エクセルのファイルをダブルクリックしたのに、出てきたのは灰色の画面だけ。
上のリボンは並んでいます。タイトルバーにも「Excel」と出ています。なのに肝心の表が見当たらず、もう一度ダブルクリックしても戻ってくるのは同じ灰色。見積書を15分後に送ると約束したあとだと、この無言の灰色がじわじわ効いてきます。
職場のPCでこれが出ると、手は再起動くらいしか思いつきません。それで直る日もありますが、翌日また同じ灰色が出ます。
ここで「ファイルが壊れた」と判断して復元ソフトを探しに行くと、たいてい遠回りになります。灰色の画面が出ているということは、Excel自体は問題なく起動しているからです。止まっているのは、エクスプローラーからExcelへ「このブックを開いて」と伝える部分だったり、ブックが非表示になっていたり、ウィンドウが画面の外にはみ出していたり。原因はファイルの中身ではなく、その外側にあることがほとんどです。
私は以前、この症状でいきなりOfficeのオンライン修復から手を付けて、30分近く待たされたうえに何も変わりませんでした。修復は効くときは効きますが、同時にいちばん時間を取られる手でもあります。
この記事では、ダブルクリックでエクセルが灰色の画面のまま開かないときに、時間のかからない順で原因を切り分ける手順をまとめます。
Microsoftが公式に案内している対処の並びと、実際に当たりやすい順番は少しずれています。公式の1番目は非表示のブックの確認ですが、Excelの中からなら開けるという人に限っていえば、先に見るべきはDDEという通信の設定のほうです。
灰色の画面はExcelが起動している証拠
最初にやることは修理ではなく、確認です。
Excelを先に起動して、[ファイル]→[開く]から同じファイルを選んでみてください。ここで中身が表示されたら、ファイルは無事です。壊れていたのはファイルではなく、ダブルクリックという渡し方のほうだったことになります。この時点で、復元ソフトもバックアップの掘り起こしも不要です。
開いているExcelのウィンドウへ、ファイルをドラッグしても同じ確認ができます。「Excelの中からなら開けるのか」を先に見ておくと、このあとの切り分けが一気に短くなります。
急ぎの仕事を抱えているなら、ここで中身をコピーして新しいブックに貼り、先に送ってしまうのも手です。原因探しは送信ボタンを押したあとでかまいません。
非表示のブックになっていないか
Microsoftが最初の対処として挙げているのが、これです。
[表示]タブの[再表示]を押して、一覧にブックの名前が並んでいないかを見ます。名前が出てきたら選んで[OK]。これだけで表が戻ってくることがあります!
誤って非表示の状態で保存されたブックは、まさにこの見え方になります。マクロを記録したことがある人なら、一覧に「PERSONAL.XLSB」という見慣れない名前が混じっているかもしれません。こちらは個人用マクロブックで、もともと非表示で開く仕様なので再表示しなくて大丈夫です。
ちなみに、ブックを開かずにExcelだけを起動したときに出るのは、最近使ったファイルが並ぶスタート画面です。何も載っていない灰色の作業領域は、それとは別の状態だと考えてください。
ウィンドウが画面の外に出ていないか
公式の2番目は、ウィンドウの最小化と最大化です。右上の最小化ボタンでいったん引っ込めて、タスクバーのExcelから戻す。描画が追いつかずに真っさらに見えていただけなら、これで出てきます。
それでも灰色のままなら、ウィンドウが画面の外にいる可能性を疑います。
外部モニターをつないで作業していたノートPCを、モニターを外した状態で開いたときに起きやすい形です。Excel 2013以降はブックごとにウィンドウが分かれているため、Excel本体は手元のディスプレイに、ブックのウィンドウだけ今はつながっていないディスプレイ側に残る、ということが普通に起こります。
戻し方は Windowsキー+Shift+矢印キー。アクティブなウィンドウが隣のディスプレイへ移動します。モニターをつなぎ直してから閉じ直すのが確実ですが、出先ではこのショートカットのほうが早いです。
ダブルクリックだけ開かないならDDEの設定
Excelの中からは開けるのに、エクスプローラーからのダブルクリックだけが灰色で止まる。この形なら、原因はかなり絞り込めます。
[ファイル]→[オプション]→[詳細設定]と進み、[全般]のところまでスクロールしてください。そこに「Dynamic Data Exchange (DDE) を使用する他のアプリケーションを無視する」というチェックボックスがあります。
Microsoftはこの項目を「Dynamic Data Exchange (DDE) を使っている他のアプリケーションとのデータ交換を禁止します」と説明しています。エクスプローラーはこのDDEという仕組みでExcelに「このファイルを開け」と伝えているので、無視する設定が入っていれば、Excelは起動だけして何も開きません。灰色の画面の正体がこれです。
チェックを外して[OK]、Excelをいったん閉じてから、もう一度ダブルクリックします。
※このチェックは自分で入れた覚えがなくても入っていることがあります。他の設定をいじる前に、まずここを見てください。
アドインはセーフモードで切り分ける
DDEのチェックが外れていて、それでも開かない。次に疑うのはアドインです。
