12月の終わりに駆け込みで寄付をして、年が明けてから「あの申請書、まだ届かないな」と郵便受けを見に行く。ふるさと納税のワンストップ特例で気をもむのは、たいていこの待ち時間です。
届いた申請書に住所と名前を書き、マイナンバーカードのコピーを貼って、切手を貼って投函する。締切は寄付した翌年の1月10日で、しかも必着。年末ぎりぎりに寄付すると、紙が行って戻ってくるだけで日数が足りなくなることもあります。
この往復、マイナンバーカードとスマホがあれば、まるごと省けるのをご存じですか?ワンストップ特例はオンラインで申請でき、申請書の到着を待つことも、本人確認書類を貼ることも、切手を買うこともいりません。
分かりにくいのは、申請に使うアプリやサイトを決めているのが、寄付したポータルサイトではなく寄付先の自治体だという点です。5つの自治体に寄付すれば、ある市は自治体マイページ、別の町はIAM、というようにアプリが分かれることもあります。
そもそもワンストップ特例が使えるのは、確定申告が不要な給与所得者などで、寄付先が5自治体以内の人です。数えるのは寄付の回数ではなく自治体の数なので、同じ市に3回寄付しても1自治体の扱い。この条件から外れていたら、オンラインか紙かを選ぶ前に、確定申告が必要になります。
私もスマホでマイナンバーカードを読み取ろうとして、背面のどこに当てればいいのか分からず、カードの上で端末をしばらくずらしていたことがあります。手続きそのものより、こういう細かいところで時間を取られるんですよね。
ワンストップ特例が使えるのは5自治体まで。締切は1月10日
ふるさと納税は、寄付した金額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から差し引かれる仕組みです。本来は確定申告で手続きしますが、条件に当てはまる人は申告しなくても控除を受けられます。それがワンストップ特例です。
条件は2つ。もともと確定申告が不要な給与所得者などであること、そして寄付先が5自治体以内であること。
6つ目の自治体に少額を寄付した時点で、その年はワンストップが使えなくなります。返礼品を追加するときは、金額より先に自治体の数を数えてください。
申請書は寄付1件ごとに1枚いります。1つの自治体に3回寄付したなら、自治体数は1でも申請は3回です。
締切は寄付した翌年の1月10日で、消印ではなく必着。2026年中に寄付したぶんなら、2027年1月10日までに自治体へ届いている必要があります。
間に合わなかったときの逃げ道はあります。確定申告をすれば控除そのものは受けられるので、寄付が無駄になるわけではありません。ただ、申告の手間を省くための制度なのに結局申告することになるのは、なんとも惜しい話です。
使うサービスは、寄付したサイトではなく自治体が決めている
「楽天で寄付したから、楽天の画面で申請する」とはなりません。オンライン申請の窓口を用意しているのは自治体の側で、どのサービスを採用しているかは自治体ごとにばらばらです。
よく見かけるのは次の3つ。
- 自治体マイページ(シフトセブンコンサルティングが提供。千葉市や熊本市などが採用)
- さとふるアプリ de ワンストップ申請(さとふる経由の寄付が対象)
- IAM(アイアム)やふるまど(こちらも自治体単位で導入)
5つの自治体に寄付すれば、申請に使うアプリが2つ、3つと増えていくこともあります。1件目のために入れたアプリで、2件目の寄付は申請できないわけです。
自分の寄付先がどれなのかは、寄付完了後に届くメールか、その自治体のふるさと納税のページで確認できます。そもそもオンライン申請に対応していない自治体もあり、その場合は従来どおり紙の申請書を郵送することになります。
オンラインにする利点は、切手代が浮くことだけではありません。申請書の到着を待たなくていい、本人確認書類の貼り忘れで不受理にならない、引っ越しても紙の変更届を出さずに済む。切手代が浮くことより、この3つの手間が消えることのほうがずっと大きいはずです。
参考:千葉市の案内
スマホで申請する手順(自治体マイページの場合)
採用している自治体が多い自治体マイページを例に、流れを並べます。用意するのはマイナンバーカード、カードを読み取れるスマホ、寄付番号、そしてメールアドレスです。通知カードでは申請できません。
- [App Store]または[Google Play]から[マイナポータル]アプリを入れておく
- 自治体マイページ(mypg.jp)を開き、メールアドレスでアカウントを登録する
- メールに届いた認証コードを入力してログインする
- 寄付の一覧から申請したい寄付を選び、[ワンストップ申請]に進む
- 案内が出たらマイナンバーカードをスマホに読み取らせ、暗証番号を入力する
- 表示された氏名と住所を確認して、申請を送信する
カードの読み取りを担当するのはマイナアプリのほうです。自治体マイページだけでは読み取れないので、先に入れておくと途中で止まりません。
注意が2つあります。1つ目は、寄付した直後は一覧に出てこないことがある点。熊本市の案内では、寄付完了から申請できるようになるまで数日かかる場合があると書かれています。
2つ目はブラウザです。プライベートモードでは正常に動かない場合があるとされているので、進まないときは通常のウィンドウで開き直してみてください。認証コードのメールが届かないケースもあるため、携帯キャリアのアドレスより、パソコンでも受け取れるアドレスのほうが無難でしょう。
