FileZillaで大きいファイルがアップロードできない原因と対策

FileZilla

動画やバックアップなど、サイズの大きいファイルをFileZillaでサーバーへアップロードしようとすると、途中でピタッと止まる。何度やり直しても同じところで落ちる。エラーログには「Connection timed out(接続がタイムアウトしました)」や、なぜか「530 Login authentication failed」のような身に覚えのないエラーが並ぶ——。Web制作を長年やってきて、これは本当に何度も踏んできたトラブルです。

厄介なのは、原因がFileZillaそのものではなく、ルーターやファイアウォール、サーバー側の上限、回線の途切れなど「FileZillaの外側」にあることが多い点です。だから設定をいじる順番を間違えると、いつまでも空振りします。

この記事では、大きいファイルが転送できない・途中で止まる原因を切り分け、FileZilla側のタイムアウト延長・転送モード・接続モードの設定、サーバー側のアップロード上限への対処、そして現代では必須の暗号化接続(SFTP/FTPS)への切り替えまでを、具体的な手順で解説します。昔ながらの「ファイアウォールを無効にする」だけで済ませず、安全に直しきるのがこの記事のゴールです。

13年前にこの記事を書いた当初は「PCのファイアウォールを切ったら直った」で終わっていました。でも今はその対処は推奨できません。理由も含めて、2026年の前提で全面的に書き直します。スクリーンショットの代わりに、メニューの場所と設定値を文字で正確に示すので、お手元のFileZillaを開きながら読み進めてください。

なぜ大きいファイルだけ途中で止まるのか

小さいファイルは一瞬で終わるのに、大容量になると失敗する。これには理由があります。転送に時間がかかるほど「途中で接続が切られる」リスクが上がるからです。

FTPは「コマンドをやり取りする制御用の接続」と「実データを流すデータ用の接続」の2本を使います。大きいファイルを延々と送っている間、制御用の接続のほうは何もしゃべらず“黙っている”状態になります。すると、間にいるルーターやファイアウォールが「この接続はもう使われていない」と勝手に判断し、黙って切断してしまうことがあるのです。

FileZilla公式Wikiも、多くのルーターやファイアウォールがアイドル状態(無通信)の接続を一定時間で閉じてしまい、しかもクライアントにもサーバーにも通知せずに静かに落とす、と説明しています。実データは流れ続けているのに制御接続だけが切られ、結果として転送が中断したり、再ログインを求められて「認証エラー」のように見えたりするわけです。私が冒頭で書いた「身に覚えのないパスワードエラー」も、たいていこれが正体です。

つまり犯人候補は、おおむね次のどれかです。順番に潰していきましょう。

  • FileZillaのタイムアウト設定が短すぎる
  • 接続モード(パッシブ/アクティブ)がネットワーク環境に合っていない
  • ルーターやファイアウォール、アンチウイルスがアイドル接続を切っている
  • サーバー側にアップロードサイズの上限がある
  • 回線そのものが不安定で、パケットが落ちている

出典:FileZilla Wiki: Network Configuration

まず試すFileZilla側の設定(タイムアウト・転送モード・キープアライブ)

外側を疑う前に、FileZilla内で完結する設定から手を入れます。再起動も不要で副作用も小さいので、ここから始めるのが定石です。

タイムアウトを延ばす(または無効化する)

FileZillaは一定時間応答がないと「タイムアウト」として接続を打ち切ります。初期値は短めなので、大容量転送ではここに引っかかりがちです。まずはタイムアウトの秒数を延ばすか、思い切って0(無効)にするのが効きます。

  1. メニューの「編集」→「設定」を開く
  2. 左の一覧から「接続」を選ぶ
  3. 「タイムアウト(秒)」の値を大きくする。0〜599秒の範囲で設定でき、0を入れると無制限(無効)になる
  4. 「OK」で保存し、再接続する

「とりあえず直したい」なら一度0にして、転送が通るか確かめるのが手っ取り早いです。ただし0は問題の切り分け用と考え、原因が別にあるなら後述の対策とあわせて常識的な値(例:120秒程度)に戻すのがおすすめです。

FTPキープアライブを有効にする

サーバーやルーターがアイドル接続を厳しく切ってくる場合は、定期的に“生きてますよ”という信号を送ると効果があります。

  1. 「編集」→「設定」を開く
  2. 「接続」の下にある「FTP」を選ぶ
  3. 「FTPキープアライブコマンドを送信する」にチェックを入れる

注意点として、FileZilla公式Wikiはキープアライブが万能ではないと明言しています。キープアライブのコマンドは「転送していない待機中」にしか送れず、実データを転送している最中には送れません(コマンドを割り込ませると転送が壊れるため)。そのため、1本の巨大ファイルを長時間流し続けるケースでは、キープアライブより後述の接続モード見直しやネットワーク側の対処のほうが本質的です。

