電車で移動している最中に、スマホのゲームが「通信エラー」で止まる。
私が通信の詰まりをいちばん感じたのは、この電車の中でした。ゲームの途中で通信エラーが出て、そこまでのプレイが切れてしまう。それが一度や二度ではなく、結構な頻度で起きていました。原因ははっきりしないものの、5Gと4Gの切り替えがうまくいっていないのでは、と疑っていました。
電波は立っているのに通信だけが止まるこの症状は「パケ止まり」「パケ詰まり」と呼ばれていて、2021年にはドコモとソフトバンクが基地局の設定を見直す事態になりました。電車の中だけでなく、駅のホームや大きな交差点、ビルの陰でも起きます。
起きやすいのは5Gのエリアの端です。いま使われている5Gの多くは4Gの電波と組み合わせて動いていて、5Gの電波が弱くなった場所でもスマホが5Gをつかみ続けると、そこで通信が詰まります。走っている電車はこの境目を次々に横切っていくので、座っているだけで何度も当たることになります。
この症状は、スマホの設定を「4G」に固定すれば端末の側で避けられます。iPhoneもAndroidも設定画面の1か所を変えるだけで、5Gにはいつでも戻せます。
Webのページなら数秒止まっても読み込みが続くだけですが、オンラインのゲームは途切れるとエラーになりやすいので、止まる回線の害をまともに受けます。私は、外で5Gの速さが効いてくるのは大きなファイルや動画を落とすときくらいで、ゲームやLINEなら4Gで困る場面はほとんどないと考えています。
5Gの表示なのに通信が止まるのはなぜか
日本の5Gは、多くの場所で「NSA(ノンスタンドアロン)」という方式で動いています。
土台は4Gの電波で、そこに5Gの電波を足して速くする仕組みです。4Gの基地局と5Gの基地局の両方に同時につながるので、5Gの電波が届く場所では速くなり、届かない場所では4Gだけで通信を続けられます。
問題は、その境目です。5Gの電波がぎりぎり届いている場所で、スマホと基地局が5Gを手放さないまま通信しようとすると、データがほとんど流れなくなります。アンテナ表示は立っていて、表示も「5G」のまま。ここが分かりにくいところで、見た目では圏外と区別が付きません。
日経クロステックの2021年10月の記事によると、ソフトバンクは基地局が5Gを優先する初期設定になっていたことを認めて調整を進め、ドコモの幹部も「5Gに固執しすぎてしまった」と振り返っています。キャリア側の改善は続いていますが、エリアの端という場所そのものはなくならないので、今でも条件がそろえば起きます。
電車の中でとくに起きやすい理由
スマホは移動しながら、つながる基地局を次々に乗り換えていく仕組みです。歩いている程度なら乗り換えの回数は知れていますが、電車の速さだと数分のうちに何度も切り替わります。
そこへ重なるのが、5Gの事情です。5Gの電波は4Gより届く範囲が狭く、エリアはまだまだら。走る電車の中のスマホは、5Gのエリアに入っては出るを繰り返し、そのたびに5Gをつかむ・手放すをやり直すことになります。手放すのが遅れた数秒が、まさにパケ止まりの時間です。
この数秒にいちばん弱いのが、オンラインのゲームです。サーバーと絶えずやりとりしているので、少し途切れただけで切断と判定されやすい。私が電車の中で見ていた通信エラーも、この形だったのではないかと思っています。動画のように先読みして溜めておけるものなら、同じ数秒は気づかずにやり過ごせます。
当てはまりやすいのは、こんな場面です。
- 電車やバスで移動している最中に、ゲームが通信エラーで何度も止まる
- 表示は「5G」なのに、ページやLINEの画像が読み込み中のまま進まない
- 少し移動したり、建物から出たりすると急に戻る
- 機内モードを入れて切ると、しばらくは直る
- 同じ場所でも、表示が「4G」のときは問題なく使える
機内モードの入り切りで直るなら、つかんでいた電波をつかみ直しただけで、また同じ場所に来れば止まります。何度も繰り返すなら、4Gに固定してしまうほうが手っ取り早いです。
参考:日経クロステック「5G固執で落ちた罠、ドコモ・ソフトバンクらが『パケ止まり』対策」
iPhoneで4Gに固定する手順
対象は5Gに対応しているiPhone 12以降です。iPhone 11より前の機種は最初から5Gを使わないので、この設定はありません。
- 「設定」アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 「通信のオプション」をタップ
- 「音声通話とデータ」をタップ
