間違って使いがちな日本語クイズ15問|役不足・気が置けないの意味わかる?

クエスチョンマークを描いた用紙

「役不足ですが頑張ります」——会議やスピーチで、こう挨拶している人を見かけたことはありませんか。

実はこの一言、へりくだったつもりが正反対の意味になっているかもしれません。「役不足」は本来、「あなたの力量に対して役目が軽すぎる」という意味だからです。つまり「こんな軽い仕事、私には物足りませんが」と大きく出たことになってしまいます。

日本語には、こうして多くの人が本来とは逆・別の意味で使っている言葉がたくさんあります。文化庁が毎年おこなっている「国語に関する世論調査」では、慣用句や言葉の意味を取り上げるたびに、半数以上が本来と違う意味で理解している例が次々と見つかっています。

私も原稿を書くたびに辞書を引き直しては「えっ、こっちが正しかったのか」と冷や汗をかいてきました。知らずに使っていても大恥をかくわけではありませんが、意味を知っておくと文章がぐっと締まりますし、何より読み物として単純に面白いんです。

この記事では、文化庁の調査でも多くの人がつまずいた「間違って使われがちな日本語」を、答えと解説つきの全15問クイズにまとめました。

紙とペンは要りません。頭の中で「AかBか」を選びながら、何問正解できるか数えてみてください。全問正解できたら、かなりの日本語上級者です!

言葉の意味は、みんなの使い方で少しずつ動く

クイズに入る前に、前提をひとつだけ共有しておきます。

文化庁は平成7年度から毎年「国語に関する世論調査」をおこなっていて、その中で「この言葉、本来はどちらの意味?」という質問を全国の人に投げかけています。

結果を見ると、慣用句のなかには本来の意味を選べた人が2割ほどしかいないものもあります。つまり、多数派が「間違い」側というわけです。

ただし、多くの人が使う意味は、時間をかけて「新しい正しい意味」として辞書に載ることもあります。だから誤用を頭ごなしに責めるより、「本来はこうだった」と知っておくのが実用的です。

ここからが本番。全15問、本来の意味を選べるか試してみてください。

意味を勘違いしやすい慣用句クイズ【前半5問】

第1問:「彼にはこの仕事は役不足だ」の本来の意味は?

  • A:本人の力量に対して、役目が軽すぎる
  • B:本人の力量に対して、役目が重すぎる

正解はA「役目が軽すぎる」。力のある人に軽い役を与えてしまう、つまり「その人には物足りない」という意味です。謙遜のつもりで「私では役不足ですが」と言うと、「荷が重い」ではなく「私には軽すぎる仕事だ」と豪語したことになります。文化庁の令和5年度調査でも、本来の意味を選んだ人は45.1%、「力不足」の意味で捉えた人が48.9%と、ほぼ真っ二つに割れました。

第2問:「気が置けない友人」とはどんな友人?

  • A:気を使わず、リラックスして付き合える相手
  • B:油断ならない、気を許せない相手

正解はA。「置けない」は「気を置く必要がない=遠慮がいらない」という意味で、これは褒め言葉です。Bのように受け取ると意味が正反対になってしまいます。平成24年度の調査では本来の意味が42.7%、逆の意味が47.6%と、こちらも僅差でひっくり返っていました。

第3問:「なし崩し」の本来の意味は?

  • A:物事を少しずつ片付けていくこと
  • B:なかったことにして、うやむやにすること

正解はA。漢字では「済し崩し」と書き、借金を少しずつ返していくのが元の意味です。「なあなあで済ませる」ようなイメージは本来ありません。平成29年度の調査では本来の意味を選んだ人はわずか19.5%、「なかったことにする」と答えた人が65.6%にのぼりました。

第4問:「檄を飛ばす」の本来の意味は?

  • A:自分の考えを広く知らせて、賛同や決起をうながす
  • B:元気のない人を大声で励ます

正解はA。「檄」はもともと、人々に決起を呼びかけるための文書のこと。単なる激励ではないんです。平成29年度の調査では本来の意味は22.1%にとどまり、「激励する」の意味で使う人が67.4%でした。スポーツ中継でおなじみのあの使い方は、実は多数派の“新しい意味”というわけです。

第5問:「説明は割愛します」に込められた本来のニュアンスは?

  • A:惜しいと思いながら、あえて省く
  • B:不要なものを、単純に省く

正解はA。「割愛」はもと仏教語で、愛着や未練を断ち切ることを指しました。だから本来は「大事なのに泣く泣くカットする」場面で使う言葉です。単なる省略ならBでよさそうですが、本来の意味で使う人は17.6%、「不要だから省く」が65.1%という調査結果もあります。

参考: 文化庁「国語に関する世論調査」

使い方でつまずきやすい言葉クイズ【中盤5問】

第6問:「あの店は敷居が高い」の本来の意味は?

  • A:不義理や失敗があって、行きにくい
  • B:高級・上品すぎて、気軽に入りにくい

正解はA。本来は「ご無沙汰していて顔を出しづらい」という、相手への後ろめたさを表す言葉でした。値段や格式の高さで使うBはいまやすっかりおなじみですが、文化庁の調査では本来の意味で使う人は約29%。半数近くがBの意味で捉えていました。

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第7問:「姑息な手段」の「姑息」の本来の意味は?