転送モードはバイナリにする

動画・画像・ZIP・実行ファイルなどはバイナリ形式で送らないと壊れます。FileZillaは既定で「自動」判定ですが、大きいメディアやアーカイブを扱うときは明示的にバイナリへ固定しておくと安心です。

  1. 「転送」メニュー →「転送タイプ」→「バイナリ」を選ぶ
  2. あるいは「編集」→「設定」→「転送」→「ファイルの種類」で「バイナリ」を選ぶ

テキスト(ASCII)転送のままだと改行コードが書き換えられ、ファイルサイズや中身が変わってしまうことがあります。「アップしたのにファイルが壊れている」ときはここを疑ってください。

出典:FileZilla Wiki: Network ConfigurationFileZilla Pro: Timeout when Uploading Large File

接続モード(パッシブ/アクティブ)を切り替える

FileZillaのタイムアウトをいじっても直らないなら、次は接続モードです。大容量アップロードでは基本的にパッシブモードが安定します。FileZilla公式Wikiも、サーバー側で一度パッシブ用の設定を済ませるほうが、クライアントごとにルーターやファイアウォールを設定しなければならないアクティブモードより扱いやすい、としています。

切り替え方は次のとおりです。

  1. 「編集」→「設定」→「接続」→「FTP」を開く
  2. 「転送モード」で「パッシブ」を選ぶ(既定はパッシブのことが多い)
  3. うまくいかない場合のみ「アクティブ」に切り替えて再検証する

個別のサイトだけ変えたいときは、サイトマネージャー(「ファイル」→「サイトマネージャー」)で対象サイトを選び、「転送設定」タブから「パッシブ」「アクティブ」を指定できます。社内ネットワークや特殊なファイアウォール配下では、片方でだめでももう片方で通ることがあるので、両方試すのが切り分けの近道です。

出典:FileZilla Wiki: Network Configuration

ファイアウォール・アンチウイルスが原因のとき

かつての私はここで「Windowsファイアウォールを無効にする」と書いていました。確かに切れば通ることはあります。でも、ファイアウォールを丸ごとオフにするのは家の鍵を開けっぱなしにするようなもので、2026年の今は素直におすすめできません。無効化ではなく「FileZillaだけを通す」のが正解です。

Windowsの場合、次の手順でFileZillaを例外(許可アプリ)として登録します。

  1. 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」→「ファイアウォールとネットワーク保護」を開く
  2. 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリック
  3. 一覧にFileZilla(filezilla.exe)があれば、プライベート/パブリックの両方にチェック。なければ「別のアプリの許可」から追加する

セキュリティソフト(アンチウイルス)が通信を監視していて転送を妨げることもあります。特に「ネットワーク保護」「ファイアウォール」「Webシールド」系の機能が、長時間のFTPセッションを切ってしまうケースです。その場合は、ソフトを全停止するのではなく、FileZillaを除外(例外)リストに追加してください。検証のために一時的に止めるなら、転送が終わったら必ず元に戻すこと。これだけは徹底してください。

サーバー側の上限・回線の問題を疑う

クライアント側を一通り対処しても落ちるなら、原因はサーバーや回線にあります。ここはFileZillaの設定では直せません。

サーバーのアップロード上限

レンタルサーバーやホスティングによっては、1ファイルあたりのサイズや転送時間に制限があります。FTP経由なら通常はPHPのupload_max_filesizeのような制限は受けませんが、サーバー側でFTPセッションのアイドルタイムアウトが短く設定されていることがあります。長時間の転送が決まったところで切れるなら、これが濃厚です。契約サーバーのマニュアルやサポートで「FTPのタイムアウト」「アップロード上限」を確認しましょう。WordPressの管理画面(メディアライブラリ)からのアップロードで弾かれる場合は、サーバー側のphp.ini系の上限が関係します。

巨大ファイルは分割・圧縮する

そもそも1本が大きすぎるなら、送る前に工夫します。

  • ZIPやtar.gzにまとめて圧縮し、転送回数とサイズを減らす
  • 分割圧縮(例:複数のZIPに分ける)で1ファイルあたりを小さくし、途中で落ちても被害を最小化する
  • 動画なら必要十分な解像度・ビットレートに再エンコードしてサイズ自体を落とす