- 「4G」を選ぶ(機種や地域によっては「LTE」と表示されます)
選んだ時点で切り替わるので、保存ボタンや再起動は要りません。ステータスバーの表示が「5G」から「4G」に変われば完了です。
デュアルSIMで2回線を入れている場合は、「モバイル通信」の画面で先にデータ通信に使っている回線を選び、その回線の「通信のオプション」から同じように進みます。ここで通話用の回線だけを4Gにしても、データ通信の止まり方は変わりません。
「5Gオート」と「5Gオン」の違い
「音声通話とデータ」には、4Gのほかに「5Gオート」と「5Gオン」が並んでいます。Appleの説明では、5Gオートは5Gにしても速さに目立った差が出ないときにLTEへ自動で切り替える設定、5Gオンは5Gのエリア内では常に5Gを使う設定で、こちらはバッテリーの持ちが悪くなる可能性があるとしています。
いま「5Gオン」になっているなら、まず「5Gオート」に下げてみる手があります。それでも同じ場所で止まるなら「4G」です。
ちなみに、iPhone 12とiPhone 13は低電力モードをオンにすると、動画の再生や大きなダウンロードのとき以外は5Gを使わなくなります。電池が減っているときに通信が安定したように感じたら、これが理由かもしれません。
Androidで4Gに固定する手順(Pixel・Galaxy・AQUOSほか)
Androidはメーカーによって項目の名前も場所も違いますが、どの機種でも「優先するネットワークの種類を選ぶ」画面があり、そこで5Gが入っていない選択肢を選ぶ、という点は共通です。
Google Pixel
- 「設定」アプリを開く
- 「ネットワークとインターネット」をタップ
- 「SIM」をタップし、使っている通信会社を選ぶ
- 「優先ネットワークの種類」をタップ
- 「LTE」を選ぶ
選択肢は「5G(推奨)」「LTE」「3G」「2G」の4つで、Pixelでは4Gが「LTE」の名前で出てきます。
参考:モバイル接続に関する問題を解決する(Google Pixel ヘルプ)
Galaxy
「設定」>「接続」>「モバイルネットワーク」>「ネットワークモード」と進みます。
中に「5G/LTE/3G/2G(自動接続)」のような選択肢が並んでいるので、5Gの文字が入っていない「LTE/3G/2G(自動接続)」を選びます。並び方や「4G」「LTE」の表記は機種とOSのバージョンで少しずつ違いますが、見分ける目印は「5Gが入っているかどうか」だけです。
AQUOS・Xperia・そのほかの機種
Androidの標準に近い画面の機種は、「設定」>「ネットワークとインターネット」>「SIM」(機種によっては「モバイルネットワーク」)>「優先ネットワークの種類」にあることが多いです。
見つからないときは、設定画面のいちばん上にある検索欄に「優先ネットワーク」か「ネットワークモード」と入れてください。メニューを1つずつ開いて探すより、こちらのほうがずっと早く着きます。
「3G」は選ばない
Androidの選択肢には、今でも「3G」や「2G」が残っている機種があります。
これを選ぶと、4Gも5Gも使わず3G以下だけで通信しようとします。ところが国内の3Gは、auが2022年3月末、ソフトバンクが2024年(石川県を除いて4月15日、石川県は7月31日)、ドコモが2026年3月31日に終了しました。3社とも3Gの電波をもう出していないので、3Gを選んだスマホは圏外と同じになります。
4Gに固定するときに選ぶのは「LTE」か「4G」の入った選択肢です。うっかり3Gを選んで電話もつながらなくなったら、同じ画面で選び直せば戻ります。
参考:ドコモからのお知らせ「FOMA」および「iモード」サービス終了
4Gに固定すると何が変わるのか
いちばん大きいのは、5Gのエリアにいても速さが4Gの範囲で頭打ちになることです。
とはいえ、4Gでも数十Mbps出る場所は珍しくありません。LINEのメッセージ、Webの記事、地図、音楽のストリーミングくらいなら、4Gと5Gの差を体感できる場面はあまりないと思います。差が出るのは、ゲームのアップデートや長い動画の保存のように、まとめて大きなデータを落とすときです。
電池については、AppleがiPhoneの「5Gオン」について「バッテリーの持ちが悪くなる可能性がある」と書いています。4Gに固定すれば、少なくともその分の消費は避けられます。ただ、どれだけ持ちが良くなるかは機種や電波状況で変わるので、ここは期待しすぎないほうがいいでしょう。
変わらないものもあります。
- 電話とSMSは4Gでそのまま使える
