら、それは保護ビュー
インターネットからダウンロードしたファイルや、メールの添付ファイル、ほかの人のOneDriveから開いたファイルは、Excelが「出どころが外」と判断して保護ビューという読み取り専用モードで開きます。
解除そのものは一瞬で、黄色い帯の[編集を有効にする]を押すだけ。帯が赤いときは、[ファイル]から[編集する]を選びます。
ただ、この帯はマクロを仕込んだファイルを装うメールに対する最後の壁でもあります。押す前に、差出人と添付の中身に心当たりがあるかだけは確かめてください。
設定から保護ビュー自体をオフにすることもできますが、私はおすすめしません。年に数回しか当たらない面倒を減らすために、毎日の防御を外す取り引きになるので。
ロックしているのが自分の名前だったら
「〇〇によってロックされています」の〇〇が自分だったときの、あの気まずさときたら!
考えられるのは2つで、別のパソコンやスマホのExcelで同じファイルを開きっぱなしにしていること、前回のExcelがきちんと閉じられなかったことです。Microsoftの案内も、すべてのデバイスでファイルを閉じて数分待つように、としています。サーバー側がロックを手放すまでに少し時間がかかるからです。
SharePointに置いてあるファイルなら、チェックインのし忘れも疑ってみる価値があります。チェックアウトしたまま帰ってしまった人がいると、その人が戻るまで誰も編集できません。管理者なら、チェックアウトの破棄で外せます。
OneDriveの同期が止まっているだけ、ということもあります。通知領域のOneDriveから同期を一時停止して、もう一度再開させると、あっさり直ることがありますよ。
共有フォルダーに置いている限り、同時編集はできない
毎日のようにこれで止まるなら、犯人探しより置き場所を疑う番です。
Excelの共同編集が成り立つのは、ファイルがOneDrive、OneDrive for Business、Microsoft 365のSharePointにあるときだけ。社内サーバーの共有フォルダー、ローカルのフォルダー、Dropbox・Box・Google ドライブは対象外です。共有フォルダーのファイルは、先に開いた人が独占して、あとの人が読み取り専用になります。不具合ではなく、そういう作りなんです。
条件はあと2つ。ファイル形式が .xlsx / .xlsm / .xlsb のどれかであること(Strict Open XML は不可)。そして、全員が共同編集に対応したExcelを使っていることです。Excel 2016・2019・2021 LTSC は共同編集に対応していないので、1人がその版で開くだけで、ほかの全員にロックのメッセージが出ます。
昔の「ブックの共有」機能が残っているファイルも同じように引っかかります。これをオフにするのが、Microsoftの案内でも最初の一手になっています。
参考:Microsoft サポート Excel ファイルの編集中にロックされる
まとめ
出ているメッセージが「使用中」なら残った ~$ ファイルとバックグラウンドのExcelを、タイトルバーに[読み取り専用]とだけ付くならファイルの属性と[常に読み取り専用で開く]を、黄色い帯なら保護ビューを見ます。原因の置き場所がきれいに分かれているので、片っ端から試す必要はありません。
そして、誰も開いていないのに使用中だと言われる原因の多くは、前回の作業が貼りっぱなしにした札です。Excelが落ちた、PCを強制終了した、ネットワークが切れた。そのときに残った ~$ ファイルを消すか、タスク マネージャーに居座っているExcelを落とすかで、たいてい片が付きます。
読み取り専用はファイルの故障ではなく、誰かが——ときには自分が——そのファイルを押さえているという合図なので、押さえている相手さえ外せば元どおり編集できます。
毎日これが起きるなら、犯人探しより置き場所を変えるほうが早いですよ。共同編集が成り立つのはOneDriveとSharePointだけで、社内の共有フォルダーに置いている限り、先に開いた人が独占する形は変わりません。「ロックを解除する裏技」を探し続けても、仕様のほうは動いてくれないので。
私は見積書のファイルで半日これに付き合って、最後にタスク マネージャーの中から自分のExcelが出てきたときは、さすがに脱力しました……。それ以来、共有フォルダーのファイルを閉じたあとは、タスクバーからExcelのアイコンが消えたかどうかを一瞬だけ見る癖がついています。あの半日に比べれば、安いものです。