「好きな色は?」と聞かれて「青」と答えたら、「落ち着いてるもんね」と返された。学校でも職場でも、一度はある会話ではないでしょうか。
赤が好きなら情熱的、黒が好きならクール、ピンクなら甘えん坊。色で性格を当てる話は、占いでおなじみです。こうした色の意味づけの多くは、1947年にスイスの心理学者マックス・ルッシャーが発表した8色のカードのテストと、そこから広まった占い本がルーツ。青は「感情の深さ」、赤は「意志の力」という、あのおなじみの言い方ですね。
好きな色を1つ聞かれると、私は毎回答えに詰まります。服はほぼ黒なのに、スマホの壁紙は青。仕事で作る画面の色は案件しだいです。しかも冬は黒、夏は水色のシャツが増えるので、どれが「私の色」なのか自分でもよく分かっていません…。
好きな色と性格のつながりは、2021年の研究で11の予測が1つも当たらなかったほど薄いものです。それなのに「当たってる!」と感じてしまう仕組みのほうはかなり強力で、1948年の実験では39人の学生が全員同じ文章に、5点満点で平均4点以上をつけました。
色の意味は信じなくても、否定しなくてもいいと思いますが、よくある定番の意味だけだと誰にでも当てはまってしまって、私にはちょっと物足りません。そこで12色それぞれに「裏の顔」も足しました。裏の顔まで自分に当てはまるか、試しながら読むと楽しいですよ。
色を1つに絞れない人は、服・部屋・持ち物で一番多い色を「好きな色」にしてください。選んだ理由が「合わせやすいから」でもかまいません。その理由も、あとの心理テストでちゃんと手がかりになります!
12色の意味|好きな色でわかる性格の表と裏
よく言われる意味を「表の顔」、その裏返しを「裏の顔」として並べました。好きな色が2つある人は、両方読んでみてください。2色に共通しているところが、あなたに一番当てはまる部分です。
赤|エンジンがかかりっぱなし
表の顔は行動派。思い立ったらその日のうちに動き、負けず嫌いで、人前に立つのも平気なタイプです。ルッシャーの8色では「意志の力」を担当する色。
裏の顔は、怒りも退屈もすぐ顔に出ること。盛り上がるのが早いぶん、冷めるのも早いと言われます。
面白いのは、2024年の1,100人調査で、赤が「服には取り入れにくい色」の上位に入っていたこと。好きなのに着ない色の代表ですね。
オレンジ|人が集まる場所にいる
赤の勢いを人付き合いに向けた色、というのが定番のイメージ。社交的なムードメーカーで、初対面の相手とも5分で打ち解けるタイプとされています。
裏の顔は、一人の時間が苦手で、頼まれごとを断れないところ。にぎやかな場から帰った夜、なぜかどっと疲れている…という人は、もしかするとこのタイプかもしれません。
黄色|好奇心が先に歩く
新しい物好きで明るく、思いついたことをすぐ口に出す。ルッシャーの言い方だと「自発性」の色です。
裏の顔は、気が散りやすいこと。計画が途中で変わっても、本人の中では「もっといい案が出た」だけだったりします。
黄色も赤と同じで、服や部屋に使うのは苦手という人が多い色。好きな色と使う色がずれる筆頭ですよ!
緑|波風を立てない
協調と安定の色。周りを見ながら動き、争いを避け、同じ場所で長く続けられる人と言われます。
ルッシャーは緑を「意志の弾力」、つまり粘り強さとプライドの色としました。表の穏やかさと裏の頑固さは、実は同じ根っこから来ています。
本音を飲み込みすぎて、ある日まとめて爆発する。これが緑の裏の顔です。
青|冷静、ただし動き出しが遅い
誠実で冷静、感情に流されない。企業のロゴに青が多いのもこのイメージのおかげで、ルッシャーでは「感情の深さ」の色。
裏の顔は、慎重すぎること。石橋を叩いているうちに、ほかの人はもう渡り終わっている…なんて場面がありがちです。感情をあまり出さないので、冷たく見られやすいのもこのタイプ。
ただ、青は2024年の調査で男性の好きな色の1位でした。「青が好き=冷静」が当たっている気がするのは、診断が鋭いからではなく、単に青好きが多いからかもしれません。
水色|さっぱりしていて、執着がない
自由で押しつけがましくなく、風通しのいい人。青から重さを抜いた色なので、青より軽やかな性格とされます。
裏の顔は、飽きっぽくて、物にも人にもあまり執着しないこと。「別にどっちでもいい」が口ぐせなら、それが水色の裏の顔でしょう。
男女どちらでも上位に入る色なので、日本では「無難に好かれる色」でもあります。
紫|赤と青を両方持っている
感性で動く芸術家タイプで、独自路線、ちょっとミステリアス。紫は赤と青を混ぜた色なので、情熱と冷静の両方を持つと言われます。
裏の顔は、気分屋で周りから理解されにくいこと。本人は一貫しているつもりでも、周りからは「赤の日」と「青の日」があるように見えています。
ピンク|優しさと、愛されたい気持ち
気配り上手で柔らかく、人に優しい。同時に「大事にされたい」気持ちも強い色とされます。