- 料金プランもデータ容量も変わらない(4Gにしても安くはならず、ギガの減り方も同じ)
- テザリングもそのまま使える
私は、外で5Gが必要になる場面がはっきりしない人なら、4Gに固定したままにしておいて困ることはまずないと思います。大きなダウンロードは家のWi-Fiでやれば済みますし、止まる心配がない分、駅で地図を開いたまま固まる事故は確実に減ります。
5Gに戻すときは、同じ画面で「5Gオート」(Pixelなら「5G(推奨)」、Galaxyなら5Gの入った選択肢)を選び直すだけです。
4Gにしても遅いなら、原因は5Gではない
4Gに固定しても同じように止まる、遅い。この場合、5Gのエリアの端は関係なく、ほかに原因があります。よくあるのは次の4つです。
1つ目は速度制限。月のデータ容量を使い切ると、多くのプランで通信速度が128kbpsから1Mbps程度まで落とされます。表示は「5G」や「4G」のままなので、電波が悪くなったように見えます。残りのデータ量は、各キャリアのアプリやマイページで確かめられます。
2つ目は、弱いWi-Fiに自動でつながっているケース。駅や店のフリーWi-Fiに一度つないだことがあると、近くを通っただけで自動でつながり、ほとんど電波の届かないWi-Fiで通信しようとします。ステータスバーに扇形のWi-Fiマークが出ていたら、Wi-Fiをオフにして比べてみてください。
3つ目は場所です。地下、エレベーター、建物の奥のほうは、4Gでも電波が届きにくくなります。
4つ目は通信障害。キャリア側で障害が起きているときは、端末の設定をいくら触っても直りません。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルはそれぞれ公式サイトに障害情報のページを出しているので、自分の地域が載っていないかを先に確認しておくと、無駄な再起動をせずに済みます。
どれにも当てはまらないときは、スマホの再起動を試してから、キャリアのショップやサポート窓口に相談するのが確実です。
4Gの項目が見当たらないとき
手順どおりに進んでも「4G」や「LTE」の選択肢が出てこないことがあります。考えられるのは3つです。
まず、スマホ自体が5Gに対応していない場合。iPhone 11以前や、5G非対応のAndroidは最初から4Gまでしか使わないので、切り替える項目がありません。表示が「5G」になったことがないなら、止まる原因は5G以外にあるので、ひとつ前の節を見てください。
次に、デュアルSIMで、データ通信に使っていない側の回線を開いている場合。iPhoneでもAndroidでも、設定は回線ごとに分かれています。データ通信に使っている回線を選び直すと、項目が出てくることがあります。
最後に、機種やキャリアのカスタマイズで、項目の名前や場所が上の手順と違っている場合です。設定画面の検索欄で「ネットワーク」と入れると、関係する項目がまとめて出てきます。それでも見つからなければ、「機種名 5G オフ」で調べるか、購入したキャリアのサポートに機種名を伝えて聞くのが早道です。
まとめ
5Gの表示が出ているのに通信が止まるのは、5Gのエリアの端でスマホが5Gをつかんだまま離さないことが原因のひとつで、「パケ止まり」「パケ詰まり」と呼ばれています。走る電車は5Gの境目を次々に横切るので、移動中のゲームのように途切れに弱い使い方ほど影響を受けます。
端末の側でできる対策は、設定を4Gに固定することです。iPhone 12以降は「設定」>「モバイル通信」>「通信のオプション」>「音声通話とデータ」で「4G」。Pixelは「ネットワークとインターネット」>「SIM」>「優先ネットワークの種類」で「LTE」。Galaxyは「接続」>「モバイルネットワーク」>「ネットワークモード」で5Gの入っていない選択肢を選びます。3Gは国内3社とも終了しているので、選ぶと圏外になります。
4Gにすると5Gエリアでの最高速度は落ちますが、電話もSMSもテザリングもそのまま使え、料金もデータの減り方も変わりません。4Gにしても遅いなら、速度制限、弱いフリーWi-Fiへの自動接続、場所、通信障害のどれかを疑います。
私が4G固定を勧めたいのは、電車の中でゲームが何度も通信エラーになる人、それから毎朝同じ駅で同じように止まる人です。私も移動中の通信エラーには結構悩まされました。機内モードの入り切りでつかみ直しても、次の境目に来ればまた起きます。設定を一度変えておけば、少なくとも5Gと4Gの間を行き来するぶんの詰まりはなくなりますし、5Gが要る日には同じ画面から戻せます。