Ctrlキーを押したままExcelのショートカットをダブルクリックすると、セーフモードで開くかどうかを聞かれます。[はい]を選べば、アドインや拡張機能が読み込まれない状態で起動します。「ファイル名を指定して実行」に excel /safe と入力しても同じです。
セーフモードでファイルが開くなら、犯人はアドイン側で確定します。通常モードに戻してから[ファイル]→[オプション]→[アドイン]と進み、画面下の[管理]で「COM アドイン」を選んで[設定]を押してください。
ここからは地道な作業です。チェックを1つずつ外して、そのたびにExcelを再起動してファイルを開く。開けた直前に外したものが原因です。COMアドインを全部外しても変わらないときは、[管理]を「Excel アドイン」に切り替えて同じことを繰り返します。
アドインが5つも6つも入っていると20分くらいかかる作業ですが、ここで犯人が分かれば、更新版を入れるか使っていないものを切るかで決着します。経理や電子帳簿まわりのアドインが入っているPCほど、ここが当たりやすい印象です。
ファイルの関連付けを戻す
xlsxを開くアプリがずれていると、ダブルクリックの行き先そのものが変わります。Office以外の表計算ソフトを入れたあとや、古いバージョンのExcelが同居しているPCで起こります。
確認するには、開かないファイルを右クリックして[プロパティ]。[全般]タブの[ファイルの種類]にカッコ付きで拡張子が出て、その下の[プログラム]に今の関連付け先が表示されます。
違うアプリが指定されていたら[変更]→[その他のアプリ]と進み、使いたいExcelを選んで「常にこのアプリを使う」にチェックを入れます。
公式の手順でも、試す前にファイルをデスクトップへコピーするよう書かれています。これはネットワーク上のフォルダやOneDriveの同期の影響を切り離すためで、ついでに「開かないのはそのファイルだけなのか、xlsx全部なのか」もはっきりします。
WordやPowerPointで同じことが起きるかどうかも見ておくと無駄がありません。Office全体で起きているなら、関連付けではなくOffice側の不調を疑う段階に進みます。
Officeの修復は最後に回す
ここまで全部外れたら、ようやくOfficeの修復です。
[設定]→[アプリ]と開いて一覧からOfficeを選び、[変更]を押すと[クイック修復]と[オンライン修復]の2つが出てきます。
先にクイック修復を試してください。こちらはネット接続なしで数分で終わります。オンライン修復は入れ直しに近い処理なので、回線とPCの速さによっては30分以上かかり、その間はOfficeを一切使えません。
私が30分溶かしたのは、まさにこの順番を逆にやったからでした。昼休みの終わり際に始めてしまい、午後イチの打ち合わせに資料を持っていけなかったという…。
もうひとつ、Microsoftは「Excelが互換モードで動いていないか」の確認も案内しています。ショートカットのプロパティにある[互換性]タブで、互換モードのチェックが入っていたら外してみてください。
急いで中身だけ見たいときの逃げ道
締め切りが先にある日は、原因探しより中身の取り出しが優先です。
ファイルがOneDriveやSharePointに置いてあるなら、ブラウザからExcel for the webで開けます。手元のExcelの設定が何であろうと関係なく表示されるので、数字を確認するだけならこれで足ります。
手元にしかないファイルなら、コピーを1つ作ってから設定をいじるのが安全です。元を残しておけば、切り分けの最中に上書きしてしまう事故を防げます。
スマホやタブレットのExcelアプリに送って開く方法もあります。書式は多少崩れますが、数字を読んで電話で伝えるくらいなら十分間に合います。
まとめ
灰色の画面は、ファイルが壊れたサインではありません。Excelは起動しているのに、開くべきブックを受け取れていないサインです。
切り分けの順番をもう一度並べます。Excelの中から[ファイル]→[開く]で開けるかを確かめる。[表示]→[再表示]で非表示のブックを探す。ウィンドウを最小化してから戻すか、Windowsキー+Shift+矢印で画面内に引き戻す。ダブルクリックのときだけ開かないなら、[詳細設定]の[全般]にある「Dynamic Data Exchange (DDE) を使用する他のアプリケーションを無視する」のチェックを外す。それでも駄目ならセーフモードでアドインを切り分け、関連付けを戻し、最後にOfficeの修復です。
手前の確認はどれも数分で終わり、まとまった時間を取られるのは最後の修復だけなので、上から順に当てるほうが結局は早く片付きます。
いちばん当たりやすいと感じているのはDDEのチェックで、社内で聞かれたときもここで直ったことが何度かあります。ただ、これはあくまで私の周りで起きた範囲の話で、全員がここで直ると言い切れるものではありません。
会社のPCで、管理者権限が必要な操作まで進んでしまったら、その時点で情シスに回すほうが早いです。アドインの入れ替えやOfficeの修復は、個人の判断で動かすとあとの確認がかえって面倒になります。
それでも私は順番を間違えて、昼休みをまるごと潰しました。あのとき先に[ファイル]→[開く]を試していれば…ファイルが無事なことは10秒で分かったはずですorz