深夜、天井のあたりから「ピッ」と短い音がして、40秒ほどたつとまた「ピッ」。煙もにおいもないのに鳴りやまず、音のする部屋へ行ったころには静かになっていて、どの警報器なのかも分からない。警報器は天井や壁の高い所に付いていて、音も40秒に一度しか出ないので、耳だけで場所を当てるのはかなり難しいんです。
停止ボタンを押せばいったん静かになりますが、電池切れのまま止めた警報器は十数時間から1日のうちにまた鳴り出すので、どのみち脚立を出して本体を見るしかありません。
この「ピッ」の正体は、電池切れ・故障・交換時期の3種類。電池を替えて直るのは電池切れのときだけで、故障や交換時期のサインは、新しい電池を入れても消えません。
鳴り方で原因を3つに切り分け、音の止め方から、電池交換と本体交換の分かれ目、火事でもないのに鳴ったときの手入れまでを順にまとめました。
判断の軸になる数字は10年。住宅用火災警報器は2004年の消防法改正で全住宅に義務づけられ、新築は2006年6月から、それより前からある住宅も遅くとも2011年6月までに設置することになりました。
既存の住宅で期限ぎりぎりの2011年6月に付けた警報器でも、2026年の今で15年がたち、交換の目安とされる10年を越えています。
我が家も戸建てで、付いているのは寝室と階段。私なら電池を買いに走る前に、脚立を出して本体の製造年を見に行きます。年数しだいで、買うものが電池から本体そのものに変わってしまうので。
ちなみに、家電それぞれの寿命と買い替えの目安は別の記事にまとめてあります。
その「ピッ」は火災の警報ではありません
火も煙も見当たらないのに鳴っているとき、最初に見るのは音の「形」です。
火災を感知したときの警報は、寝ている人を起こすための音なので大きく、鳴り続けます。いっぽう電池切れや故障を知らせる音は、短い音が40秒前後の間隔をあけて繰り返される、ずいぶん控えめな鳴り方をします。
短い音が間隔をあけて繰り返しているなら、それは火災警報ではなく、警報器が自分の不調を知らせているサインです。
なお、正式な名前は「住宅用火災警報器」で、火災報知器と呼ばれることもあります。取扱説明書を探すときや買い替えるときは、前者の名前で調べたほうが目当てのものにたどり着きやすいでしょう。
ただし、これは火元を確認しなくていいという意味ではありません。焦げくさいにおいがする、煙が見える、どこかが異常に熱いといった心当たりがひとつでもあるなら、音の種類を考えるより先に避難して、119番に通報してください。
鳴り方でわかる3つの原因
パナソニックは、火災以外で警報器が鳴る(あるいは光る)ケースを3つに分けて説明しています。音声が入るかどうかは機種で違いますが、間隔の取り方はおおむね共通です。
| サイン | 意味 | 必要なこと |
|---|---|---|
| 「ピッ、電池切れです。」が3回鳴り、そのあと約40秒おきに「ピッ」 | 電池の寿命が近い | 設置から10年未満なら電池交換 |
| 「ピッピッピッ、故障です。」が3回鳴り、そのあと約40秒おきに「ピッピッピッ」 | 故障。煙を検知できない状態 | 本体の交換 |
| 音は鳴らず、赤い作動灯が4回点滅。5分ごとに繰り返す | 機器の交換時期 | 本体の交換 |
音で知らせる2つは、どちらも約1時間ごとに同じ知らせを繰り返します。一晩じゅう鳴っているように感じるのは、気のせいではありません。
注意したいのは2つ目です。「故障です」と言っている警報器は、煙を検知しません。音を止めたまま放置すると、火災のときに鳴らない機器が天井にぶら下がっている状態になります。
3つ目の「音は鳴らず赤く光るだけ」も、けっこう見落とされます。5分ごとに点滅していても耳では気づけないので、作動灯を見上げる習慣がなければ、何か月でもそのままになりかねません。