  • A:その場しのぎ、一時のがれ
  • B:ひきょう、卑劣

正解はA。「姑(しばら)く息(やす)む」と書くとおり、根本解決を避けた一時しのぎが本来の意味です。「ひきょう」というニュアンスは後から加わったもの。「姑息な手段」を「その場しのぎの手」と読み替えると、意味がすんなり通ります。

第8問:「破天荒な人生」の「破天荒」の本来の意味は?

  • A:今まで誰も成し得なかったことを、初めて成し遂げる
  • B:豪快で大胆、型破り

正解はA。「天荒」は未開の荒れ地を意味し、それを破る=前人未到の偉業を初めて達成することを指します。「ワイルドで破天荒な性格」といった使い方は、本来の意味とはズレているんです。

第9問:「失笑する」とはどんな笑い方?

  • A:おかしくて、こらえきれず吹き出してしまう
  • B:あきれて、笑うこともできない

正解はA。「失」は「思わず出てしまう」という意味で、笑いを失うのではなく、笑いが漏れてしまうこと。「失笑を買う」は「あきれられる」ではなく「思わず笑われる」が本来です。真面目な場で使うと逆の意味に取られかねない、なかなか厄介な言葉です。

第10問:「議論が煮詰まる」の本来の意味は?

  • A:議論が十分に進んで、結論を出せる段階になる
  • B:議論が行き詰まって、先に進まなくなる

正解はA。鍋を煮て水分が飛び、味が仕上がる様子から来た言葉で、本来は良い意味です。行き詰まる意味のBは新しい用法。会議で「そろそろ煮詰まってきた」と言われたら、本来は「まとまってきた」という前向きな合図なんです。

差がつく上級・日本語クイズ【後半5問】

第11問:「これで御の字だ」の本来の意味は?

  • A:大いにありがたい、十分に満足だ
  • B:まあ納得できる、ぎりぎり許せる

正解はA。「御」の字を付けたいほどありがたい、というのが語源で、本来は最上級の満足を表します。「一応はOK」くらいのBの意味で使う人が多いのですが、本来はもっと感謝のこもった言葉です。

第12問:「協力にやぶさかでない」の本来の意味は?

  • A:喜んで協力する
  • B:仕方なく協力する

正解はA。「やぶさか」はケチで物惜しみするさまを指し、それを打ち消すので「惜しまず、喜んでする」という前向きな表現になります。「渋々やる」と受け取られやすいのが、この言葉のややこしいところ。

第13問:「世間ずれした人」とはどんな人?

  • A:世の中で苦労を重ね、ずる賢くなった人
  • B:世間の常識からズレている人

正解はA。「ずれ」は位置のズレではなく「擦れる(すれる)」のほう。世の中で揉まれてスレっからしになった、という意味です。天然でズレている人を指すBは、字面からくる勘違いです。

第14問:「情けは人の為ならず」の本来の意味は?

  • A:人に親切にすれば、巡り巡って自分に良い報いがある
  • B:情けをかけると、その人のためにならない

正解はA。「人の為ならず」は「その人の為にならない」ではなく、「他人の為だけではない(=自分に返ってくる)」という意味。甘やかしを戒めることわざと誤解されがちですが、本来は親切のすすめです。

第15問:「憮然とした表情」の本来の意味は?

  • A:失望・落胆して、ぼんやりするさま
  • B:腹を立てて、不機嫌なさま

正解はA。「憮」はがっかりする意味を持ち、本来は怒りではなく気落ちを表します。怒って押し黙るBの使い方が広まっていますが、辞書の一番目の語釈はいまも「失意」の意味です。

参考: 文化庁「令和4年度 国語に関する世論調査」の結果について

まとめ:何問正解できましたか

全15問、いくつ本来の意味を選べたでしょうか。

半分も取れなかったとしても、力量の問題ではありません。文化庁の調査で「多数派が間違う」と出た言葉ばかりを集めたので、これはかなりの難問ぞろいでした。

おさらいすると、勘違いされやすい日本語には共通のクセがあります。「役不足」「気が置けない」のように打ち消しの向きを取り違えるもの、「なし崩し」「割愛」のように漢字の元の意味が忘れられたもの、「敷居が高い」「破天荒」のように字面のイメージが独り歩きしたもの——大きく分けてこの3タイプです。

面白いのは、こうした“間違い”の多くが、やがて辞書に新しい意味として載っていくこと。言葉は生き物なので、多数派の使い方がいずれ正解になる日も来ます。だから相手の誤用をわざわざ指摘して回る必要はありません。

大事なのは、自分が書いたり話したりするときに「本来はどっちだったか」を思い出せること。それだけで言葉の解像度が一段上がり、文章に説得力が生まれます。

今日つまずいた言葉があったら、辞書アプリで引き直してみてください。「へえ、こっちが元だったのか」という発見が、次の会話でちょっとした小ネタになります。