裏の顔は、人に頼りがちで、断れないこと。相手に合わせているうちに、自分が何をしたいのか分からなくなる…というのがピンクの弱点です。
2024年の調査では女性の好きな色の1位なのに、身に着けたり部屋に使ったりするのは苦手、という回答も多い色でした。「好き」と「使う」の距離が一番大きい色かもしれませんね。
茶色|堅実で、長く続ける
家庭的で地に足がつき、買った物を長く大事に使う。派手さはなくても、頼まれたことは忘れないタイプです。
裏の顔は、変化が苦手なこと。「前のままでよかったのに」とよく思う人は、茶色の裏の顔が出ています。
白|まっさらでいたい
清潔好きで完璧主義。やるなら最初からきちんと、という人だと言われます。
裏の顔は、自分にも他人にも厳しいこと。少しの汚れが気になって全部やり直す、を仕事でやると、周りが疲れてしまいます。
日本の調査では、白は男女共通で上位。何も足していない色がこれだけ好かれるのは、たぶん清潔なイメージが強いからでしょう。
黒|強そうに見せる
自立していて強く、プロっぽい。ブランドのロゴでも「高級感」を出したいときは黒です。
裏の顔は、壁を作ること。本心を見せないので、仲よくなるまでに時間がかかると言われます。
私の服もほぼ黒ですが、理由は自立でも強さでもなく、何と合わせても失敗しないから。性格というより手抜きの結果です。黒の性格診断がぴったり当たる人の隣には、こういう「なんとなく黒」も混ざっています。
グレー|どちらにもつかない
中立で控えめな観察者。目立たない席から全体を見ている人と言われます。
裏の顔は、なかなか決めないこと。白と黒のどちらにも寄らない色なので、その立ち位置がそのまま性格のイメージになっています。
参考:クロス・マーケティング「色に関する調査(2024年)」
色の心理テスト10問|選んだ色でわかる深層心理
直感で1つ選んでから、答えを開いてください。迷ったら、最初に目が止まった色があなたの答えです。
第1問|新しいスマホケース、最初に手が伸びる色は?
- A 黒か透明
- B 赤や黄色など、鮮やかな色
- C 薄いピンクや水色などのパステル
- D 色より柄で選ぶ
第2問|疲れて帰った夜、部屋の明かりを1色にできるなら?
- A オレンジがかった電球色
- B 白くて明るい昼光色
- C 青っぽい薄明かり
- D 消して真っ暗
第3問|子どものころ、クレヨンで最初に短くなった色は?
- A 赤
- B 青
- C 黒
- D 黄色
第4問|嫌いな色を1つ挙げるなら?
- A 赤
- B 黄色
- C ピンク
- D 茶色
第5問|財布を買い替えるなら、何色?
- A 黒
- B 茶色
- C 赤
- D 金色か黄色
第6問|1年後の自分を1色で表すなら?
- A 青
- B 緑
- C 赤
- D 白
第7問|頭にくることがあったとき、浮かぶ色は?
- A 真っ赤
- B 真っ白
- C 真っ暗
- D 特に色は浮かばない
第8問|旅先で記念のTシャツを買うなら?
- A 普段と同じ色
- B 普段は絶対着ない派手な色
- C 白
- D そもそも買わない
第9問|ペンを1本だけ持つなら、インクは何色?
- A 黒
- B 青
- C 赤
- D 緑
第10問|プレゼントを包むリボンの色は?
- A 赤
- B 金色
- C 青か水色
- D 相手の好きな色
なぜ当たる気がするのか
ここまでで「当たってる!」と思ったところが1つでもあったなら、それは診断が鋭いからではありません。
39人の学生が、同じ文章を「自分のことだ」と答えた
1948年、アメリカの心理学者バートラム・フォアは、自分の授業の学生39人に性格検査を受けさせました。そして1週間後、「あなたの結果です」と1人ずつ性格の分析文を渡します。学生は、その文が自分にどれくらい当てはまるかを0〜5点で採点しました。
平均は4点超え。ところが、渡された分析文は全員同じで、しかも中身は売店で売っている占星術の本から集めた文章だったんです。
「あなたは他人から好かれたいと思っている」「自分を批判的に見ることがある」。誰にでも当てはまる文は、誰もが「自分のことだ」と感じてしまう。この現象は、のちにバーナム効果と呼ばれるようになりました。
12色の性格診断も、まさにこの作りです。「冷静だけど慎重すぎる」「優しいけれど断れない」のように表と裏をセットにした時点で、青が好きな人にもピンクが好きな人にも当たってしまいます。
好きな色と性格を実際に測ったら、11の予測が全部外れた
では、好きな色と性格には本当に関係がないのでしょうか。2021年、性格心理学の専門誌に、まさにこの疑問を調べた論文が載りました。タイトルは「好きな色はあなたの性格について何を語るか? 大したことは語らない」。
調べ方はこうです。性格診断のサイト6つから「赤・オレンジ・黄・ピンク・ターコイズが好きな人は外向的」のような説を集めて、確かめられる11の予測にまとめます。そのうえで323人に性格検査を受けてもらい、好きな色・嫌いな色も聞いて、予測どおりの差が出るかを調べました。
