「チャリで来た」とは?伝説プリクラの元ネタ・由来とネタ写真加工アプリのいま

フィギュア発売日に自転車で秋葉原に急ぐ

ネットの「バカ画像」「ネタプリクラ」と聞いて、まっさきにあの4人組のプリクラを思い浮かべる人は多いと思います。横浜の中学生がチャリにまたがった写真に、ただ一言「チャリで来た。」。深い意味なんてどこにもないのに、なぜか頭から離れない。この脱力感が、2ちゃんねるまとめサイトを震源に爆発的に広まりました。

当ブログでも昔、この「チャリで来た」風の写真がスマホで簡単に作れるiPhoneアプリ「チャリで来た。カメラ」を紹介していました。ただ、結論から書くと「チャリで来た。カメラ」はすでに配信を終了しており、今はApp Storeからダウンロードできません。せっかくなので、この記事はアプリ紹介をいったん卒業して、ミームそのものの読み物として作り直してみます。

当時のネット流行ネタに乗っかったアプリは数多くありましたが、その多くがブームの一巡とともに静かに姿を消していきました。「チャリで来た。カメラ」もその一つ。流行を切り取った瞬間風速型のアプリは、こうしてアプリストアの記録からも消えていくんだなと、改めて時の流れを感じます。だからこそ、消えてしまったアプリの話で終わらせるより、いまだに語り継がれる「チャリで来た」というミームそのものを、雑学として残しておく価値があると考えました。

この記事を読むと、「チャリで来た」というプリクラがいつ・どこで・なぜ生まれたのか、どうやってネットに広がったのか、コラ画像が量産された背景、そして被写体になった少年たちのその後まで、ひと通りわかります。あわせて、ああいうネタ写真を自分でも作りたくなったとき、いま現役で使える文字入れアプリも軽く紹介します。難しい話は一切ありません。読み終わるころには、誰かに話したくなる小ネタがいくつか手に入っているはずです。

「チャリで来た」とは何だったのか

「チャリで来た」は、改造自転車にまたがった少年4人のプリクラ画像に、手書きで「チャリで来た。」と書き込まれたネタ画像のことです。表情も背景もごく普通なのに、添えられた一文がやけに堂々としていて、その温度差がじわじわ来る。理屈で笑わせにくる画像ではなく、「なんだこれ」と二度見させてくる種類の面白さでした。

ネット上では「バカ画像」「伝説のプリクラ」などと呼ばれ、2ちゃんねるのまとめサイトを中心に拡散。コラ画像が量産され、ひとつのミーム(ネットの定番ネタ)として定着していきました。元の写真を見たことがなくても、コラのほうで存在は知っている、という人も少なくないと思います。

元ネタの由来:港南区から二俣川まで、チャリで

気になる元ネタですが、これがまた拍子抜けするほど普通のエピソードです。撮影されたのは2008年頃とされ、写っているのは横浜市港南区の中学生4人。当時は同じ少年野球チームの仲間だったそうです。

きっかけは、ヤンキー系ファッションブランド「GALFY(ガルフィー)」の服を買いに行こう、という話。港南区から二俣川まで、改造自転車でおよそ1時間半かけて向かいました。ところがお目当ての服はどれも数万円と中学生には手が届かず、結局は買えずじまい。その帰り、ゲームセンターで遊んだついでに記念にプリクラを撮ることになります。

そして例のプリクラ。落書きタイムで特に書くことが思いつかず、急かされた少年がとっさに書いたのが「チャリで来た。」の一言で、本人いわく深い意味はまったくなかったとのこと。電車でも歩きでもなく「チャリで来た」という、報告する必要があるのかないのか微妙な事実。この力の抜け具合こそが、結果的に多くの人の心をつかんだわけです。

出典・参考:チャリで来た – Wikipedia

どうやってネットで広まったのか

このプリクラは、はじめから世に出すつもりで撮られたものではありませんでした。広まったきっかけは、当時の定番だった自己紹介サービス「前略プロフィール」。メンバーの一人が自分のプロフィールページに載せていた写真が、撮影から数か月後、第三者によって2ちゃんねるに無断転載されてしまいます。

そこから「バカ画像」として一気に拡散。まとめサイトに取り上げられるたびに新しい人の目に触れ、ネタとして転がり続けました。本人たちが意図したわけでもなく、宣伝したわけでもないのに、ただの仲間内のプリクラがいつのまにか全国区になっていた、という典型的なネットミームの広がり方です。

面白いのは、ネタにされた本人たちも自分たちが話題になっていることを把握していた点。ギャル雑誌『egg』の2012年4月号では当時のメンバーが取り上げられ、ネットでいじられている件について「2ちゃんねらー、イイ加減にせえよ(笑)」とコメントを残しています。怒るでも乗っかるでもない、絶妙な距離感でした。

