究極の二択には、正解がありません。だから、選んだほうより「なぜそっちなのか」のほうに人が出ます。
飲み会や、長距離の移動中の車内。この手の質問が出ると、答えより言い訳のやり取りのほうが長くなります。そこが面白いところで、二択そのものは呼び水にすぎません。
この形式は、知識を競うクイズとは別ものです。難読漢字なら読めるか読めないかで終わりますが、二択は知識がゼロでも全員が答えられる。だから初対面の場でも動きます。
この記事では、食べものと暮らし・お金と仕事・人間関係・もしもの能力・究極の選択の5つに分けて、二択を50問そろえました。それぞれ、どちらを選んだ人がどう読めるかを添えてあります。
作るときに気をつけたのは、片方が明らかに得になる問題を入れないことです。「1億円か、10円か」は二択ではなく、ただの計算になってしまう。迷って初めて、自分がどこを優先しているかが見えます。だから50問のうち半分近くは、どちらを選んでも何かを失う形にしました。
ちなみに「どっちも嫌だ」と言う人が必ず出ます。私は、それも回答のうちだと思っています。逃げ道を探すのが早い人は、仕事でも先に例外を潰しにいくタイプで、二択の外側を見つける力は普通に強みです。
※選んだほうで性格が決まるわけではありません。科学的に検証された診断ではなく、話のネタとして遊ぶためのものです。
食べものと暮らしの二択 Q1〜Q10
毎日くり返すものほど、選び方に癖が出ます。朝食から掃除まで、暮らしの10問です。
Q1. 朝食
一生、朝はパンしか食べられない。あるいは一生、朝はごはんしか食べられない。どちらを選びますか。
同じ「毎日」でも、時間を守るか満足を守るかで割れる問題です。
Q2. 味覚
甘いものを一生食べられない。あるいは、しょっぱいものを一生食べられない。
甘いものは無くても生きられて、塩は無いと体が困る。それを知っていてなお迷うなら、理屈で選んでいない証拠です。
Q3. 温度
料理が一生ぬるい。あるいは、料理が一生やけどしそうなほど熱い。
どちらも嫌だと感じたなら、それが普通です。ぬるいほうが安全で、熱いほうが記憶に残る。
Q4. 旅
行き先は自分で選べるが、必ず一人旅。あるいは、行き先は選べないが、必ず誰かと一緒。
旅行の写真を撮るとき、風景を撮るか人を撮るか。その癖と、だいたい一致します。
Q5. 家
駅から徒歩1分の狭い部屋。あるいは、駅から徒歩30分の広い部屋。
往復で1日58分の差。1年なら350時間ほどになります。数字にすると急に重くなる二択です。
Q6. 睡眠
3時間の睡眠で平気な体になる。あるいは、12時間寝ないと動けないが、起きている間は疲れ知らず。
1日の使える時間は21時間と12時間。倍近い差がありますが、選ぶ人はきれいに割れます。
Q7. 季節
一年中ずっと30度。あるいは、一年中ずっと5度。
寒さは重ね着で足せますが、暑さは脱いでも限界がある。それでも30度を選ぶ人が多いのが面白いところです。
Q8. 風呂
一生、湯船に入れない。あるいは一生、シャワーが使えない。
夏にシャワーが使えない生活を想像できた人は、かなり冷静に比べています。
Q9. 服
一生、同じ服を着る。あるいは毎日、誰かが選んだ服を着る。
同じ服を選んだ人は、服に限らず「毎日の小さな選択」を減らす方向へ寄せがちです。
Q10. 掃除
部屋がいつも散らかっている。あるいは、部屋はいつも片づいているが、毎日1時間かかる。
年365時間を掃除に使うか、散らかった部屋で暮らすか。書き出すと、けっこうな取引です。
お金と仕事の二択 Q11〜Q20
お金の二択は、金額そのものより「いつ受け取るか」で割れます。
Q11. 給料
年収が2倍になるが、休みは半分。あるいは、年収はそのままで、休みが2倍。
「休みが半分」を具体的に想像できたかどうかで、答えが変わります。
Q12. 宝くじ
今すぐ1,000万円。あるいは、10年後に1億円。
10倍になるなら待つ、という計算が働く人と、10年後の自分がどうなっているか分からないから今、という人に割れます。
Q13. 買い物
値段を見ずに買えるが返品できない。あるいは、半額で買えるが必ず1週間待つ。
欲しいものが目の前にあるときの1週間は、思っているより長いものです。
Q14. 通勤
座れるが90分。あるいは、立ちっぱなしで20分。