とりあえず音を止める手順
深夜に鳴り出したときの応急処置です。火元の確認が済んでいることが前提になります。
- 部屋に煙・におい・熱がないことを確かめる
- 鳴っている本体の[警報停止ボタン]を押す。ボタンがない機種は[引きひも]を引く
- 止まったあと、流れた音声の内容と、作動灯の色・点滅の回数を控える
- 翌日、控えた内容を取扱説明書やメーカーのサイトと突き合わせる
停止ボタンの場所は機種で違います。本体の中央が大きなボタンになっているものもあれば、側面に小さく付いているものもあり、ひもが下がっているタイプはそれを引くだけ。暗い中で手探りするより、スマホのライトで正面を照らしてから押したほうが確実です。
3番を飛ばすと、翌朝に残っているのは「夜中にピッと鳴っていた」という記憶だけになります。私なら、音声の有無と点滅回数くらいはスマホにメモしてから布団へ戻ります。
この操作で止まるのは、あくまで一時的です。パナソニックによると、電池切れのまま音を止めた場合、単独型は約16時間後、ワイヤレス連動型は0〜24時間以内にまた鳴り出します。
停止ボタンは問題を解決するものではなく、眠るための時間を買うものです。単独型ならまた鳴り出すまで半日以上あるので、暗い中で脚立を出すより、明るくなってから落ち着いて作業するほうが安全です。ワイヤレス連動型は「0〜24時間以内」なので、すぐに鳴り直すこともあります。
どの1台が鳴っているのかを探す
耳だけで探していると、40秒待っては部屋を移るの繰り返しです。総当たりをする前に、設置が義務づけられている場所から当たると早く済みます。柏市の案内では「寝室及び階段室(寝室が2階以上にある場合)」が対象です。台所を加えている市町村もあるので、自分の地域の火災予防条例もあわせて見ておくといいでしょう。
- 寝室をすべて見る(子ども部屋も、寝る部屋なら対象)
- 寝室が2階以上にあるなら、階段の天井と壁の上部を見る
- 台所、廊下、納戸の順に範囲を広げる
- 見つからなければ、次の40秒を家族で部屋に分かれて待つ
見落としやすいのが壁付けです。警報器は天井だけでなく、壁の高い位置に付いていることもあります。天井ばかり見上げていると、真横にあるものを素通りしてしまいますよ。
電池交換か本体交換かは「設置から10年」で決まる
東京消防庁は、本体交換は「設置から10年」が目安としています。古くなると電子部品の劣化や電池切れによって火災を感知しなくなるおそれがあるからです。
パナソニックの案内も同じ線で引かれていて、設置から10年未満なら電池交換、10年以上なら本体交換をすすめています。
では、その10年はどこで確かめるのか。
- 本体の表面にある[設置年月]の記入欄を見る(取り付けたときに書き込む欄があります)
- 空欄なら本体を外して、裏側の[製造年]または[製造年月日]を見る
- 機種によっては裏ぶたの内側や、電池そのものに書かれている
- どれも見当たらなければ、型番を控えてメーカーに問い合わせる
製造年が2015年以前なら、電池を探す前に本体の値段を調べたほうが近道です。電池を新品にしても、電子部品の寿命までは戻りませんから。
もうひとつ、電池だけを交換できる機種かどうかも先に確かめておきたいところ。取扱説明書に電池交換の手順が載っているかを見ておくと、売り場で型番を前に立ち尽くす時間が減ります。
なお、パナソニックが示す10年という目安は、同社の専用リチウム電池(10年寿命)を使った場合のものです。前提は機種で変わるので、最後は手元の説明書の記載が優先になります。
火事でもないのに大きな音で鳴ったとき
電池切れの「ピッ」とは別に、火災警報そのものが誤って鳴ることもあります。
