履歴書に貼る写真が、あと1枚足りない。
気づくのはたいてい夜です。駅前の証明写真機はもう閉まっているか、そもそも行くのが面倒。しかも1回で700円や800円かかるのに、使うのは1枚だけ。残りの3枚は引き出しの奥に沈んで、半年後に「うわ、若い」と言いながら発掘されることになります。
そこでコンビニです。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのマルチコピー機には、スマホの中の写真を証明写真のサイズに並べて印刷する機能が入っています。値段は200円か250円。私も履歴書用も資格試験用も、ここ数年はほぼこれで済ませています。
コンビニのマルチコピー機を使えば、履歴書やマイナンバーカード用の証明写真は200〜250円で印刷でき、やり方を変えれば30〜40円まで下げられます。
ただ、この方法にはいくつか穴があります。用途ごとに必要なサイズが違うこと。パスポートの申請にはこの機能が向いていないと、コンビニ側がはっきり書いていること。そしてパスポートをオンラインで申請するなら、紙の写真そのものが不要なうえ、アップロードする写真データは紙の証明写真と縦横比まで違うこと。
どれも、刷ってから気づくと地味に痛い。200円と、コピー機の前で費やした10分が消えます。
証明写真の規格は、用途ごとに国や自治体が細かく決めています。履歴書のように慣習で決まっているものもあれば、パスポートのように顔の縦の長さまでミリ単位で指定されているものもある。同じ4.5×3.5cmでも中身の条件が違う、というのが混乱のもとです。
3社それぞれの手順、用途別のサイズ、40円ルートのやり方、そして受け付けてもらえない写真の共通点まで、順番に見ていきます。
コンビニ印刷は2ルートある
最初に、道が2本あることを押さえておくと迷いません。
1本目は「証明写真プリント」というモードです。マルチコピー機のメニューから選んでサイズを指定すると、機械が自動で4コマなり6コマなりに並べて、L判の写真用紙に刷ってくれます。料金はセブンが250円、ローソンとファミリーマートが200円。切り取り線まで入るので、あとはハサミを入れるだけです。
2本目は、ふつうの「写真プリント」を使う方法。L判1枚がセブンで40円、ファミリーマートで30円です。スマホのアプリで「L判の紙に証明写真を4枚並べた画像」をあらかじめ作っておき、それを普通の写真として印刷します。
やっていることはほぼ同じなのに、値段は6分の1以下。急ぎでないなら、アプリでレイアウトまで作ってから写真プリントに送るのが一番安く上がります。
その代わり、切り取り線は入りません。私は履歴書用の4枚を切り出すのに、定規とカッターで無心の5分を過ごしました。この5分に200円の価値を感じるかどうかが、ルートの分かれ目です。
セブンで印刷する手順
証明写真プリントを使う
まずスマホの写真をコピー機に届けます。「かんたんnetprint」アプリで画像をアップロードしてプリント番号をもらう方法が確実ですが、SDカードやUSBメモリ、スマホからの直接送信にも対応しています。
あとはマルチコピー機のメニューから「証明写真プリント」を選び、サイズを指定するだけ。選べるのは次の4種類です。
- 4×3cm(4コマ)履歴書、TOEICなど
- 3×2.4cm(6コマ)運転免許証、英検など
- 4.5×3.5cm(4コマ)マイナンバーカード
- 5×5cm(2コマ)司法書士、土地家屋調査士など
料金は1枚250円で、用紙はL判のフォト用紙。支払いは現金かnanacoです。交通系ICで払おうとして財布を探す羽目になった人が、たぶん私以外にもいるはず。
そしてもうひとつ。セブンは公式のよくある質問で、証明写真プリントはパスポート申請には適していないと明記しています。理由は後半で説明します。
40円ルートのやり方
安く上げたいときは、印刷の前に画像を作り込みます。
リクルートの「履歴書カメラ」のような無料アプリには、1枚の顔写真からL判用のシート画像(証明写真が4枚並んだ状態)を書き出す機能があります。これを保存して、かんたんnetprintにアップロード。
コピー機では証明写真プリントではなく「写真プリント」を選び、用紙はL判の光沢を指定します。40円。中身は同じ4枚です。
ローソンとファミマの場合
ローソン
ローソンのマルチコピー機は、証明写真の作成そのものを外部サービスに任せる形です。「Bizi ID」や「ピクチャン」でデータを作ると10桁のプリント番号が発行されるので、それをコピー機に打ち込みます。
料金は写真用紙のL判が200円、2L判が300円。シール紙ならL判300円、2L判400円です。
シール紙はのり付けが不要で、履歴書に貼るときは正直かなりラク。ただしローソンの案内には「シール紙を人体へ貼らないでください」という一文があります。誰かがやったんでしょうね…。
参考:ローソン公式サイト
ファミリーマート
ファミリーマートも操作の流れはローソンとほぼ同じです。証明写真は写真用紙のL判が200円、シール紙が300円。
注目したいのは、ふつうの写真プリントがL判30円だという点。3社の中では最安です。アプリでシートを作って持ち込む40円ルートを使うなら、ファミマだと30円まで下がります。
用途別の証明写真サイズ
ここを間違えると、刷り直しになります。主なものを並べておきます。
- 履歴書:縦4cm×横3cm
- 運転免許証:縦3cm×横2.4cm
- マイナンバーカード(郵送申請):縦4.5cm×横3.5cm
- パスポート(窓口申請):縦4.5cm×横3.5cm