失敗しても「再開」で続きから送る

FileZillaは中断した転送を続きから再開できます。毎回ゼロからやり直さず、再開を有効にしておくと大容量でも粘れます。

  1. 「編集」→「設定」→「転送」→「ファイルの存在時の動作」を開く
  2. アップロード・ダウンロードともに「ファイルの転送を再開する」を選ぶ

転送が途中で落ちたら、失敗したファイルを右クリックして「キューに追加」や再アップロードを実行すれば、途中から再開されます(サーバーが再開に対応している場合)。回線が不安定な環境では、これだけで成功率がかなり上がります。

出典:FileZilla Pro: Timeout when Uploading Large File

関連記事:【比較】FTPソフト「FFFTP」と「FileZilla」の違いと選び方

【重要】平文FTPはやめてSFTP/FTPSで暗号化する

転送が通るようになったら、最後にもうひとつ。2026年の今、ただのFTP(平文)でサーバーにつなぐのは、それ自体がセキュリティリスクです。大きいファイルを送れるかどうかと同じくらい、これは大事な話です。

平文FTPは、ユーザー名・パスワード・ファイルの中身まで、すべて暗号化されずにそのまま流れます。同じネットワークを盗み見ている第三者がいれば、ログイン情報を丸ごと読み取れてしまうということ。FileZilla公式も「平文FTPでは通信内容も認証情報もすべて読み取り・改ざんできる」と警告しています。だからこそ、接続は暗号化に切り替えるべきです。

暗号化の選択肢は主に2つです。

  • SFTP(SSH File Transfer Protocol):SSHの仕組みを使う完全に別のプロトコル。標準ポートは22。最も堅牢で、レンタルサーバーが対応していればこれが第一候補です。
  • FTPS(FTP over TLS):従来のFTPにSSL/TLSの暗号化を足したもの。サーバーがFTPしか提供していないが暗号化したい、というときの選択肢です。

FileZillaでのSFTP接続の設定はこうします。

  1. 「ファイル」→「サイトマネージャー」を開き、「新しいサイト」を作る
  2. 「プロトコル」で「SFTP – SSH File Transfer Protocol」を選ぶ
  3. 「ホスト」にサーバーのアドレスを入力(ポートは22)
  4. 「ログオンの種類」を「通常」にし、ユーザー名・パスワードを入力
  5. 「接続」をクリック。初回はサーバーの鍵(フィンガープリント)の確認が出るので、内容を確認して承認する

FTPSにしたい場合は、サイトマネージャーの「プロトコル」を「FTP」にしたうえで、「暗号化」で「利用可能なら明示的なFTP over TLSを使用する」を選びます。逆に「平文のFTPのみ使用する(安全ではない)」は、よほどの事情がない限り選ばないこと。私自身、新規にサーバーを触るときはまずSFTPで接続できるか確認し、可能なら平文FTPは一切使いません。手間はほとんど変わらないのに、安全性はまるで違います。

出典:FileZilla Pro: Insecure server, it does not support FTP over TLSFileZilla Wiki: Using FileZilla

関連記事:FileZillaのサイトマネージャーに登録しているパスワードを確認する方法

まとめ:上から順に切り分ければ、大容量転送はちゃんと通る

大きいファイルがFileZillaでアップロードできないとき、闇雲に設定をいじっても消耗するだけです。原因は「FileZillaの外側」にあることが多いので、順番に切り分けるのが結局いちばん速い。これが13年分の結論です。

手順をおさらいします。まずFileZilla内で完結する対策——タイムアウトを延ばす(または0で検証)、FTPキープアライブを有効化、転送タイプをバイナリに固定。これで直らなければ接続モードをパッシブ⇄アクティブで切り替える。それでもだめならファイアウォールやアンチウイルスにFileZillaを「許可(例外)」として登録する。ここで大事なのは、昔のように丸ごと無効化しないこと。最後に、サーバー側のアップロード上限やFTPタイムアウトを確認し、巨大ファイルは分割・圧縮、落ちても「再開」で続きから送る。この流れで、たいていの大容量転送は通ります。

そして忘れてほしくないのが暗号化です。転送が成功することと、安全に転送できることは別問題。サーバーが対応しているなら、接続はSFTPかFTPSに切り替えて、平文FTPは卒業しましょう。設定の手間は数分、得られる安心は段違いです。動画ファイルひとつ送るのに半日を溶かした昔の自分に、この記事を読ませてやりたいくらいです。次に大きいファイルの転送が途中で止まったときは、勘で設定をいじる前に、この記事を上から順に試してみてください。