結果、11のうち確認できたものはゼロ。色の好みと性格のあいだに関係は見つからなかった、と著者らはまとめています。
それでも私は、この論文を読んだあとも12色の話を消す気にはなりませんでした。外れると分かっていても、おみくじを引くのは楽しいですよね。当たるかどうかと、遊べるかどうかは別の話だと思うんです。
参考:Jonauskaite ほか(2021)Personality Science
ルッシャー・テストはどうなったか
12色の意味のもとになっているルッシャー・テストは、1947年にスイスの心理学者マックス・ルッシャーが発表したものです。青・黄・赤・緑の基本4色と、紫・茶・グレー・黒の補助4色のカードを好きな順に並べてもらい、その並び方から心の状態や性格を判断します。
ただ、このテストは2006年の心理学者への調査で「信用を失った手法」の一覧に入れられてしまいました。古い追跡調査では、同じ人でも色の並びが週ごとにはっきり変わることが報告されています。
性格を測る道具としては成り立たなかった、というのが半世紀かけて出た答えですが、「好きな色が週ごとに変わる」のは、冒頭に書いた私の冬の黒と夏の水色と同じで、うなずける人も多いのではないでしょうか。
参考:Lüscher color test(Wikipedia)
「好きな色」ではなく「見ている色」なら、人を動かす
好きな色から性格は分からない。じゃあ色には何の力もないのかというと、そうでもありません。
赤い画面で細かい作業、青い画面で発想
2009年、カナダのブリティッシュコロンビア大学のチームが600人以上を集めて、パソコン画面の背景色を赤・青・白に変え、6種類の課題に取り組んでもらいました。
結果、校正や記憶のような細かい作業は、赤い背景のほうが青より最大31%成績アップ。ブレインストーミングのような発想の課題では、青い背景のほうが赤の約2倍もアイデアが出ました。
研究チームの説明では、赤は危険や注意と結びついているので慎重になり、青は開放感や落ち着きと結びついているので、いろいろ試したくなるそうです。面白いのは、参加者の多くが「どの課題でも青のほうがうまくいく」と思い込んでいたこと。実際は課題によって逆でした!
私は仕事で画面の色を決める側なので、この結果は気になります。入力ミスを減らしたい確認画面で赤い枠を使うのは、理屈の上でもちゃんと筋が通っていたわけです。とはいえ、画面全体を赤にする勇気はさすがにありません。
参考:ScienceDaily(ブリティッシュコロンビア大学の発表)
赤い服の効果は、追試で揺れている
2008年には、アメリカのロチェスター大学の研究が話題になりました。同じ女性の写真でも、枠や服が赤のときのほうが、男性からの「魅力的」という評価が高くなったんです。上がったのは魅力の評価だけで、頭の良さや優しさの評価は変わらなかった、という細かいところまでよくできた研究でした。
ただ、この「赤の効果」は、あとの追試でうまく再現できなかったという報告もあり、2026年の時点でもまだ決着がついていません。色が人を動かすのは本当でも、効果の大きさや条件はまだはっきりしていない、と覚えておくのが正確です。
参考:ロチェスター大学の発表
まとめ
好きな色から性格は分からない。これが2021年の論文の結論で、11の予測は1つも当たりませんでした。
それでも12色の性格診断が当たる気がするのは、1948年に39人の学生が同じ占星術の文章に平均4点以上をつけたのと同じ仕組みです。表と裏をセットにした説明は、誰にでも当てはまるようにできています。
一方で、見ている色が人を動かすのは確か。赤い画面で細かい作業の成績が最大31%上がり、青い画面でアイデアの数が約2倍になった実験は、好きな色の話とは別に覚えておいて損はありません。
2024年の1,100人調査では、男性の1位が青、女性の1位がピンク。黒・水色・白・青は男女共通の上位でした。赤や黄色やピンクは好きでも、服や部屋には使いにくいと答えた人も多く、好きな色と使う色はけっこうずれているんですね。
迷ったら、好きな色より嫌いな色から考えるのが私のおすすめです。好きな色は季節や気分で変わるもので、ルッシャー・テストの追跡調査でも、同じ人の色の並びが週ごとに変わっていました。嫌いな色は第4問のように「なりたくない自分」として考えられるので、気分に左右されにくい、というのが私の考えです。
好きな色でわかる性格は、当たるから面白いのではなく、当たる気がする仕組みまで含めて遊べるから面白い。これが私の結論です。
第8問、私の答えはAの「普段と同じ色」でした。つまり旅先でも黒。診断は「自分のルールを崩さない人」ですが、本当は選ぶのが面倒なだけ…。でも外から見れば同じことかもしれません。誰かとこの10問をやるなら、選んだ色と一緒に理由も聞いてみてください。同じ「普段と同じ色」でも、ルールを守りたくて選ぶ人と、私のように面倒で選ぶ人とでは、意味がまるで変わります。