往復140分と40分。差は100分で、これは睡眠を1時間半増やせる量です。
Q15. 上司
有能だが理不尽な上司。あるいは、無能だが人柄はいい上司。
転職の理由でいちばん多いのは人間関係だと言われます。それを踏まえても、意見はきれいに割れます。
Q16. 評価
実力より高く評価される。あるいは、実力より低く評価されるが、自分だけは本当の実力を知っている。
高く評価されるほうを選んだ人は、いつかバレる不安とセットで生きる選択でもあります。
Q17. 仕事
好きなことを仕事にして収入が不安定。あるいは、興味のない仕事で収入が安定。
好きを仕事にすると、好きだった部分が納期に変わることがあります。そこまで想像したうえで選べたかどうか。
Q18. 副業
時間を売る副業。あるいは、成果を売る副業。
成果を売るほうは、最初の数か月がほぼ無給になります。そこを越えられるかが分かれ目です。
Q19. 貯金
残高を毎日見る。あるいは、1年に1度だけ見る。
毎日見る人ほど使わなくなる、という話もありますが、見ることが目的になっている場合もあります。
Q20. おごり
いつもおごる側。あるいは、いつもおごられる側。
おごられ続けるのは、実はけっこうしんどい。ここを想像できると答えが変わります。
人間関係の二択 Q21〜Q30
ここからは相手のいる問題です。自分ひとりで完結しないぶん、答えが揺れます。
Q21. 友達
知り合いが100人いる。あるいは、親友が1人だけいる。
引っ越しを手伝ってくれる人が何人いるか。それを考えると、数の意味が変わります。
Q22. 会話
話は聞いてもらえないが、いくらでも話せる。あるいは、話は聞けるが、自分からは話せない。
「聞いてもらえない」と「話せない」。どちらも孤独ですが、質が違います。
Q23. 秘密
全員の秘密が分かる。あるいは、自分の秘密が全員に分かる。
全員の秘密を知る人生は、誰にも何も相談できない人生とほぼ同じです。
Q24. 誤解
何もしていないのに嫌われる。あるいは、悪いことをしたのに好かれる。
前者を選んだ人は、正しさが報われない場面でも折れにくいタイプです。
Q25. 連絡
送ったメッセージに既読がつかない。あるいは、既読はつくが返事は3日後。
既読がつかないほうがつらい人と、既読だけついて放置されるほうがつらい人。ここは相当割れます。
Q26. 過去
自分の黒歴史を全部忘れる。あるいは、他人の記憶からだけ自分の黒歴史を消す。
自分だけが覚えている状態と、自分だけが忘れている状態。どちらが気持ち悪いか、で分かれます。
Q27. 謝罪
もめたとき、いつも先に謝る。あるいは、相手が謝るまで待つ。
先に謝るのは弱さではなく、たいていは時間の使い方の判断です。
Q28. 集まり
知らない人だらけの飲み会に1人で行く。あるいは、気まずい相手と2人だけで食事をする。
人数が多いほど楽になる人と、人数が多いほど疲れる人。ここで体質が出ます。
Q29. 褒め
面と向かって褒められる。あるいは、陰で褒められていたと後から知る。
後者を選んだ人は、面と向かった賞賛をどこかで疑っています。
Q30. 別れ
理由をはっきり告げられて終わる。あるいは、理由が分からないまま終わる。
理由を聞いて納得できるとは限りません。それでも聞きたいかどうか、という問題です。
もしもの能力の二択 Q31〜Q40
現実には起きない設定なので、損得の計算が効きません。そのぶん素が出ます。
Q31. 時間
1日だけ過去に戻れる。あるいは、1日だけ未来を見られる。どちらも一生に1回。
過去を選んだ人は、その1日がもう決まっているのではないでしょうか。
Q32. 言語
すべての人間の言語が話せる。あるいは、すべての動物の言葉が分かる。
動物を選んだ人は、実用性で選んでいない。それも立派な判断基準です。
Q33. 移動
どこへでも一瞬で行けるが、帰りは自力。あるいは、空を飛べるが時速5km。
時速5kmは、人が歩く速さとほぼ同じ。それでも空を飛べるなら、と考えた人は想像力のほうが勝っています。
Q34. 記憶
読んだものを全部覚えられる。あるいは、忘れたいものだけ消せる。
全部覚えるほうを選んだ人は、消したい記憶が少ない人かもしれません。
Q35. 透明
透明になれるが服は透明にならない。あるいは、1日1回だけ変身できるが、誰になるかは選べない。
