2014年2月19日、匿名掲示板「2ちゃんねる」が大規模にダウンしました。この記事は、その日に書いた第一報です。
原因の発表もなく、「DDoS攻撃か」という声を横目で見ながら書いていました。あとから振り返れば、この日が2ちゃんねるの運営が別の手に渡った日でした。
当時の本文はそのまま残し、その後の経緯を後半にまとめています。
2月19日未明から匿名掲示板「2ちゃんねる」で大規模なサーバダウンが発生しており、現在もその状況は続いているようです。
ネットでは「DDoS攻撃か」といった声も見られますが、サーバダウンの原因についてはまだ正式に発表されていません。
様々な憶測が飛び交う中、2ちゃんねるの元運営である西村博之氏(ひろゆき)がTwitterで謎の発言をして話題になっています。これは…!?
ひろゆき氏のツイートの意味は?
これが問題のツイート。
こうしてささやかに終わり、時代は変わっていくんですなぁ。
— Hiroyuki Nisimura (@hiroyuki_ni) 2014, 2月 18
ささやかに終わる…だと…?
これは2ちゃんねる終了のお知らせなのでしょうか。ひろゆき氏の発言が2ちゃんねるのことを指しているかはわかりませんが、なんだかとても意味深ですね…。
ちなみに、2ちゃんねるのサーバーの状況については「2ちゃんねる サーバ負荷監視所」で確認できますのでお困りの方は参考まで。
その後わかったこと
サーバが落ちたままだったその日の午前9時、2ちゃんねるのスレッドに「2chサーバーを確保しました」という書き込みが現れます。
書いたのはジム・ワトキンス氏。2ちゃんねるのサーバ管理を担っていたN.T.Technologyの会長です。前の経営者は運営経費にあてる収入を十分に得られなかったので解雇した、という説明でした。スタッフのほとんども同時に解雇されています。
つまりサーバダウンの正体は、攻撃でも障害でもなく管理権の移動でした。
ひろゆき氏のツイートは、この書き込みの約30分前です。私が「意味深ですね」と眺めていたあの一文は、当事者だけが結末を知っている実況だったわけです。
伏線はお金の話でした。2013年8月、有料サービス「2ちゃんねるビューア」(●)から約32,000件のクレジットカード情報などが流出し、以降は入会もログインも止まっていました。サーバ代は月あたり数百万円規模と言われていたので、収入が絶たれた状態が半年続いていたことになります。
「ささやかに終わり」の裏側は、けっこう生々しい話だったんですね。
参考:ITmedia NEWS「『サーバーを確保しました』 『2ちゃんねる』に何が起きたのか」
掲示板は分裂して5chになった
同年4月、ひろゆき氏は「2ch.sc」という別の掲示板を開設します。ここから、同じ名前を背負った掲示板が2つ並ぶ状態が始まりました。
2017年10月には2ch.netが「5ch.net」へ改称。名前から「2」が消えて、いまの5ちゃんねるになります。
権利関係は法廷に持ち込まれ、争いは長く続きました。2023年1月、知的財産高等裁判所が「2ちゃんねる」の乗っ取りを認定し、元運営法人に2億円を超える賠償を命じています。第一審と結論が分かれた事件として、法律の実務でも取り上げられました。
そして2026年3月、こんどは5ch.net自体のドメインが米国のレジストラEpikによって停止される事態になります。掲示板は5ch.ioへ移って続いています。
参考:BUSINESS LAWYERS「2ちゃんねる『乗っ取り』事件裁判 − 何が東京地裁と知財高裁の結論を分けたのか」
「ささやかに終わり」は当たっていた
12年ぶんの経緯を並べてみると、2014年のあのツイートはずいぶん正確でした。
記者会見も公式発表もなく、ある日サーバが落ちて、朝になったら管理者が変わっていた。訴訟が動いたのは9年後です。看板の掛け替えが終わってから、法廷が追いついた形になりました。
2ちゃんねるは5ちゃんねるになり、そのドメインも一度は止まりかけました。名前もURLも変わったのに、書き込みだけは途切れずに続いている。ささやかに終わって、ささやかに続いているわけです。
当時の私は「これは2ちゃんねる終了のお知らせなのでしょうか」と書きました。終了ではありませんでした。ただ、あの日の2ちゃんねるは確かに終わっていました。