柏市消防局が原因として挙げているのは、ホコリや小さな虫、燻煙式殺虫剤、そして調理時に発生する大量の煙や湯気。止め方は、警報音停止ボタンを押すか、室内を換気することです。
心当たりがあるとすれば、換気扇を回さずに焼き物をしたとき、浴室のドアを開けっぱなしにして湯気が廊下へ流れたとき、あたりでしょうか。燻煙式の殺虫剤を焚くときは、鳴る前提で予定を立てておいたほうが落ち着いていられます。
小さな虫が入り込むのも、実際に挙げられている原因のひとつ。煙を感知する部屋に迷い込めば、それだけで警報が鳴ることがあります。
誤作動で鳴ったあとにやっておきたいのが、作動の確認です。柏市消防局は点検について、音が鳴らない場合はまず電池がきちんとセットされているかを確認し、それでも鳴らなければ電池切れか本体の故障が考えられるので取扱説明書を見るように案内しています。警報が止まったあとに停止ボタンかひもで一度点検しておけば、「止まった」のか「壊れた」のかを切り分けられます。
ほこりを落とす手入れと、交換・処分の進め方
ホコリが原因で鳴っているなら、手入れで落ち着くことがあります。横浜市消防局の案内はいたってシンプルで、「乾いた布でほこりをふき取ります」。
やってはいけないことのほうが、はっきり書かれています。
- ベンジンやシンナーなどの有機溶剤を使って拭く
- 水洗いする
- 機器を分解する
それから、脚立やいすの上での無理な姿勢。足場を安定させてから手を伸ばしてください。
本体を外すときは、外周を持って上に押し付けながら左に回します。パナソニックは、外周以外を持つと商品が破損するおそれがあるとしています。向きを間違えればもちろん外れないので、固いと感じたら力を入れる前に回す方向を確かめてください。
買い替えで迷うのは型番です。取り外す前に本体の表示を写真に撮っておくと、売り場で同じ仕様のものを探しやすくなります。
外した古い警報器は、自治体のルールに従って捨てます。メーカーでの引き取りは行っていないので、持ち込めば済む話ではありません。リチウム電池を内蔵した機種も多く、分別を誤ると回収の現場で発火の原因になりかねないので、区分は自治体のサイトで確認してから出してください。
まとめ
40秒おきの「ピッ」は電池切れ、「ピッピッピッ」は故障、音のない赤い点滅は交換時期。鳴り方の3つさえ頭に入っていれば、深夜に説明書を探し回らずに済みます。
停止ボタンや引きひもで止められるのは一時的で、電池切れのまま放っておけば単独型は約16時間後、ワイヤレス連動型は0〜24時間以内にまた鳴り出します。その猶予のうちに、本体の設置年月か製造年を確かめておいてください。
設置から10年未満なら電池交換、10年以上なら本体ごと交換。判断はこの一線で決まり、電池を新品にしても電子部品の寿命までは戻りません。
火事でないのに大きな音で鳴ったときの候補は、ホコリ・小さな虫・燻煙式殺虫剤・調理の煙や湯気。停止ボタンを押すか室内を換気すれば止まり、ホコリなら乾いた布でふき取るだけで落ち着くこともあります。有機溶剤で拭く、水洗いする、分解する、この3つはしないこと。
2016年より前に付けた警報器は、もう10年を越えています。既存の住宅は2011年6月までに付ける決まりだったので、そのあと一度も替えていない家なら、すべて当てはまります。
困るのは、警報器が古くなっても見た目が何も変わらないことです。電球なら切れた瞬間に分かるのに、10年たった警報器は昨日付けたものと同じ顔で天井にいる。鳴ってから慌てる人が多いのは、そのせいだと思います。
私は、次に脚立を出す用事ができたら、ついでに全部の製造年を控えるつもりです。1台のためだけに脚立を出す気にはどうもなれませんが、ほかの用事と一緒なら、たぶん動けます。