服が透明にならない透明人間は、結局いつも裸です。そこまで含めて選べたかどうか。
Q36. 予知
明日の天気が必ず分かる。あるいは、明日の自分の失敗が1つだけ分かる。
毎日ひとつ失敗が予告される生活は、便利である以上に落ち着きません。
Q37. 才能
努力が必ず報われる。あるいは、努力なしで何でも人並みにできる。
「人並み」の天井をどう見るかで、答えは正反対に振れます。
Q38. 治癒
自分の傷が一瞬で治る。あるいは、他人の傷を治せるが自分は治らない。
他人を治す力は、断れない力でもあります。そこまで想像すると、重さが変わります。
Q39. 運
小さな幸運が毎日ある。あるいは、大きな幸運が10年に1度ある。
毎日の小さな幸運は、3か月もすれば当たり前になります。そこが盲点です。
Q40. うそ
人のうそを必ず見抜ける。あるいは、自分のうそが絶対にばれない。
見抜ける側を選んだ人も、全部のうそが見えてしまう生活を想像すると、少し揺らぎます。
究極の選択 Q41〜Q50
最後の10問です。どちらを選んでも何かを失う形にしてあります。
Q41. 寿命
100歳まで健康だが、10年ごとに記憶が消える。あるいは、70歳までで、記憶は全部残る。
記憶が消える100年は、10年ごとに別人が生きているとも言えます。
Q42. 名前
死後100年語り継がれる。あるいは、生きている間だけ愛される。
後者を選ぶ人のほうが多いはずですが、迷った時間の長さは人によってまるで違います。
Q43. 選択
これから選ぶ道の結果が全部分かる。あるいは、何も分からないまま選ぶ。
結果が分かる人生は、選んでいるのではなく確認しているだけかもしれません。
Q44. 自由
何でも選べるが取り消せない。あるいは、選択肢は常に2つだが何度でもやり直せる。
この記事そのものが、後者の形をしています。
Q45. 真実
世界の真実を1つ知る。ただし誰にも言えない。あるいは、知らないまま楽しく生きる。
誰にも言えない知識は、持っていないのとどう違うのか。そこが引っかかりどころです。
Q46. 痛み
痛みをまったく感じない体。あるいは、痛みは感じるが必ず治る体。
痛みを感じない体は、骨折に気づけない体でもあります。
Q47. 感情
怒りを失う。あるいは、悲しみを失う。
怒れない人は、理不尽に気づくのが遅れます。失うものは、思ったより多い。
Q48. 才
誰にも理解されない天才。あるいは、誰からも好かれる凡人。
天才を選んだ人は、孤独の具体的な形をどこまで想像したでしょうか。
Q49. 遺す
財産を遺す。あるいは、言葉を遺す。
財産は使えば無くなり、言葉は覚えていられなければ無くなる。どちらも永遠ではありません。
Q50. 最後
自分の最期の日が分かっている。あるいは、最後まで分からない。
50問の最後がこれです。分かっているほうを選んだ人は、たぶん最初の「朝食」でも即答しています。
まとめ
即答できた問題と、最後まで決まらなかった問題。50問もあれば、その2つに分かれたはずです。
決まらなかったほうが、自分の優先順位がぶつかっている場所です。「駅から徒歩1分の狭い部屋か、徒歩30分の広い部屋か」で止まったなら、時間と空間のどちらを取るかを、普段は決めずに済ませているわけです。
章ごとに出方も違いました。暮らしの10問は効率か満足か、お金の10問はいつ受け取るか、人間関係の10問は関係を守るか筋を通すか。もしもの能力になると損得の計算が効かなくなって、急に人によって答えが散ります。
最後の10問は、どちらを選んでも何かを失う形にしてあります。100歳まで生きて記憶が消えるか、70歳までで全部覚えているか。痛みを感じない体か、痛みは感じるが必ず治る体か。ここで詰まった人ほど、ちゃんと読んでくれたのだと思います。
私がいちばん好きなのは、痛みの問題です。痛みを感じない体は一見すると得ですが、骨折に気づけない体でもある。都合の悪いものを消すと、そこにあった警告まで一緒に消える。二択の面白さは、こういう見落としが自分の答えから見つかるところにあります。
正解が無いので、解説と違う選び方をしても外れではありません。人に出してみると、自分では思いつかなかった理由が返ってきます。同じ問題で真逆を選ぶ相手ほど、話が長くなる。そこからが本番です。