出典・参考:チャリで来た – ピクシブ百科事典

コラ画像という二次創作文化

「チャリで来た」が長く生き残った理由のひとつが、コラ画像(画像コラージュ)のしやすさです。元の構図がシンプルで、文字を差し替えるだけでいくらでもパロディが作れる。「ソリで来た」「サドルとられた」「パリに来た」「なだめに来た」など、ひと文字いじるだけで成立する派生ネタが次々と生まれました。

これはネットミームが定着するときの王道パターンです。誰でも真似して作れて、作ったものをまたみんなで共有できる。一枚の画像が「テンプレート」になり、大喜利の土台として消費されていく。「チャリで来た」は、写真にひと言テキストを添えるだけでここまで面白くなるという、テキスト加工ネタの教科書のような存在でした。

関連記事:自分で撮った写真を簡単に面白く加工・合成できるオンラインツール「Photo505」

被写体の少年たちのその後

勝手に拡散され、笑いものにされた当事者たち。普通なら黒歴史として封印しそうなものですが、彼らのその後は少し意外な方向に進みます。

「チャリで来た。」と書いた本人は、2018年6月にテレビ朝日の番組『激レアさんを連れてきた。』に出演。無断転載で広まった当時の戸惑いや被害の話だけでなく、それがきっかけで得られた良い面についても語りました。番組の記事には約4000件ものコメントが寄せられ、その大半が当時の少年に温かいものだったと伝えられています。

勝手にネタにされた側が、十年越しに笑い話として表に出てきて、見ている側もどこか応援している。最初は悪意混じりに広まった画像が、時間をかけてゆるい愛着のあるミームへ変わっていったのは、ネット文化の中でも珍しくいい着地だったと思います。

出典・参考:チャリで来た。の元ネタ・意味 – タネタン

「チャリで来た。カメラ」は配信終了。いま使える文字入れアプリ

このブームに乗って2012年10月にリリースされたのが、iPhoneアプリ「チャリで来た。カメラ」(開発:YEDO FACTORY INC.)でした。撮った写真に「チャリで来た。」をはじめとするスタンプや専用フォントの文字を入れて、その場でSNSにシェアできる、というネタアプリです。当時はランキングを駆け上がる人気ぶりでした。

ただ前述のとおり、このアプリは現在App Storeから姿を消しており、新たにインストールすることはできません。流行ネタに寄せたアプリの宿命というか、ブームの一巡とともに役目を終えた格好です。残念ですが、無理にダウンロードを案内しても仕方がないので、ここは正直に「もう手に入りません」とお伝えしておきます。

とはいえ「写真にひと言テキストを入れて遊ぶ」こと自体は、今のほうがずっと自由にできます。定番は文字入れアプリのPhonto(フォント)。400種類以上のフォント、日本語フォントも40種類ほど用意されていて、文字サイズ・色・縁取り・影まで細かく調整できます。縦書きにも対応しているので、あの脱力系の一言メッセージも思いのままです。ほかにもCanvaibisPaint Xなど、写真に文字を重ねられる無料アプリは選びきれないほどあります。

出典・参考:Phonto 写真文字入れ – App Store

関連記事:パズドラ風アイコンの作り方|ゲーム風画像が作れる無料ツール5選と著作権の注意点

まとめ:脱力ミームが教えてくれること

あらためて振り返ると、「チャリで来た」は特別な技術も狙いもない、ただのプリクラの落書きでした。それが「前略プロフィール」から2ちゃんねるへ無断転載されたことをきっかけに広まり、シンプルな構図ゆえにコラ画像で増殖し、最後は本人がテレビで笑い話にするところまで行き着く。一枚のネタ画像の生まれ方と育ち方に、ネットミームというものの仕組みがそのまま詰まっています。悪意混じりに拡散したものが、時間をかけてゆるい愛着のあるネタへ変わっていった経緯も含めて、振り返ると味わい深い一件でした。

主役だったアプリ「チャリで来た。カメラ」がApp Storeから消えてしまったのは少し寂しいですが、それも流行ネタアプリらしい引き際なのかもしれません。そして写真にひと言を添えて遊ぶ楽しさ自体は、PhontoやCanvaといった現役アプリで今もそのまま味わえます。むしろフォントも機能も当時より格段に充実しているので、ネタ画像作りのハードルは下がる一方です。

狙って面白いものを作るより、肩の力が抜けたひと言のほうがウケる。そんなことを「チャリで来た」は10年以上前から教えてくれていた気がします。お手持ちの写真に、あえて意味のないひと言を添えてみる。それだけで案外いい味が出るものなので、雑学を仕入れたついでに一度試してみてください。元ネタの背景まで知っておくと、コラ画像を見かけたときの楽しみ方もちょっと変わってくるはずです。