マイナンバーカードとパスポートは外寸が同じ4.5×3.5cm。ところが、この2つを同じ写真で兼用しようとすると、パスポート側でつまずきます。外寸のほかに顔の大きさの決まりがあるからです。
ちなみにマイナンバーカードに使われた写真は、カード上では縦2.75cm×横2.20cmに縮小されて印刷されます。あの小ささになるとわかっていれば、髪型の乱れも少しは許せる気がしませんか。
パスポートだけは別扱い
窓口に紙を出す場合
パスポート用の写真は、外寸が縦45mm×横35mmのふちなし。ここまではマイナンバーカードと同じです。
違うのはここから。頭のてっぺんからあごまでの長さが34mm±2mm、つまり32mmから36mmの間に収まっていないといけません。撮影は申請日から6か月以内、背景は無地で影も柄もなし、無帽で正面を向いたもの。
この「顔の縦34mm」が曲者です。コンビニの証明写真プリントは外寸を4.5×3.5cmに整えてくれますが、顔をこの範囲に追い込む調整までは面倒を見てくれません。セブンがパスポートには適さないと書いているのは、そういうことです。
この規格はもともと国際民間航空機関(ICAO)の勧告に沿って決められたもので、日本だけの気まぐれではありません。空港の顔認証ゲートで機械に読ませる前提なので、思ったより融通が利かないのです。
オンライン申請なら紙は要らない
そもそも、パスポートはマイナポータルからオンラインで申請できます。この場合、顔写真はその場でスマホのカメラで撮ってアップロードするので、紙の証明写真は1枚も要りません。コンビニに行く必要すらない。
ただし、ここに最後の罠があります。
オンライン申請でアップロードする写真は、jpg形式で横600×縦730ピクセル、容量600KB以内という仕様。紙で出すときの横35mm×縦45mmとは縦横の比率が違うと、マイナポータル側がはっきり注意しています。
つまり、証明写真機や写真店で作った紙用の画像データをそのまま流用すると、比率が合わずに引っかかる可能性がある、ということ。オンラインで出すと決めているなら、最初からオンライン用に撮るのが正解です。
はねられる写真の共通点
サイズが合っていても、中身でだめになることがあります。
マイナンバーカードの公式サイトには不適切な例がずらりと並んでいて、これが実によくできたチェックリストになっています。用途を問わず効くので、撮ったあとに一度照らし合わせてみてください。
- 撮影から6か月以上たっている
- 顔の位置が片寄っている、横を向いている、首が傾いている
- 背景に椅子や柄が写り込んでいる、壁に影が出ている
- メガネのフレームが目にかかっている、レンズに照明が反射している
- 幅の広いヘアバンドや帽子、サングラス、長い前髪で目が隠れている
- 赤目、ピンボケ、ノイズやジャギーが出ている
- 本人確認に支障が出るような加工がされている
最後の1行が現代的で、しかも一番やらかしやすいところ。カメラアプリの美肌モードや自動補正が効いたままの写真は、本人と別人になっている場合があります。
スマホで撮るなら最高画質で保存して、トリミング以外はいじらない。これだけ守れば、たいていは通ります。
参考:マイナンバーカード総合サイト 顔写真のチェックポイント
印刷でしくじらないコツ
撮影と印刷、それぞれに小さなコツがあります。
撮るときは、自撮りより誰かに撮ってもらうほうが失敗しません。自分で腕を伸ばして撮ると、レンズが近すぎて顔の輪郭がわずかに歪みます。少し離れた場所から撮ってもらったほうが、証明写真らしい平たい顔になります。
背景は白い壁が理想ですが、壁にぴったり寄ると自分の影が背景に落ちます。壁から1歩前に出るだけで、影はかなり消えます。カーテンの前は柄と縫い目が出るのでやめておきましょう。
印刷では、用紙の選択を間違えないこと。マルチコピー機で普通紙を選んでしまうと、にじんで薄い仕上がりになり、書類として弱くなります。必ずL判の写真用紙(光沢)を選んでください。
切るときは、ハサミよりカッターと定規。ハサミは必ずどこかで曲がります。切り取り線があっても、線の内側を狙って切ると余白が残らずきれいです。
それと、シール紙は貼り直しがきかないので、初めてなら写真用紙を選んでおくのが無難。のりで貼るほうが、位置を微調整できる分だけ安全です。
まとめ
コンビニのマルチコピー機は、証明写真の値段を一気に引き下げてくれました。
セブンなら250円、ローソンとファミリーマートなら200円。アプリでL判のシートまで作り込んでから普通の写真プリントに送れば、ファミマで30円、セブンで40円です。夜中に思い立って、歩いて数分で1枚手に入る。証明写真機の前で背筋を伸ばして待っていた時代を思うと、なかなかの進歩です。
気をつけるポイントは3つだけ。用途ごとにサイズが違うこと、撮影から6か月以内で無加工であること、そしてパスポートは別の世界の話だということ。
履歴書・マイナンバーカード・免許証はコンビニ印刷で十分足りますが、パスポートだけは顔の寸法規定があるため、窓口用なら写真店、オンライン申請ならスマホでその場撮影と割り切るのが確実です。
個人的な一押しは、ファミリーマートの30円ルート。アプリでシートを作る手間は最初の1回だけで、画像を残しておけば次からは印刷するだけです。就活中や資格試験のシーズンなど、何度も貼る場面が続く人ほど効いてきます。
もうひとつ得をするのが、作ったシート画像を消さずに残しておくことです。撮影から半年以内なら次の申請にもそのまま使えますし、急に「写真を1枚」と言われたときも、コンビニまで歩く数分で印刷の予約まで終わります。
引き出しの奥で余っている3枚を見つけたら、撮影日を確認してみてください。半年を過ぎていたら、それはもう使えない紙です。今の顔で撮り直しましょう。