参考:熊本市の案内
つまずくのは、たいてい暗証番号のほう
カードをかざす段になって手が止まるのは、だいたい暗証番号です。マイナンバーカードには4種類あって、いま何を聞かれているのかが分からなくなります。
- 署名用電子証明書:英数字6〜16桁。電子署名に使う
- 利用者証明用電子証明書:数字4桁。ログインや本人確認に使う
- 券面事項入力補助用:数字4桁。氏名や住所を読み取るときに使う
- 住民基本台帳用:数字4桁
4桁の3つを同じ番号にしている人が多いので、実際に迷うのは「4桁なのか、6桁以上なのか」の一点です。英数字を求められたら署名用、数字4桁なら残りのどれか、と考えると早いです。
そして、間違え続けるとロックがかかります。署名用は5回、ほかの3つは3回。解除するには市区町村の窓口へ行くか、一部のコンビニのマルチコピー機で再設定することになります。

コンビニでの再設定には条件があって、署名用か利用者証明用のどちらかの暗証番号が分かっていることが前提です。両方とも思い出せない場合は窓口しかありません。年末年始にこれをやると、役所が開くのを待つ日数がそのまま締切を削っていきます。
参考:中央区の案内
カードを当てる位置は、iPhoneとAndroidで違う
暗証番号の次に止まるのが読み取りです。
iPhoneはNFCのアンテナが本体の上のほうに入っているので、カードの上端あたりに端末の上側を重ねます。手に持って探すより、机にカードを置いて、その上に端末を伏せるほうが安定しますよ。
Androidは機種によって位置が違います。背面の中央あたりという端末が多いものの、上寄り・下寄りのものもあるので、自分の機種の読み取り位置を一度確認しておくと、以後は迷いません。
それでも通らないときに見る場所は3つ。厚いケースや手帳型カバーのマグネット、カードと端末のあいだに挟まっている別のICカード、そして読み取り中に動かしてしまうこと。認証が終わるまでの数秒は、そのままにしておく必要があります。
申請したあとに確定申告をすると、ワンストップは無効になる
ワンストップ特例を申請したあとで確定申告や住民税申告をすると、地方税法の規定により、その申請はなかったものとして扱われます。豊島区の案内にもそう書かれています。
よくあるのは、年明けに医療費がかさんで医療費控除を申告することにした、という流れ。このとき寄付金控除の欄を空けたまま出すと、ふるさと納税の分だけが控除から落ちてしまいます。
申告する年は、寄付した自治体の分をすべて申告書に書き写す。防ぐ手はこれだけです。寄付金受領証明書は捨てずに取っておいてください。もし書き忘れたまま提出してしまったら、気づいた時点で税務署か自治体に相談を。
なお自治体マイページには、e-Taxで使える寄付金受領証明書のデータ(XML形式)をダウンロードできる機能もあります。申告に回ることになっても、紙を探し回らずに済むわけです。
参考:豊島区の案内
年末に寄付するなら、1月10日から逆算して数日とっておく
オンライン申請でも、1月10日の直前に始めると間に合わないことがあります。時間を取られやすいのは、寄付情報がサービスに反映されるまでの数日、認証コードのメールが届くまでの時間、そして暗証番号がロックされた場合の窓口往復の3つ。窓口往復は、年始に役所が開くのを待つところから始まります。
12月31日に駆け込みで寄付して、1月8日に申請しようとしたら一覧に出てこない。そうなると、残りは2日です。
私なら、年内に寄付したぶんは正月休みのうちに一度ログインまで済ませます。申請ボタンまで届かなくても、アカウント登録とカードの読み取りが通ることさえ確認できれば、あとは一覧に出てくるのを待つだけになるので。
紙で出す人も事情は同じ。1月10日は必着ですから、年末年始の郵便の動きを考えると、投函は1月5日あたりまでに済ませておきたいところです。
まとめ
ワンストップ特例の締切は、寄付した翌年の1月10日必着。紙で出すなら、そこから郵便にかかる日数を引いた日が実際の締切です。
マイナンバーカードとスマホがあれば、この郵便の往復はいりません。用意するのはカードとマイナアプリ、寄付番号、メールアドレスの4つで、自治体マイページならアカウントを作って寄付を選び、カードを読み取って送信すれば申請は終わりますよ。
手が止まりやすいのは暗証番号と読み取り位置です。署名用(英数字6〜16桁)は5回、4桁の番号は3回間違えるとロックがかかります。カードを当てる位置は、iPhoneなら本体の上側、Androidは機種しだい。
もう一つ、申請したあとに確定申告をするとワンストップは無効になります。医療費控除で申告する年は、寄付金控除の欄も自分で埋めてください。オンラインで出した人も紙で出した人も、ここは同じ。
制度そのものより面倒なのは、申請に使うアプリが自治体ごとに分かれていることだと思います。同じワンストップ特例なのに、アプリもアカウントも別々ですからね。寄付先を選ぶときは返礼品だけでなく、その自治体がどのサービスで申請を受け付けているかも見ておくと、年が明けてから申請先を探し回らずに済みます。
申請書を待って、書いて、貼って、郵送する手間は、マイナンバーカードとスマホがあればまるごと省けます。そのぶん、暗証番号が分かるかどうかと、寄付先がどのサービスを使っているかの2つは、年内に確かめておきたいところです。